Side-a
—見て見ぬフリして
そうは言われたものの、、、、
残念ながら、あ〜ちゃんはおせっかいなんよね。
だってさぁ、、、、
ピンポーン
ガチャッ・・・
「あ、、、えっと、、ゆかちゃん、まだ帰ってないんですけど」
んなことは、わかってるんよ。
「今日は、のっちに話があってきたんだけど」
のっちは、おっきな瞳を見開いたかと思うと
「あ、、じゃ、、、どうぞ」
あ〜ちゃんを、部屋にあげてくれた。
さてさて、まどろっこしいことはやめて、すぐに本題に入る。
「てか、あんた、なんでこんなとこにおるん?」
「・・・・えっ?」
「えっ、じゃないでしょ?・・・なんで、“ここ”におるん?」
「・・・・ん?」
ほぉ、、、あくまでもしらばっくれるつもりですか・・・
「のっち、なんでしょ?」
「…“のっち”、は、死んだんじゃなかった、、っけ?」
「そう、だよ?だから、聞いてんじゃん。。。なんで、ここにいるの?」
なんとも言えない、沈黙が二人の間を流れる。
「・・・しらん」
「…はっ?」
「わからん」
のっちは、困ったような笑顔を浮かべて続ける。
「てか、やっぱあ〜ちゃんだね」
「は?意味わからんし・・」
「そう?」
「てか、記憶がないってウソなんでしょ?」
「いやぁ、、、最初はなかったよ、ほんと、、、今も、微妙?」
「微妙?」
「うん、、、たぶん、のっち、“のっち”なんだよね・・・
うん、、、そうなんだよ、、、けどなら、なんで、、、、
「ここにいるの?」
「そう、、、だね」
「てか、あ〜ちゃんには、ちゃんと見えるんだね」
「え、、あぁ、、、あ〜ちゃん、そっち系の勘はいいから」
「あぁ、たしかにw」
のっちの姿、、、たぶん見えてるのは、かしゆかだけ、だ。
それと、、あ〜ちゃんみたいに、“勘”がいい人。
「ねぇ、、、どうせまた、いなくなっちゃうんでしょ?」
「・・・」
「あんた、どういうつもりなん!?
あんたがいなくなって、かしゆかが、どんなに大変だったかわかってんの!?」
ただでさえ細いのに、急激にさらに細くなった。
うまく笑えなくなった、、、あんなに笑顔が最高だったのに。
それ以上に、泣けなくなっていた。
のっちとの、最期のお別れのときにさえ、、、、涙一つ流さなかった。
泣き喚いてくれたほうが、どんなによかっただろう。。
ただ虚ろに、漆黒の瞳を漂わせる姿は、あまりにも痛々しかった。
「ねぇ、また、おいていくつもりなん?」
のっちの眉は、これでもかってくらい、垂れていた。
人生、3本の指に入るんじゃないかってくらい、きれいにハの字になっている。
ねぇ、あ〜ちゃん?
大きな瞳を伏せて、呟く。
「おいていかれるのと、おいていくの、、、、どっちが、、ツライ、かな?」
えっ。。
「おいてかれるほうが、ツライか」
そう言って、へらへらと寂しそうに笑った。
そして、つらつらと語りだす。
不器用なコトバで、語りだす。
なんかさぁ、いきなりすぎてのっちもびっくりしちゃって。
てか、納得できんじゃん?はい、あなたの人生、今、終わっちゃいましたって言われても。
人生に未練があるかっていうと、なかなか微妙なんだけど、
ゆかちゃんがいるじゃん?人生よりなにより、ゆかちゃんだよ。
ずっと、一緒にいようって、絶対に守るんだって思ってたのに・・
てか、のっちずっと世話焼かせっぱなしで、手がかかるコドモで、、、
あれもこれも、やってあげられればよかったのに、てほんと後悔ばっかで。
ほんと、めちゃくちゃ大好きだよって、どうしようもないくらい愛しちゃってんだよって
もっともっと、伝えたかったのにって、、、てか、伝えられてたっけ?
んなこと、ぐるぐる思い返しちゃったわけ。
ね?いけるわけないじゃん、天国だか地獄だか、知んないけど、、終わらせられるわけないじゃん!?
だから、駄々こねてやったの、なんか神様?みたいな人の前で。
「は?神様に駄々こねた?」
「あ、、うん、、たぶん」
「のっちが、、駄々・・・
想像つかん、、、だって、なんにもとらわれず、流れるままにみたいなのっちが・・
あ、まぁ、、、芯はしっかり通ってる人だったけど、、、
「うん、、なんか、ごねたんだと思うよ?」
「なに、その曖昧な話w」
「あぁねwでも、たぶん、そんなことやってて、、、神様も呆れたんじゃない?
気がついたら、あの駅のホームに、いた、、て感じですかね?」
のっちのワガママ。。。。さすがの、神様もおれちゃったわけ、か。
でも・・・
「ずっとは、いられないんでしょ?」
「・・・うん、、、たぶん」
「いつまで、なん?」
そう尋ねると、のっちは
「それは、話せないってのが、セオリーっしょ?」
て、今にも泣きそうに微笑んだ。
「でももう、、、泣かせんから」
「えっ、、、?」
「かしゆか、、泣いてないよ・・?」
あれから、泣いてる姿を見たことない。
「あぁ、、、ね。ちゃんと涙流してくれてたら、まだよかったんだけど…」
「え?」
「んー・・・なんかね、ずっとずっと、泣き声だけ聞こえてたの。
なんかもう、いたたまれなくって、、、だから、神様にケンカうってやったわけ」
茶化すように、のっちは笑った。
そして
「もう、ゆかちゃんのことは、泣かせないよ」
それだけは、約束するから。
そう言った。
あぁ、、もう・・・
言いたいことはいっぱいある。
急に、おいていかれちゃって、寂しかったのは、かしゆかだけじゃないんよ?
でも・・・
「わかった、、、今度こそ、後悔せんように、ね」
「うん。ありがと、あ〜ちゃん」
へらっと、笑って答えるのっちを思わず抱きしめた。
「・・・また、会えてよかった・・・あ〜ちゃんだって、のっちのこと大好きなんだから」
「うん、のっちも、あ〜ちゃん大好きだよ」
じゃぁ、ね。
別れの挨拶は、とてもシンプルで。。。
あ〜ちゃんとのっち、なら
これくらいでちょうどいいでしょ?
残された時間は
二人のためのもの、だから。
最終更新:2009年12月09日 14:53