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 (side.N)

驚いたどころの騒ぎじゃない。
本当、魂が抜けたよ一瞬。
飲み物と、二人に頼まれたピノを買いに行って…。
ピノは近くのコンビニで売り切れてたから、ちょっと遠くにあるコンビニまで買いに行ったんだけど。
暑い中、アイスが溶けないように猛ダッシュで帰ってきて、二人の喜ぶ顔が早く見たいな〜とか思ってたら。
…確かに、ちょっと時間かかったよ?
…でもまさか、のっちがいない間に、こんな事になってるなんて…。

………

 (暑い…)
手にコンビニ袋を提げながら、家路を急ぐ。
 (エコバッグ…忘れちゃったよ)
急いで出てきたからなぁ…。
だって、あんな言葉でゆかちゃんが顔を赤くするなんて思わなくて。
…はにかんだ顔でありがとう、ってゆかちゃんに言われて…のっちまで顔赤くして…。
 (……あっ、アイス溶けちゃう…早く帰ろっ)
二人の笑顔のために、暑い中走って家へと戻った。

 ガチャ…バタン…

 「ふぅ…ただ、い…?」
ただいま、と言おうとして、違和感に気づく。
なんか…行く前と違って、空気が甘くてピンク色になってる気が…。
 …「ぁっ…んんっ…!」…
 (!?…今の声…ゆかちゃん…?)
音を立てず、二人に気づかれないように、ソロソロと部屋のドアに近づく。
壁にへばりついて、部屋をそっと覗き込むと…。
 (っっ!?)

…ゆかちゃんとあ〜ちゃんが…エッチな事してる…っ…。

ピンクの空気にさっきのゆかちゃんの声である程度予想はしてたけど…。
いざ目の当たりにすると、驚きで言葉が出ない。
そりゃ、いつかはこういう展開になっちゃいそうだな〜とか少しは思ってたけど…。
とりあえず、何よりも予想外だったのは、あ〜ちゃんがゆかちゃんを責めてるって事。
あ〜ちゃんは、エッチな事に関してはすごく内気で奥手だし…反対にゆかちゃんは、好奇心旺盛で強気なタイプ。
だから、もしこういう事が起こったとしたら、やっぱりゆかちゃんがあ〜ちゃんを責めるんだろうな〜とか思ってた…。
…あたしが色々考えてる間に、二人はどんどん先に進んで。

 「もっと…して、くれる…?」
ちょっ…ゆかちゃん、そんな甘い声でおねだりしてっ…。のっちの事忘れてない…?
 「う、ん…あ〜ちゃんも、もっとしたい…」
あ〜ちゃんまで…。ダメだ、完璧二人の世界に入ってる…。
少し寂しい気持ちになった…けど、それは後で凹もう。今は二人を見守ることの方が大切だよねっ!


あ〜ちゃんの手は、普段奥手な分、やっぱり戸惑いがあって。
でも、ゆかちゃんがそっと導くようにフォローしてくれてる…。
 (あっ、ボタンがっ…ジッパーまでっ)
ゆかちゃんのホットパンツを脱がすか迷ったみたいだけど、結局脱がせないでそのまま…。
 「あっ、はぁ…ん、んんっ…」
 (…はぁ…ゆかちゃん、可愛い…)
脱がせないのが逆にエッチだ…。
たまに聞こえる蜜の音が、余計に、二人と聞き耳を立てているのっちをエッチな気分にさせる。
 (何かのっち…変態さんみたい…)
そう思ったけど、高鳴る気持ちは留まることを知らない。
 (…いいや…変態さんでも…二人が見られるなら)
諦めが早かった。

途中、我慢できなくなったのかゆかちゃんが、本気のおねだりをする。
 「…っ…お願い…っ…あ〜ちゃん…来て…ぇ」
 (…っ)
これは何度聞いても…クる。
あんな甘い声で耳元でおねだりされたら、いくらのっちでも我慢できないもん…。
実際、少し離れてる今でも腰が砕けてしまいそう。
 (あ〜ちゃん、あんなにとろ〜んとしちゃって…まぁ、無理ないよね)
 「ゆかちゃん…いい…?」
確認するようなその言葉に、ゆかちゃんはあ〜ちゃんを見つめて…伏し目がちに頷く。
 (くはぁっ…こ、れはっ…)
離れてみているにも関わらず、ゆかちゃんの可愛さに先にのっちがやられてしまう。
あ〜ちゃんも我慢できなくなったのか、指を動かし始めたみたいだ…。

 「あっあぁ…っ」
恍惚とした表情で、無意識かわからないけど、腰を動かすゆかちゃん。
自分がゆかちゃんを抱いているような錯覚に、胸を高鳴らせる。
 「…あっんっ…はぁっ、あぁっ…」
慣れないながらも頑張って指を動かしていたあ〜ちゃんだけど…顔に不安と言うか、弱気な気持ちが見えた。
 (大丈夫…あ〜ちゃんっ、自信持って…っ)
陰ながら応援するのっち。
ゆかちゃんもあ〜ちゃんの不安に気付いたのか…
 「あっ、はぁっ…あ〜、ちゃん…だい、じょうぶっ…んぁ…っ…すごく、上手、だよ…っ」
 (ゆかちゃん…優しいなぁ…)
あ〜ちゃんに抱かれるゆかちゃんを見て…ゆかちゃんの新たな一面を見た気がする…。

ゆかちゃんの言葉に元気づけられて、愛撫を激しくするあ〜ちゃん。
ゆかちゃんを気持ちよくしてあげようと頑張るあ〜ちゃんも、普段は見れない、あ〜ちゃんの新たな一面。
二人のエッチな顔も、普段見れない顔も見られて、すごい得した気分…。
 「…あっん…っあっあぁっ…っ!?」
しみじみとそう思っていたところに、ゆかちゃんの一際大きい甘い声。
 「ゆかちゃん…ここ、気持ちいいの…?」
 「あぁっ…!?だめぇ…っ…やぁぁ…っ…」
 (ゆかちゃんの弱点…あ〜ちゃん、わかったんだ…。あ〜ちゃん、もうちょっとだよっ!)
絶頂に導こうと、激しくゆかちゃんを責め立てるあ〜ちゃん。
 「っ!だめっ…あ、たし…っもうっ……やぁぁっ……!!」
あ〜ちゃんに弱点を重点的に責められたゆかちゃんは、それから間もなくして体を震わせながらイってしまった…。


綺麗な髪を宙に躍らせながら、後ろに倒れそうになるゆかちゃんをあ〜ちゃんが抱き寄せる。
ゆかちゃんの顔を覗き込んで…。あ、顔が真っ赤になった…。
確かに、イった後のゆかちゃんは本当、恐ろしい破壊力だからね〜…。
のっちも何度やられて二回戦に持ち込んだことか…っ。
 「ゆかちゃん…もう一回、していい…?」
…。あの…あ〜ちゃん…?
 「ゆかは…いい、けど…。でも…のっち、帰って来ちゃうよ…?」
そうそう。ゆかちゃんの言うとおり、のっち帰って来ちゃうよ?…ってもう帰ってきてるけど。
 「…のっちなんて、ほっとけばいいんじゃ。こんな可愛いゆかちゃんを独り占めするのっちなんかっ…」

…!今、何て言った…?『のっちなんて、ほっとけばいいんじゃ』…?
あたしが暑い中頑張って二人のために遠くまでアイスを買いに行ったにもかかわらず?
それに…二人ともあたしって言う恋人が居るのに?あたしをほっとけって?……
なにか、おかしくない?それ…

些細な一言だ。
何てことない、ただの一言。そんなに深い意味は込められてない。
でも。
あ〜ちゃんが例え軽い冗談で言ったとしても。
今のあたしには、笑えない、流せない冗談だった。
まさか…あんな一言で、こんな気持ちになるなんて…っ…。
…心がグッと握りつぶされて、その隙間から零れ出た黒い感情があたしを包む。
…だめだ…堪えたいのに…っ、抑えきれない…っ…

もう一度キスしようとしている二人に、あたしの体が、口が…勝手に動く。

 「誰を、ほっとけばいいって?」

っ…止まれ…止まれっ…

 「随分、楽しそうな事、してるみたいだねぇ?」

止まっ、て…っ…このままじゃ、あたし…っ

 「これは浮気になるのかなぁ?…そうだとしたら…二人にはおしおき、しなきゃだよね?」

二人にヒドイ事、する…っ


…あたしの口は、結局止まってくれなかった。
あたしの心のどこに、こんな黒い感情があったんだろうか。
後から後から出てくるこの感情は、いつものあたしを殺して。
この黒い感情に突き動かされるまま、あたしは…二人に、近づいた…。






最終更新:2008年10月12日 17:19