何で、気付いちゃったんだろう?
何で、あなたなんだろう?
気付かなければ良かった
あなたでなければ良かった
気付かなければ、こんなに苦しくなかった
あなたでなければ、こんなに辛くなかった
好きだと思っていた人は
好きだけど、ただ甘えていたことに気付いた
心が動揺するのは…
愛しいと感じたのは…
あなた、だった…
Side A
「あ〜ちゃん。今日この後、時間ある?」
帰りの車で、のっちが聞いてきた
「うん、大丈夫じゃよ?」
「ホント?じゃあさ、帰りに家寄ってくれん?」
「良いけど…ゆかちゃんは?」
あたしはチラッとゆかちゃんの方を確認した
「あぁw今日は良いんだ。今日は、あ〜ちゃんと話したいんよ」
「そう…」
のっちとゆかちゃんは、好き同士で付き合っている
特にのっちの、ゆかちゃん好き好きオーラは隠そうにも、隠し切れてないほどで…
今日だってのっちの視線は、ゆかちゃんを追っていた
そんなのっちを視線で追いかけるのはあたしで…
ゆかちゃんが羨ましいなって思うこともあった
もちろん、ゆかちゃんのコトも大好きだけど…
二人が付き合うまでは、よくのっちから相談された
気持ちは複雑だったけど、のっちが好きな人と一緒になれるならと、アレやコレや手助けもした
だから、今日も何か相談でもあるのかなと思って、のっちの部屋に行ったのに…
「昨日…ゆかちゃんと別れた」
部屋に入るなり、前を歩いていたのっちがそう言った
何で?
あたしは驚いて、言葉に出来なかった
だって、あんなに仲良かったでしょ?
今日だって、笑ってたじゃん
なのに、何で?
のっちは、まだゆかちゃんを好き
ゆかちゃん
何で?
立ち止まって振り返るのっち
「ゆかちゃん、他に好きな人いるって」
あたしの心が分かるみたいに、のっちが言葉を続ける
「好きな、人?」
「うんw」
ホントは泣きたいはずなのに、笑うのっち
お願い
そんな顔しないで?
気持ちが、溢れちゃうよ…
のっちが好きなのは、ゆかちゃん
ゆかちゃんが好きなのは…
誰?
そう聞こうとしたら、震える手があたしを抱きしめてきた
「のっち…」
「ごめん。ちょっと、このままで、いさせて…」
のっちは、うちらの中では一番心の切り替えが上手い
へこむ事があっても翌日にはケロッとしている
だから今まで、こんな風に、泣きついてきた事なんてない
それほど好きなんだって…そんなのっちに胸が締め付けられる
まだ、泣いているのっちを呼ぶと、おずおずと体を離して、顔を合わせてくれた
「のっち。大丈夫よ。あ〜ちゃんおるけぇ。のっちの側におるけぇ…。そんな顔、せんで?」
涙に濡れたのっちの頬を指で拭きながら、大丈夫って笑いかける
見つめる大きな瞳は、何を見てるの?
一瞬大きく揺れたと思ったら、のっちに抱き寄せられて…
キス、されていた…
「ん…」
あたしの声に慌てて離れたのっち
「ご、ごめんっ」
「良いよ?のっちがしたいなら…」
「あたし、のっちのこと…」
好きだから
その言葉は言えなかった
言ってはいけない気がしたから
でも、言わなくてものっちは気付いてる
だから謝るんでしょ?
「あ〜ちゃん…ごめん」
そう呟いて、また唇を重ねてきたのっち
ゆかちゃんを好きな気持ちを持て余して、やり場所を失っている
だったら、逃げ場所をつくってあげなきゃ…
この日、あたしはのっちに抱かれた
想っていた人に、抱かれた
のっちはゆかちゃんを想いながら…
それでも、あたしの名前を呼んでくれた
あたしは、のっちの悲しみが少しでも減ってくれるなら、それで良かった
「あ〜ちゃん、ありがと」
「ちょっとは、役にたてた?」
帰ろうとするあたしの後ろから、声を掛けてくるのっち。
「うん…あと、ごめん」
申し訳なさそうに謝る
「それは、何のごめん?」
「え…」
「エッチしたこと?それとも、気持ちに応えられないこと?」
「……どっちも」
「ふwどっちも気にしなくて良いよ?気持ちは知ってるし、エッチは同意のうえだし」
「でも…」
「もー!いい言うとるじゃろ?また、寂しくなったらいつでも呼びんさい!のっちが大丈夫思うまで付き合うけぇw」
「あ〜ちゃん…」
「のっちに甘えられるの、嫌いじゃないから」
「ありがとぅ…」
「それじゃ、また明日」
「うん、お休み」
のっちに手を振って家に帰る
部屋に着いて浮かんできたのは、のっちに抱かれた感触と、ゆかちゃんの顔
ねぇ、好きな人って、いつから好きだったの?
のっちとは、元に戻れないの?
翌日
それらの質問をするために、休憩の為に控え室を出たゆかちゃんの後を追いかけた
ーつづくー
最終更新:2009年12月09日 15:44