アットウィキロゴ
Side A
「おはよ」
「おは、よぅ」

のっちに触れたと思ったら
至近距離でのっちの目が開いてビックリした
まさか起きてるなんて思わなかったから

「どうしたん?びっくりしてぇ」
「だ、だって起きてると思わんかったけぇ」
「そうなん?折角だから、お早うのチュゥでもしようと思って?」
「な、なに言いよるん!ばか!」
「だって、うちら恋人じゃろ?」
「で、でも…」

すぐ終わっちゃうじゃん

「良いじゃん、しよ?」
「…うん」
「んじゃ、改めて。おはよw」

そんな嬉しそうに言わないでよ
そんな嬉しそうにキスしないでよ

「シャワー…借りるね」

キスの後、何も着ないままベットから出て、昨日脱いだ服を手にのっちが居る部屋を後にした
開けた浴室は少しひんやりして、今のあたしにはちょうど良い
あたしの我儘も、もうすぐ終わる

シャワーをしてココを出れば、もう学校へ行かなくちゃいけないから、一旦家に戻らないとだし
のっちとの恋人の時間が終わる

シャワーを浴びながら、ふと目の前の鏡に映る自分の胸元の赤が目に留まる
いくつかある中で、一際目立つ赤
まるで心臓に目掛けて付けられた、その痕

なんで、こんな付け方するのさ
訳わかんないよ
指でなぞりながら、また想いが溢れそうになる
それを必死に抑えながら、少し熱めのお湯で全身流していく
本当に流れて欲しいものは、流れてはくれないけど…



部屋へ戻ると、なにやら朝食の準備中

「あ〜ちゃん、朝ごはん食べてく?」

爽やかに言ってくるその雰囲気に
まるで、のっちとの関係に終わりが来ないような、そんな錯覚を起こす
でも、いつまでもダラダラ居続けるわけにもいかないから

「ありがとぅ…でも、もう行かんとw」

出来るだけ明るく、のっちが思うような太陽みたいに
あたしは笑えてる?

「そっか、んじゃ、これ持ってって?」

のっちが冷蔵庫から出してきたのは、スーパーで買ったであろうフルーツの盛り合わせ

「あ〜ちゃん食べると思って買ってきたヤツじゃけぇ」
「珍しく気が利くんじゃね?」
「ははwたまにはね?」

プラスチックのケースを受け取って、玄関へ向かい
靴を履く前に振り返って、のっちと向き合う

「我儘…きいてくれて、ありがとね」
「それは、あたしの台詞wあ〜ちゃん、ホントありがと。あ〜ちゃんのお陰で幸せだった」
「あたしも…幸せだったよ?」

のっちが幸せだったのなら、あたしにとっても幸せだよ

「ね、最後の我儘きいてくれる?」
「何でも言って良いよ?」
「ぅん…あの、最後に、ぎゅってしてくれん…?」
「…うん、喜んで」

両手を広げたのっちにすっぽり包まれて、最後の温もりをかみ締める
もうこの手が、あたしに伸ばされることはないから
もし、そんなことがあるとすれば、それはきっと夢だ
あたしだけが見る、儚い、夢…



なぜか離れようとしないのっちに、あたしからそっと離れる
抱きしめてくれた事にお礼を言って、靴を履く
最後に、もう一度のっちの方へ向き直って

「じゃあ、また後で…」
「うん、また…」

ヒラヒラと手を振りながら見送ってくれる
玄関のノブに手を掛けて、ガチャリとドアを開けると、外の光が隙間から入ってきて眩しかった
のっちなしで輝く世界なんてないのに…あたしはその世界に行かなくちゃいけない


行かなくちゃ…
だから最後に

「ありがとう」

小さく呟いて、ドアを閉めた

そして一緒に
想いの扉もパタリと閉めた

のっちの部屋から帰って、のっちから貰ったフルーツを食べる
大好きなフルーツなのに、泣きながら食べるなんて、おいしさ半減じゃん
でもさ…のっちがあたしのために買ってくれたからさ…

「あ〜ぁ、、おいし…」


—つづく—






最終更新:2009年12月24日 18:10