㊖side:K
ここ数日、のっちの様子がおかしい…夜もあまり眠ってないみたいで元気もない。
仕事中に目が合って…少し前なら優しく微笑んでくれていた瞳も微かに憂いを帯びている。
ー倦怠期かなぁ?冗談めかして溢したのは、否定して欲しかったから。
『ありえんよ』
あ〜ちゃんの答えに心底安堵して気づいた。ゆかそんなに不安だったんだ…。
『のっちのことは、あ〜ちゃんが信じとる。でなきゃ最初から任せたりせん』
夕方、事務所へ向かう道で偶然のっちに会った。
木枯らし吹き荒ぶクリスマスムードたっぷりの街を夕日を追うように歩く。
人に話すのが憚られる二人の関係が、少しだけ悲しい季節でもある。
だから尚更、ってわけでもないけど…
『…手、繋ぎたいな……』のっちの手を目指して伸ばされるゆかの手。もう少し…あと少し……。
瞬間一際強い風が吹いて、のっちはゆかの思惑を拒むように反対側へ移動してしまった。
目的地を失ったゆかの手。風に靡いた髪を撫で付けた後、寂しさと一緒にポケットへ仕舞い込む。
もちろん他人にひけらかすために一緒にいるわけじゃない。そんなのは分かってる。
㊖side:N
…例えばゆかちゃんがどこがで見つけて拾っていたとして…
それをとぼけたりするかな?…いやいや。そんなにひねくれた子じゃないもんな。
一目見れば、それと分かる代物なんだから……。
「ゆかちゃん」
「さ、最近さ…何か変わったこととか…なかった?」
「何それ、…例えば?」
「えっ、ん〜……控室とか家とか車の中とかでさ、何かさ……」
「はい?」
「あ、いいや!なんでもない!」
「……?」
もう心当たりは全部探したんだ。あとは…。
あと探していない場所は一つだけ。よりにもよって一番やっかいなあそこだけ。
「ゆかちゃん……明日、お家に行っても…いいかな?」
つづく
最終更新:2009年12月24日 18:33