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窓の外は、ひらひらと雪が舞っている。
一つ向こうの大通りは、クリスマス一色で賑やかなものだけど
少しだけ路地を入ったとこにあるこの場所は
行き交う人もまばらだ。


はぁ、、、、と息を吐き出せば、窓ガラスが白くにごる。
そっと、手で触れると、、、、冷たくってじんじんする。


ニューヨークに来て、2度目の冬。
この寒さには、まだ当分慣れそうにない。
…と言っても、ずっとここにいるわけでもないのだろうけど、、、
いつまでここに…?


—いつまでも、ここに・・・



ガチャリ、と扉の開く音。

「たらいまぁ〜」
うぅ、、さっぶ!とか言いながら、
がさがさとたくさんの袋を提げた愛しい人のおかえり。
「おかえり、のっち」
「遅くなってごめんね」
「うぅん、全然大丈夫だよぉ」

いろいろ買ってきたから
そう言って、のっちは、テーブルに
ピザやら、チキンやらを並べ始める。

「ふふっ」
「ん?」
「なんか、一足早いクリスマスみたい」
「あぁ、、ねwお店の人にも、間違ってないかい?て言われちゃった」
「そりゃ、そうだw」

「誕生日おめでと」
「それ、今朝も聞いたから」
「何回言ってもいいでしょ?」
「もうこの年になったら、嬉しくない!」
ほんとは、すごくやさしい顔して「おめでとう」と言ってくれるたび
嬉しくて嬉しくて、幸せでどうしようもないくせに、ね。


今朝はめずらしく、のっちのほうが先に起きていて
驚くことに、朝ごはんまで作ってくれていた。
—なるほど、今夜のこの大雪は、そのせいか・・・

「誕生日おめでとう!」
「ありがとう」
誰よりも早くお祝いしたいから。
そう言って、手渡してくれたプレゼントのちっさな箱を開けると
以前ゆかが、あるお店にディスプレイされていて
思わず「かわいい」って漏らしてしまった、ネックレスだった。
「…よく覚えてたね」
てか、聞こえてたんだ。欲しいと思ったのは確かだけど
そんな手軽に買えるようなものじゃなかったから・・・
「ん?そりゃ、覚えてるよ」




「あ、さっそくつけてくれてるんだ」
ピザを頬張りながら、嬉しそうに笑うのっち。
「うん、すごく嬉しくって。ねぇ、似合ってる?」
「うん、めっちゃ似合ってる!」
「ありがと」
「こっちこそ、ありがとう」
「へ?」
「いつも、のっちのそばにいてくれて」


思いがけないコトバに、視界が滲む。
「えっ、ちょ、、え、どうしたん?」
いきなり泣き出しそうになった、ゆかを見て、のっちが慌てる。
「のっち、なんかした?」
「ちがう、そうじゃなくって、、、
「?」
「幸せだなぁって、思って」
「うん」
「ゆかこそ、ありがとう。大好きだよ」


異国での生活はめまぐるしくて、あっという間だった。
たくさん大変なこともあったけれど、のっちと一緒だから大丈夫だった。
出会った頃の幼さは、もう記憶の彼方。
時折、はらはらと、花びらのように、あどけなさが顔をだすけれど…

再会して、、そして
ニューヨークにきて、どんどんオトナになってくのっち。
世話がやけるのは、相変わらずだけど
守られているのは、明らかに、ゆかのほうだ。

なのに、のっちはゆかに
「ありがとう」をくれた。

ねぇ、それ以上のプレゼントなんて、ゆかにはないよ。


ありがとう、のっち。
まっすぐなあなたに、何度救われただろう。


さっきまで、また少し顔を出し始めていた不安の芽も
のっちのやさしさが覆い隠してくれた。


窓の外に目をやる。
雪は降り止みそうにない。


のっちの想いみたいに
ゆかの想いみたいに


どんどん降り積もっていく。


いつかとけちゃう?


うぅん


この狂おしいほどに、アツイ想いは


あたたかな春がきても、きっと

とけない。






最終更新:2009年12月24日 18:36