㊖side:K
翌日仕事終わりにのっちを連れ帰った。
昨日作って寝かせておいたカレーを食べて、DVD見て…
あまりにも普通に過ぎてゆく時間。
『ちょっと、ゆか誕生日なんだけど』
よっぽど言ってやろうかと思った。けど…、甦る天使の言葉。
『のっちのことは、あ〜ちゃんが信じとる』
㊖side:N
…ゆかちゃん家…片付き過ぎじゃろ。こうなったら…
「ゆかちゃん大掃除しよ!」「………は?」
「年末といえば大掃除っしょ!」
「………別に、…いい」
「遠慮せんでいいよ!」
㊖side:K
無邪気な様子に…悲しくなった。まさかほんまに忘れとるの?
勝手に動き始めた背中に問いかける。
今日その為に来てくれたんじゃないの?結局………
……ゆかばっかりなの?ゆかばっかりのっちが好きで…。
「遠慮なんかしとらんって」
何でのっちはゆかといるの?
「ねぇ」
拒んだら仕事もやりにくくなるから?別れるときも後腐れ無さそうだから?
「ねぇのっち!」
ただそれだけだってゆーなら…もう期待させないでよ……。
「のっちが触ったら大事なものとか失くされそうだから触らんでよ!」
衝動的に近くにあったクッションを投げつけていた。
ベッドサイドの小物が派手な音をたてて散らばった。
㊖side:N
ゆかちゃんの言葉が耳に痛かった。胸も、ひどく痛んだ。
「……のっ「ごめん、帰るわ」
部屋を出て、隣の部屋に広げた荷物を乱暴に鞄にしまっていく。
ーこうやって散らかすから失くすんだ。
出来上がりを手にした時は、世界で一番誇らしかったな。
頑張ってお金貯めて、渡した時のゆかちゃんの顔を一人想像したりして
ニヤニヤして、ウキウキして、幸せで…。あんなに幸せだったのに……。
今日だって本当はダメ元で来たんだ。今日の今日だもん。
ここになかったら諦めて、全部白状して謝ろう…許して貰えなくても謝ろう。
そう思ってここへ来たのに……もう不甲斐なくてどんな顔したらいいか…
鞄を掴んで立ち上がると、後ろに気配を感じた。
「……のっ…ち」
ゆかちゃん……声…震えてる…
「……こっち…向い、て…?」
つづく
最終更新:2009年12月24日 18:46