㊖side:K
「…のっち………お願い…」一度天を仰いだのっちがゆっくりと振り返る。
瞳にゆかを映して、ゆかの視線の先を追う。俯くゆかの…視線の……先……。
手の中の「それ」に焦点が合った瞬間…その特徴的な大きな目が、
めいっぱい開かれた…。
「………っ!……なっ……」
㊖side:N
愛しい人の手の中には、のっちがずっとずっと探していた小さな
小さな
…箱
「…ゆかちゃん…っ!そ、それ、…どこに……」
「っ……うん」
さっきクッション投げたとき、フォトフレームとか倒れて落ちちゃったけぇ拾わなきゃと思って…
「…ベッドの………下、潜ったら……」
「…な、中、……見たの…!?」
……コクン。一瞬の躊躇いの後ゆかちゃんは黙って頷いて、また俯いた。
途端に力が抜けて膝から崩れ落ちた。同じようにしゃがみこんだゆかちゃんと視線が交わる。
「…これ………ゆか、に?」
「…………他に、誰がおるんよ」
㊖side:K
「あ゙〜!もぉぉ〜!!」
「っ!?」
「…いろいろ……考えてたのに…」
「…どんな渡し方がいいか…どんなこと話そうか…」
全っ部、台無しじゃ…。のっちは頭を掻き乱して悶えている。
「……ごめんね、ゆかちゃん」
「…何が…?」
「だって…」
泣いとるじゃん…両頬を掌で包まれるまで、全く気がつかなかった。
㊖side:N
ゆかちゃんの綺麗な瞳からは後から後から涙が零れて…。泣きたくなった。
のっちは大バカだよ。何で好きな人の誕生日に好きな人泣かすかな…。
「のっち…」
「ん?」
「のっちが、つけて…?」
ゆかちゃんはそう言うと箱をのっちの手に乗せて、両手を差し出した。
驚いて、箱とゆかちゃんを交互に見比べていると、ゆかちゃんは小さく頷いた。
綺麗な手…明らかに見劣りする自分の手はガタガタ震えていて情けない。
慎重に箱を開けて取り出した指輪…ゆかちゃんの手に触れたら緊張はピークに達した。
小さく息を吐きながらゆっくりゆっくり、…その位置を占領した。
㊖side:K
どっちなのか、のっちにとってはどっちがいいのか分からなくて、両手を出した。
でも少しの迷いもなくゆかの左手を手にとったのっちを、
「うん、ピッタリ!めっちゃ似合う!似合うよ!」
世界で一番愛しいと思った。
つづく
最終更新:2009年12月24日 18:47