Side A
のっちはゆかちゃんの時同様、なんら変わらずに接してくる
それが助かる反面、切なくもなった
あたしの中で、のっちとの関係は相当の影響を及ぼしていたらしい
今のあたしはかなり重症…
夜になると、のっちが恋しくなる
鏡の前で、もう消えたはずの痕を指でなぞっては、胸が苦しくなる
だから必死にダンスの練習をした
思い切り何かに集中すれば、変に考え込まなくても済むから
「あ〜ちゃん、休まんの?」
「あ、うん、平気…」
スタジオの中だと、二人が気にして休めなくなるといけないから、一人廊下でひっそりしてたんだけど、ゆかちゃんが心配なのか見に来てくれた
一呼吸動きを止めて、返事だけしてまた再開すると
「無理しとらん?」
「…なにが?」
「足…痛いんじゃろ?」
「平気だってぇ…」
「…ウソつき」
小さく振りの練習をしている後ろから、突然抱きしめられた
もちろん、それであたしの動きは止まった
「ゆかちゃん?」
「フラついとるじゃん」
「だいじょ…」
さらにぎゅっと抱きしめてくる
「休むのも大事じゃ。体も、心も…」
「…」
それって、のっちとのこと?
見て判っちゃうくらい、ヒドイかな…?あたし…
のっちと一緒に居れなくなったこと、ゆかちゃんには話した
のっちのことお願いって、そう言われてたから
もう、のっちは大丈夫になったよ、って…
そしたら、あ〜ちゃんは?ってすごく心配そうな顔で聞いてきたゆかちゃんに、のっちが大丈夫ならあたしも大丈夫wって笑って平気な顔をして見せた
ただでさえ、武道館という大きな夢の舞台で、不安は大きいのだから
ゆかちゃんにあたしのコトで、余計な心配させたくない
その時ゆかちゃんは深く追求せずに、そっかって優しく頭をポンポンと撫でてくれた
「そりゃ、武道館じゃけぇ、気合入るのも分かるけど。休んで次のエネルギーにせんとwね?」
「う、ん」
後ろから、顔を覗くように言ってくるゆかちゃんに、少し戸惑いながら頷く
違っ、た、、?
…いや、ただ言葉にしないだけで、きっとのっちとのコトも心配してくれてるんだろうな
「ほら、休も休もw」
ゆかちゃんに手を引かれてスタジオへと戻る
久しぶりに安心した気がする
ゆかちゃんの手…
その日うちに帰って、休もうという考えも浮かんだけど
やっぱり、ふらっと立ち上がって練習を始めてしまう
ゆかちゃんに休んだ方が良いと言われたのに
あたしには出来そうにない
それしか、想いを閉じ込める術を知らないから、ごめんね?
折角、あたしの為に言ってくれたのに…
だけど、それも
もう、長く持たなそう…
—つづく—
最終更新:2009年12月24日 18:53