Side K
「…大丈夫だよ。ゆかちゃんのキズ一つで嫌いになんてなれないよ」
のっちはそう言ってくれたけど、やっぱりちょっと不安…
しばらくの間、俯いてると
「あたしは、全部知りたいな…ゆかちゃんのコト」
そっと手を重ねてくる
ヤダ…すごいドキドキする…でも、のっちなら…
思わず体に力が入ると、ぱっとのっちの手が離れて
「うはぁ〜wやっぱ出来ないやぁ」
「え?」
「見られたくないのに、しちゃったら、絶対あ〜ちゃんに怒られるよw」
急にテンションが変わったのっちに振り返ると、後ろ手を突いて天井を見上げてる
「ゆかちゃんごめんね?怖かったでしょ」
「ちょっと…だけ」
「じゃあ、止めて良かったwあ〜ちゃんにゆかちゃん守るんだって言ったのに、怖がらせたら意味ないじゃんねぇ?」
危ない危ないって言いながら、私から離れようとするのっち
そののっちに抱きついて、動くのを止めさせると、戸惑うのっち
「ゆ、ゆかちゃん、ダメだよ。我慢できなくなるでしょ?」
「良いの!…怖かったけど、嫌じゃ、、なかったから」
「はへ?」
「私も、のっちのコト、知りたい…」
「…もう、ずるいなぁ。そう言われたら断れないよ…」
さっき解かれた腕が、また私の体に回された
「嫌いに、ならないでね?」
「そんな心配、しなくて良いよ」
まだ残る不安
言ってしまえば、トラウマのようなもの…
昔からそうだった
心臓の手術自体はもっと前にしていたから
特に高校生の時は、このキズが憎くてしょうがなかった
好きな人をつくらないようにしたって、やっぱり年頃だから気になる人はできるもので
だけど、時々耳にする会話が、すべてを諦めさせる
『あいつスタイル良いし、可愛いんだけどなー…あのキズ、勿体ねぇよな?』
ひそひそしてたって聞こえてるっつうの…
いつもわざと強がって、そんなの気にしません?て顔してたけど
本当はすごく辛かった
さらにヒドイと
『てか、エッチできねぇだろ?』
『心臓イッちゃったらやべぇもんな?』
最悪だった
そこに気になる相手がいた日にはもう…
心臓の前に心が壊れちゃいそうだったよ…
「もし、嫌だったら言って?すぐ止めるから」
「…ぅん」
ベットに移動して、向かい合わせで座ると、真っ直ぐ見つめてそう言ってきた
のっちの顔が近づいてきて、今日初めてのキス
前にしたみたいに、啄ばむようなキス
次第にキスの間隔が短くなってきて、深いキスへと変わっていく
「…ん、のっち…苦し…」
息が上がってそう言うと、すぐに止めるのっち
「ごめん、大丈夫?」
心配そうに顔を窺ってくるのっちに
私は呼吸を整えながら頷く
「なんか…のっち、慣れてるよね?」
「へ?」
「…て、当然だよね…」
あ〜ちゃんといっぱい、シたんだろうし…
「何?嫉妬?w」
「べ!別に…そんなんじゃ…」
「またまたぁwゆかちゃん可愛ーいーw」
ニヤニヤしながら言ってくるのが、見透かされてるみたいで、ちょっと悔しい
「大丈夫だよ…今はゆかちゃんが好きだから」
「今…あ〜ちゃん出てきたら?」
「wあ〜ちゃん、そんなKYじゃないよぉ。絶対出てこないからw」
「も、もしもだよ…」
て、私は何言ってるんだか…
「んん?んー…たぶん、すごいブーたれる。そんでゆかちゃんとさせてーって駄々捏ねるwそしたら呆れて戻っていくでしょ」
『…あほ』
あ、今のあ〜ちゃんだ
すでに呆れてる感じ?
「えwwこんなに一途な気持ちをアホだなんてぇw」
のっちは気付いてない
「大体、ゆかちゃんが聞いてきたんでしょ?」
「ぅん、そうだね?」
「ぅww」
なんか拗ねてるw
「ごめんね?アホだなんて思ってないからぁ」
私はね?
でも、だからって
「…じゃあ、脱がしても良い?」
「…急ですね」
さすがに、それはないでしょ…
「だってぇ…好きなんだもん」
眉を垂らして、また情けない顔して、何その台詞
「もぅ…ばか…」
「あw今、照れた?照れたでしょ?」
またニヤニヤしだした
ホントなんなのこの人?全然つかめないんだけど…
「もう、やだ…」
「え!」
「だって、さっきから茶化してばっかり…」
「そ、それはぁ!その…」
言葉に詰まった
「なに?」
「き、キンチョーしてる、から…」
「え…うっそぉ」
「ウソじゃないって!ほらぁ!」
グッと私の手をとって、自分の胸にあてるのっち
あ、ホントだ。凄いドキドキしてる
「で、も、のっち慣れてるでしょ?」
「そりゃ、あ〜ちゃんとはそうだけど…。ゆかちゃんとは初めてだし…怖がるようなことしたくなかったから、つい…。シリアスにいくと嫌かなって思って…でも、ごめん。逆にヤな思いさせちゃったみたいで…w」
なんだ、凄く純粋なんだ
私のこと想って、色々考えてくれたんだね
なのに…
「私もごめんなさぃ。全然気付かなくて…。そんなに、気遣わなくて良いよ?のっちのままで良いから…」
「うん、ありがとw」
Side N
やっぱ、あたしヘタレ…
もっと、カッコよくリードしたかったんだけどなぁ…
せめて、ここから挽回できるか?
そんなことを考えていたら、おもむろに羽織っていたパーカーを脱いで、洋服の裾に手を掛けた
え?
少し躊躇して、すぅっと息を吸ったかと思ったら、バッと服をたくし上げたのを見て、思わず息を呑んだ
けど、ゆかちゃんは全部脱いだわけじゃなくて、頭だけ抜いて、腕を抜いてない服で胸は隠れていた
「やっぱり、ちょっと緊張するね…」
そりゃそうだ
あたしも、見えた腕や肩の肌色に緊張してる
手元でモゾモゾとしてるその姿が愛しくてしょうがない
全部脱いだ服を少し躊躇いがちに下ろすと、露わになった傷痕
視線を奪われた。もちろん良い意味で
確かに少し生々しいのかもしれないけど、触れたいって、思ったんだ
—つづく—
最終更新:2010年01月19日 17:42