アットウィキロゴ
㊖side:N

ー…ったく、手間かけさせよってから…。
ゆかちゃんの指に陣取ったそれを少し苦々しい気持ちで見つめる。
ーそんなに早くゆかちゃんの傍に行きたかったん…


「……なんかもう、ごめん」
「……本当だよ、泣かしてさ…」
預けられた身体を引き寄せた。規則正しい呼吸と穏やかなぬくもり。芳しい香り。
ーああ、変わらんわ…。のっちもこの指輪とおんなじだ………。
全部ゆかちゃんの為のものなんだから。傍にいられなきゃ何の意味もない。

「……聞きたい、な」
「ん?」
「何を…言ってくれるつもりだったん…?」


㊖side:K

「のっちは…」

「のっちはゆかちゃんの誕生日が、好きです」
……ん?誕生日が?
「…ゆかが、じゃなくて?」
真剣な目にドキドキさせられるのが悔しくて、からかってみる。
「もう!チャチャ入れんでよ!えっと、なんだっけ……そう!誕生日が好きです!」

「ゆかちゃんが生まれて来てくれた日だからです」
もしも愛情に入れ物が必要だとしたら、きっと…
「ゆかちゃんが生まれて、生きて来てくれたから」
どんなに大きいのを用意しても間に合わないな…
「だから…のっちはゆかちゃんに出会えました」
……絶対足りないもん
「ゆかちゃん………」
……絶対、溢れちゃうもん
「本当に、ありがとう」
ゆかの、のっちへの愛情


㊖side:N
「……ん?『ありがとう』?…いや!じゃなくて『おめでとう』……あれ?…??」
どっちだ?なんか間違っちゃった?
「……決まらんな〜」
のっちカッコ悪…。しかも、
「!……あっ」
巡らせた視線の先には、時計。0時を少し回っている。……最悪…。
「…終わっちゃったね」
「…ん」
あーあ…散々じゃ。何もかんも上手くいかん……。仕方ない!
「また…来年!ね!?」
「え?」
「来年は蕩っけるような甘〜いセリフ用意しとくけぇ」
今日から1年かけてそれはそれは素敵なセリフを考えにゃ。
「…無理よ」
こらこら!何でそんな楽しそうかな、この子は。
「そんなことないって!のっちだって頑張……っ」
突然、唇に柔らかな感触…。視界には目を閉じたゆかちゃん。
「もう…蕩けちゃったけぇ」
……………こちらこそ。

fin.







最終更新:2010年01月19日 17:45