「あ〜、ゆかちゃんこっちこっち」
「のっちおはよう」
「おはよう、今日は楽しんで行きましょう〜」
「うん!」
やばいゆかちゃんの超笑顔かわいいすぎるんですが!
「…でものっち眠そうだね?」
「ふぁ、あいやそんなことないない!超元気だよ!」
まぁ昨日は3時過ぎ余裕でしたが何か
お母さんに急かされて部屋の掃除したりついでに大掃除手伝わされたりそれが終わると今日は何処に何しに行ったらいいのかずっと悩んだり
…やっと寝付けると思ったらゆかちゃんの顔がやたら浮かんできてなんだかドキドキしちゃったり
正直さっきまで眠くて仕方なかった!
だけどゆかちゃんの顔を見たらそんなんどうでも良くなってきたのも事実。
「ほんじゃ行こっか」
「うん」
結局あ〜ちゃんのアドバイス?を念頭に適当に買い物行って映画でも見ることにした。
確か飲み会のとき服を見に行きたいって言ってたんだ。
「あ、これかわいい」
「欲しい?」
「んー、でもゆかには似合わんと思うけぇ」
「え〜そんなことないって」
他愛のない会話、また昔を思い出す。
そういえば昔は趣味が合うからってたまに二人でCDショップ回ったりしてたなぁ
その時お互いに見つけておいたマイナーだったりインディーズだったりするアーティストを教えあったりして
その翌日貸しあいっこしたりなんかして感想をいいあうのが楽しかった。
ライブに行った後電車で興奮気味に語り合ったことも何度かあった。
懐かしいな。
今隣で真剣に品定めしている横顔はあの頃と重なる部分もあるけれどやっぱり変わってしまったところもある
なんというか、一言でいうなら確実にかわいくなった。
いつからこんなに人の胸を弾ませるような笑顔をするようになったんだろう?
いつからあんなに人の胸を締め付けるような悲しみを浮かべるようになったんだろう?
今日の待ち合わせのときも昨日のあの嘘みたいな時間も…ううん思い返せばもっと前からかもしれない
恋をするとかわいくなる…かぁ
ゆかちゃんには胸を焦がす人がいるのかな。
あれ、なんか変だ
ちくちく、胸が痛むのを感じた。
「あ、これのっちに似合いそう!」
「え?お、おー!いいかも」
「のっち今心ここに在らずじゃったじゃろ」
「ん、いやぁ?しょんなことないよ?」
「ゆかと一緒の買い物つまらん?」
ぷぅと頬を膨らませて…!
「そんなことないって!」
「…ならいいけど」
やばいちょっと考えに入り込みすぎてた
今はゆかちゃんと一緒なんだって!目の前にモノホンのゆかちゃんがいるんだって!
「あ、そだ!ゆかちゃん」
「なん?」
「欲しいのあったら買ってあげるよ?」
「え、ほんまに!?でも悪いよ〜」
「いいのいいの!羊しかあげられなかったのっちに変わってのちタクロースからのプレゼントだよ!」
「でもここ結構高いよ?」
「お…」
考え込んだ頭を乗せた身体はゆかちゃんについていくがままだった。
ここはゆかちゃんが前々からお気に入りアクセサリーブランドじゃないか!最近人気急上昇中って聞いたよ!
流石ゆかちゃんお目が高い!値段も高い!学生には高すぎる!だがここで逃げたら漢がすた…
「お買い上げありがとうございましたー」
「ありがとうのっち」
「いいってもんさぁ」
よかったお金多めに持って来といて
買ったあとは夕方からの映画の時間もそこそこ迫ってきていて、すぐに外に飛び出した。
身体に吹き付ける風はこの上なく冷たいけどなんとか財布の中はまだ温かい。
「ほんと嬉しい、ありがとう!」
「いやいやいやぁ〜」
買ったのはのっちの財布を考慮してかあの店にしてはだいぶリーズナブルなリングだけど
そこは流石にセンスがキラリと光るゆかちゃん、こういうのに少し疎いのっちの目にも俄然オシャレに映るデザインのものを選んでいる。
リーズナブルって言ってもそこそこしたけど、このゆかちゃんの笑顔の代償と思えば安いって素直にそう思った。
「ね、ね、貸して貸して!」
「えー落とさんでよ?」
「大丈夫だって!」
受け取った箱から素早くリングを取り出してそっとゆかちゃんの手を取る。
「うぇ?のっち?」
「せっかくだから付けておいてほしいんだ」
そういいながらはめてみる。左手の薬指になんて気取ったりして。
指はかじかんでいるし慣れないし映画のワンシーンみたいなんて思ってちょっと照れ臭いような気分になったけど
最初からそこにあったみたいに細長い指に綺麗にはまるそれを見ると買った自分が誇らしく思えた。
「やばい!超似合う!ね、ゆかちゃん、どう?どう?」
嬉しくて嬉しくて顔をあげる、するとそこには予想外に涙をこぼすゆかちゃんがいた。
「あ、…のっち」
「どどどどどしたん!」
あれ!なんか、悪いことしました!?
「ちが…」
もしかして薬指なんて無神経だった!?
「ごめんごめんごめん!」
あー…そっかそっかぁ…そんなに泣いて
ゆかちゃん好きな人がいるんだね
こりゃ決定的だよ
アイタタタタなんだか凄く心が痛いぞ
「違うんよ」
「うん、わかってる、ゆかちゃん好きな人がいるんでしょ?」
一瞬ピクッってなって泣き止んだゆかちゃん
図星か、今はっきりとわかったよ、失恋したんだねのっち。
この胸の締め付けは
ゆかちゃんを今日誘ったのは
ゆかちゃんと二人って考えて寝つけなかったのは
全部全部今思えば恋ってやつだったんだね。
「ごめんね。こんなんしたら勘違いしちゃうよね?迷惑だよね…」
でもいいんだ。ゆかちゃんを困らせたくて今日は誘ったんじゃない。
またそっとゆかちゃんの手を取って左手の薬指からそれを取って右手のそこにつけなおした。
「ほんとにごめんね?」
「ううん…ゆかこそこんなに取り乱してごめん…のっちも困るよね」
「のっちはいいんだよ」
ゆかちゃんが幸せになれるんなら、いいよ。いくらでも応援するよ。
とりあえず泣いたままのゆかちゃんを連れてなんて行けないから、近くにあったベンチに腰を掛ける。
門限のこともあるし帰ろうか?って聞いたけど最後に映画だけは行きたいって強くはっきり言うから、そこはのっちも甘えることにした。
ゆかちゃん、ほんとは顔グシャグシャだしそれどころじゃないのに見に行くだなんていいこだなぁなんて
そんなことは十年近く前にわかってたけど。
映画は結局レイトショーになって財布には優しかったけど
今時のラブストーリーでゆかちゃんとゆかちゃんの好きな奴に重ねてしまってのっちには全然優しくなんてなかった。
to be continued
最終更新:2010年01月19日 18:00