のっちは、あほで、ほんまにあほで、人見知りで、友達あんま居らんくて、クラスの人ともあんま喋ってないのに・・・・・なんで・・・
「なんでのっちの写真が売られとるん?!」
「ふぇ?」
わざわざ(保健室でサボってるって聞いたから)保健室まで言い来たのに、当の本人は寝ぼけとるし
「あ〜ちゃん見たんよ・・・同じクラスの子がのっちの写真持ってた」
「へぇ〜」
何かニコニコしてるのっちが非常に腹立たしい
「何がそんな楽しいんよ!?」
「あ〜ちゃんが、来てくれて、楽しい、よ?」
まだ起きぬけで頭が働いてないのか、やけにのっちはゆっくり話す。笑顔で
「そ〜ゆんじゃなくて・・・勝手に売られてたんよ?」
のっちは、すこし眉を八の字にして、あたしのブラウスの端っこをぎゅうっと掴んで
「じゃあ、・・・もぅちょっと、のっちのトコ、居って?」
かわいい・・・・・。って違う!だいたい、あたしがのっちのこと可愛い、なんて!そんなこと、あるわけ無い・・・・ことも無いのか・・
放課後、
「ほぅ、のっちの写真がねぇ〜」
「そうなんよ!うちの学校共学なんに・・・」
ゆかちゃんにも、やっぱり伝えておいた方がいいよね・・・いろいろと。
「うちの王子様は人気者じゃけぇねぇ」
「・・・・なんでこんなんがいいのか全っ然わからんよ。ゆかちゃんに“王子様”って言われてニヤケきったこのだらしない顔のどこが・・・」
「あ〜ちゃん、のっちもさすがに傷つくよ・・・」
「まぁ、そんなあ〜ちゃんのために、ここに“のっちさんの好きな所は?”って言うアンケート結果があるんだけどね」
なんでそんなのあるんよ・・・
「うちのクラスの女子にちょっと聞いただけじゃけどね」
「で、どこが良いって?」
何かノリノリなのっちがムカつく・・
「え〜っとね〜・・・“クールでカッコイイ!”」
人見知りでよぅ話せんだけじゃ
「“笑顔が素敵”とか“女の子に優しい”とか“勉強もスポーツもできる”とか・・・」
「あとは?あとは?」
おねだりする子供みたいに尋ねるのっち・・・アホっぽい・・
「あとはねぇ〜・・・“寝顔が可愛い”とか・・ってこれはさっきあ〜ちゃムグっ!
なに言うんよゆかちゃん!!思わずゆかちゃんの口を塞いだ・・・ああ、顔が熱い
「ヒミツやった?」
反省の色も無く笑うゆかちゃん。のっちはと言うと
「何なに?何か面白い事あったの?」
「で、皆頼りにならんからって・・・あたしのトコに来られてもなぁ・・・」
って言うのは苦笑いのちゃあぽん。ごめんよ、もぅ寝るトコなのに
「大体、学年違うのに・・」
「のっちって、そーゆーの気にしないでしょ?」
「・・・・なんで解るんよ?」
「まぁ、写真はちょっとアレだけどさ。のっちはもぅずっとそうじゃん」
「うそぉ・・・」
心底驚いてしまった・・・。そりゃあ、あたしはゆかちゃんとのっちのクラスじゃないし、のっちが人気あるのも知ってたけど・・・
「ラブレターも凄いし。変な逆(?)ナンも多いらしいし」
「・・・・・・・」
のっちが・・・らぶれたぁ?ナンパ?・・・んなアホな
「でも全部断っててさ、ゆかちゃんと付き合ってるんじゃないか、ってクラスの子が言ってたよ」
「ほんとうに・・・?」
「うん。でも噂だよ?同じクラスだし、あの2人なら何か画になるしさ。のっちファンも“樫野さんならしょうがない”ってなってるし、かしゆかファンも“大本には敵わない”ってのがあるからさ」
なにげに情報量が凄いよ、ちゃあぽん。さすが1年生の中でダントツの人気を誇るだけあるよ・・・
しかし、こんな事を聞いて、黙ってられるあ〜ちゃんではない!!
「ちゃあぽん!明日、のっちのクラス行く!」
「え“・・・・」
「真実を確かめるために!」
なんか燃えて来たーー!
「いゃ・・・あたしは遠慮したいんですけど・・・って聞いてないね・・・」
「よーし、噂の真相を確かめてやる。全校生徒のために!」
「・・・・お姉ちゃんが個人的に気になってるクセに・・・」
ん?ちゃあぽんが何か言った?・・・・まぁいいか!!
翌日、
「あのさ、お姉ちゃん・・・・もぅちょっと何かなかったの?これじゃサン●ラザな●の×2だよ・・・」
西脇姉妹はサングラスと禿のカツラで変装しました!
「これで、のっちのクラス見に行くんよ!」
「・・・・・授業サボるってことやね。うん、もういろいろ諦めてるけど」
「休み時間に走ってたら、間に合わんけぇね」
と言うわけで、授業中はのっちのクラスに近い保健室で待機して、全休み時間を監視!!
「・・・うん。大体予想ついとったけど、のっち、寝とるよ?」
「そうだね」
「・・・・あたし、1年校舎に帰っていい?」
「ダメ・・・・ちゃあぽん居らんと・・・不安じゃ」
「(我が姉ながら可愛い・・・)はいはい」
もうお昼休み・・・・
「あ、のっちが話しかけられてるよ!」
「え?!」
うわぁ〜明らかに好意むき出しな女子がのっちに話しかけとる
雰囲気的に何かに誘われてんのかな?女の子が話して、のっちがすこし困った顔した。
そんで、女の子が残念そうな顔で去っていった。
かわりにゆかちゃんが来て、のっちに何か言ってる。多分“ちょっとは友達作りなさい”的なことかな・・。
のっちは拗ねた子供みたいに、机につっぷして寝ようとしてる。ゆかちゃんは“はぁ〜全くこの子は”みたいな顔をしてから、のっちの頭をナデナデしだす。
- これは・・・確かに付き合ってるという噂が出てもおかしくない・・・。
「あっ!動いた!」
急にゆかちゃんはのっちの手首を掴んで走り出した・・・
「お姉ちゃん、どうする?」
「追っかける!!」
「・・・・やっぱり」
とか言いつつ、ちゃあぽんはあたしより足が速い
走ってる間に、ヅラとサングラスを投げ捨てた。ちゃあぽんが“助かった”って顔してた。
たどり着いたのは、屋上へ上がる階段。屋上は立ち入り禁止になってるから、生徒はもちろん先生も通んない。だから電気もついてないし、掃除もしてない、故にちょっとホコリっぽい
「ちょ・・あれ!」
ちゃあぽんが小声で言った。その視線の先には
「のっちぃ・・」
「ゆかちゃん?どうしたの?」
ゆかちゃんに迫られているのっち・・・・。のっちの後ろは壁、ゆかちゃんの色っぽい目、・・・・あ〜ちゃんにもこれくらいわかる
ゆかちゃん、ちゅうする気だ・・・
あれ・・?なんで涙が・・・・。ヤダ、見たくない、見たくないよ・・・。
でも、ゆかちゃんはどんどん近づいて・・・
その時
「はいはい!!その辺でねーー」
ちゃあぽんが大声を上げた
ゆかちゃんがこっちに気付く
「あ、ちゃあぽんだ!」
のっちが間抜けな声を出す
ゆかちゃんは、ニッコリと笑って
「挑発してみただけだよ」
ちょっと舌を出した
「ですよねー2人が付き合ってるわけないですもんねー」
「ゆかより可能性ない人に言われたくないなぁ」
「あ!あ〜ちゃんもいる!」
のっちに見つかった・・・。のっちは犬みたいに駆け足で寄って来て
「あ〜ちゃんなんで泣いてんの?」
「・・・・・・・知らん」
「悲しい事あった?」
「解んない」
「のっち、慰めるよ!あ〜ちゃんが泣いてたら悲しいからさ」
何か、気が抜けた・・・いつもののっちだ・・・。そう思ったら、なんでかまた涙が出てきた
「・・・泣かないで」
のっちの声が聞こえて、すぐ後に、目のした辺りに変な感触
「なっ何するんよ?!」
「うわっ。ごめん!何か・・・反射的にっていうか」
自分でどんどん赤くなってるのが分かる
「あ〜ちゃん?大丈夫?」
「・・・・大丈夫じゃない」
大丈夫な訳がない。気付いてしまったんだから
あたしはのっちの事が・・・・多分そーゆーコトだ
「ちょっと、あ〜ちゃん保健室に連れて行くね」
あたしはのっちにおんぶされて(どうやらのっちなりの優しさらしい)、保健室まで運ばれた
のっちは何だか嬉しそうだ
あたしはと言うと、もぅ心臓がイェイイェイのウォウウォウで・・・
でも、そんな“好き”なんて、あたしがのっちのこと?ほんとに?
ま、まぁのっちがどうしてもって言うなら・・・いいけど
<おまけ>
「ゆか達めっちゃ間抜けじゃね・・・」
「なんか、ホント・・・そうだね」
お姉ちゃんにも隠してたのっちへのちょっとした恋(というか憧れ?)は、あっさり幕を閉じた
「はぁ、今頃のっちとあ〜ちゃんキスしてるんだろうなぁ・・・」
ゆかちゃんが言った。ちょっとズキっときた
「・・・じゃあ、こっちもキスしとく?」
ちょっと、・・・じゃなくて盛大にドキっときた
「誰と?」
ドキドキしてるの隠して、笑いを含んだ声で言ってみた
「そんなの、決まってるじゃん・・・」
綺麗な顔が近づいてくる
睫毛があたる位の近さで、あたしは目を閉じた
そして唇に
「なんちゃってー」
これが噂の小悪魔か。大分タチが悪い。ちょっと、腹立つ・・・
あたしは、ゆっくりとゆかちゃんの手首を掴んで、真剣な眼で見つめる
「ほんとは、のっちのコト見てたんじゃないこと・・・気付いてるよね?」
「え・・・・?」
「ゆかちゃん」
ゆっくりと、顔を近づけていく
「ちょ・・・ちゃあぽん?」
「一回だけ、で、いいから」
切なそうな目で、ささやく。ゆかちゃんが目をとじる
「・・・なんちゃってー」
ゆかちゃんの唇に指を当てた
びっくりしたゆかちゃんは、さっきのあたしとまるっきりデジャヴだ
たぶん、あたし達はこれからも、こんな感じで騙し騙されていくんだろうなぁ、なんて
そんな未来を想像して、あたしはちょっとだけ笑った
おわり
最終更新:2008年10月12日 17:51