無邪気で可愛い彼女に憧れて心から羨望した
無愛想で綺麗な彼女に恋して心から絶望した
それはあたしのしらない世界にいたふたりが教えてくれたこと。
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広島の高校を卒業して、都会の大学に入学して早三年。
最初は都会にビビってたし、右も左もわからなかったけど、三年も住んでると少しは余裕が出てきた。
広島弁もすこし抜けてきたかな。
大学の友達も意外と地方都市出身の子がいっぱいて、親近感を持ってそれなりにやっていってる。
まぁ、友達といっても構内でツルるくらいの知り合いに毛が生えた程度の関係。
憧れだったサークルにも参加したし。実際はサークルという呼び名の飲み会だったけど。
それなりに大学生活をエンジョイしたつもりだった。
でもきっと彼女ほどじゃないけど。
ほら、今日も友達に囲まれて楽しそう。
彼女の周りには必ず人が集まってくる。
いつも楽しそうな笑い声が聞こえる。
きっと彼女には人を惹きつける何かを持っているんだろう。
ゆかも本当はあっち側の人間になりたいよ。
でも基本人見知りだし、ネガティブだし、無理だよな。
彼女と友達とか無理だよね。
「はぁ・・・・」
大きなため息をつく。
空を見上げるとびっくりするくらい青い。ゆかをあざ笑うかのような青さだ。
「あー・・・バイト行かなきゃ」
ボソっと空に向かって呟いてバイト先のコーヒーショップへ向かった。
「・・・おはようございます」
コーヒーショップの従業員入り口から恐る恐る入る。
実はこのバイト今日でまだ三日目。
まだ仕事とスタッフの人にに慣れてなくて、かなりビビってる。
「・・・はよっす」
かなり感じ悪い挨拶をしてきたのは、たしかバイトの大学生の鈴木さん?だったっけ。
あー、ここ禁煙なのに、煙草吸わないでよ。洋服と制服に臭いがついちゃうよ。ゆか、煙嫌いなんだよな。
でも、止めて下さいなんて怖くて言えないよ〜。
「樫野さん、今日で三日目だよね。もうだいたい仕事の流れわかったでしょ?」
そう冷たく言い放ったのは、歳はアラフォーのいかにも性格の悪さがにじみ出てる女店長。
「は、はい」と、一応返事はしたものの、テンパっちゃって、何していいかわからないよ。
こんな混んでる時間帯にまだ三日目の新人をシフト入れるなよ。
「ほら!何してるの。早く、次のお客さんのオーダー取って!!」
性悪の女店長に半分怒られながら、ゆかは言われた通りにした。
「いらっしゃいませ」
次のお客さんは、憧れの彼女だった。珍しくひとりだ。
やばい、ちょっと緊張しちゃう。どうしよどうしよ。ちゃんと出来るかな。
「えっとー、アイスロイヤルミルクティーのMで」
「はい。310円に、なります」
彼女は、510円を出した。ゆかは200円のお釣りを渡す。彼女の財布はブランド物で中は綺麗に整頓されていたのが見えた。
そして注文したアイスロイヤルミルクティーも渡そうとした時、緊張して手元が狂ってそれをこぼしてしまった。
「きゃあ!!」
やっばい!!彼女のワンピースの裾に少しだけどかかっちゃった。
「す、すいません!!」
ゆかはは急いでタオルを持ってきて、ワンピースの汚れをふき取る。
「すいません!すいません!!」
ひたすらペコペコ頭を下げて謝る。
絶対キレられるって思って恐る恐る彼女の顔を見ると「これくらい大丈夫ですよ〜」って、笑顔で答えてくれた。
ミルクティーをワンピースにかけちゃったのに、全然怒ってない!?
えー、普通怒るでしょ?怒鳴るでしょ?最低でも、嫌な顔はするでしょ?
彼女はなんでこんな大人な対応なの?
単純にすごい・・・。
ミルクティーこぼしたのが、彼女でよかった。
ゆかはこの時、なんで彼女の周りにはいつも人がいるのかが、わかった気がした。
ゆかがしでかしたのを店長が気付いて奥から出てきた。
二人でひさすら謝った。
最後まで彼女は「平気ですよー」って、笑顔のままだった。
そんな態度にますます憧れが強くなった。
その後は言うまでもなく、ゆかは悪女店長に延々と怒られた。
翌日、大学の構内でまた彼女を見かけた。
もう一度謝ろうと思ったけど、周りに人がいて近付きづらいよ・・・。
ひとりにならないかな。
そんなチャンスをじっと待ってると、どうやらトイレに行くみたいだ。
よし!!ゆかはは彼女の後を追ってトイレに向かった。なんかストーカーみたいで笑っちゃう。
「あのっ!!」
「え?」
彼女が個室に入る前に声を掛けた。
「えっと・・・これ」
そう言って、コーヒー無料券を出した。
「へ?」
「昨日のミルクティー・・・。それのお詫びにこれ差し上げます」
「ミルクティー?・・・あー、あの時!!」
「はい。昨日はすいませんでした」
「もう、いいですよ〜wwてか、同じ大学だったんですねw」
「はい」
「何年生ですか?」
「三年です」
「えー同じじゃけぇ。知らんかったw」
彼女はゆかと同じ学年って知ると、とたんに広島弁で話しかけてきてくれた。
それだけでもちょっとだけ彼女との距離が縮まった気がして嬉しかった。
「えっと、あっ、あたし西脇綾香。みんなからあ〜ちゃんって呼ばれてるから、そう呼んでw」
あ〜ちゃんは自分の事を指さしニコニコ自己紹介してくれた。
「あっ、樫野有香です。友達にはかしゆかとか、下の名前で呼ばれてマス」
「ゆかちゃんか〜。よろしくね。てか、敬語止めようよw同い年なんだし」
あ〜ちゃんにミルクティーをかけてしまった縁で、憧れのあ〜ちゃんと友達になれた。
世の中不思議な縁もあるもんだ。
あ〜ちゃんと友達になれたおかげで、ますます大学生活が楽しくなった。
嫌なコーヒーショップのバイトも我慢できた。
あ〜ちゃんと一緒にいると笑顔が増えた。
友達といてこんなにも楽しいと思ったのは初めてだった。
あ〜ちゃんは他の友達には言わない話もゆかにだけは話してくれた。
それがすごく嬉しかった。
だってそう言うのって、親友みたいじゃん。
「あ〜ちゃんって、彼氏いないん?」
あ〜ちゃんと同郷ってわかって、薄れてきた広島弁がまた出てきた。
同郷ってだけでより一層あ〜ちゃんに親近感を持ったし、ゆかだけは特別って感じた。
「えー、いないよ。そう言うゆかちゃんはどうなん?」
「ゆかもいないよ〜。あ〜ちゃんモテるのになんでいないん?あ〜ちゃんなら選び放題じゃろ?」
「そんなん知らんけぇwてか、あ〜ちゃんモテてないよぉ」
あー、恋バナ楽しい。やっぱ、女の子同士の話題と言ったら恋バナでしょ。
あ〜ちゃんと恋バナ出来るなんて思ってなかったよ。キャー、嬉しい。嬉しい。
あ〜ちゃんは彼氏はいないって言ったけど、ゆかが思うにそれは隠してる。
だって、たまに携帯で誰かと喋ってるのを見るけど、絶対あれは彼氏だ。
それに右手の薬指にしている指輪はペアリングでしょ。
あ〜ちゃんの趣味にしてはゴツすぎる指輪だもん。絶対それ彼氏の趣味でしょ。
なんでゆかに言ってくれないのかな。
ちょっと寂しい。
そのうち、紹介してくれるかな?
あ〜ちゃんの彼氏なら、めっちゃカッコよくて優しい人なんだろうな。
いいな。ゆかもそういう彼氏欲しいな。
最終更新:2010年01月19日 18:17