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みしみし、、、みしみし、、、、、


あぁ、、世界が壊れていくなんて、案外簡単なもんだな・・・



のっち、、もうダメだ、、、
これ以上は、壊しちゃうよ、、、、壊れちゃうよ?


だから、、、もう・・・



「ゆかちゃん?」
「ん?」
「久々に、、、うち帰ったら?」
「え・・?」


彼女のキレイな瞳が揺らいだ。


「ほ、んき、なの?」
「…うん」


その瞬間、彼女の長い腕がのっちの肩をぐっとソファに押し付ける。


怒りとも絶望ともつかない漆黒の瞳が、のっちを見下ろす。


「・・・どういうつもり?」
「・・・」
「もう、今さら帰れるわけないじゃん!」
「・・・」
「そんなの、のっちが一番よくわかってんでしょ!?」


うん、わかってる。
ゆかちゃんが、のっちと暮らしだしたのは、半ば強引に。
てか、両親の干渉も“無視”して、始まった。
そう
全部捨てて、のっちのとこに来てくれた。
だから、半絶縁状態になってる。
そんな、簡単に戻れるわけ、、ない。


けど、もう駄目、だ。


みしみし、、、みしみし、、、、、


世界が壊れる音がする。

二人が壊れゆく音、が。



壊したくない。
壊れたくない。



「ねぇ、、、それって、別れたい、、、てこと?」
静かに彼女が呟く。
「・・・」
そうじゃない、、、けど、なにも答えられない、あたし。
「ねぇ、ちゃんと答えてよ」
いつもより、幾分低い、彼女の声が体の奥まで響く。


愛しい想いだけが、胸を締め付けて、喉を圧迫して、うまく息ができない。


壊したくない。
壊れたくない。



「そう、、、じゃ、ない、、けど・・・
「けど?」
「このままじゃ、、、


だめに、、なる。




そう、コトバを搾り出した瞬間。


ゆかちゃんの、細く長い指が、のっちの首にまとわりついた。
そのまま、無防備な首筋は、簡単に捕らえられ、、、絡みついた。

ぐぐっと、吸い付いて境目がわかんなくなっていく、肌と肌。


苦しい、苦しい、クルシイ・・

喉が?呼吸が?胸が?・・・ココロ、が?


苦しい、クルシイ、クルシイ・・・・


のっちの世界、ゆかちゃんばかりで、怖い。


クルシイ、クルシイ、クルシイ・・・・・


きみがいなくなってしまったら・・?



のっちは、自分を保てなくなってしまう。


なら、いっそのこと

きみのいない世界にいってしまおうか?



金魚みたいに、酸素求めて、口をパクパクして
もう一歩で、意識を手放そうとした瞬間

頬を、生暖かいものが伝った。


ぼんやりと霞む視界。
彼女の泣き顔だけは、はっきりと見えた。


「のっちに捨てられるくらいなら、

あたしが、きみを?

「この手で、終わらせてあげる・・・

それも、悪くないかもしれない。


ますます食い込む、キレイなキレイな
のっちの大好きな、細く長い指先。


あぁ、、、もう、、、、ほんと、、ヤバイ・・・



そう、思ったとき


ふっと、首もとの束縛は解かれて
とん、と彼女のちっさな頭が、胸元におりてきた。


っ、は、、、ッ、はぁ、、はぁ、、、ごほっ、、、はっ、、、


「ねぇ、どうして?」

「ゆかは、のっちのいない世界なんて考えられんのに・・・
 のっちは、そうじゃないの?」


そう呟いたかと思うと

うわっと、大号泣するきみ。


止まりかけていた思考回路が再び動き出す。

ゆかちゃんのいない世界。

のっちのいない世界。


ぐっと、手をつかまれた。


「ゆかのこと、こんなにしたののっちじゃん!
 だったら、いらなくなったんなら、この手で終わらせてよ!」





どちらかしかいない世界。
一人だけの世界。

失うことのない、世界。


指先が、ゆかちゃんの首筋に吸い寄せられていく。


失う恐怖から解放された時、、、、
幸せに、なれるのだろうか?


食い込んでゆく指先は
あたしの弱さを吸い込んでいってるから?
それとも
彼女の強さを打ち砕いてしまいたいから?


ゆかちゃんは、全く抵抗しない。
それどころか
全体重を、、、全ての想いを、、、、全部、全部
そこに、押し付けてくるように・・・


のっちを睨みつけていた、瞳が
すっと、閉じられた。



彼女の世界から、あたしが消えた。



あ、、、





やっぱ、ムリ、、、、だ。




最終更新:2010年01月19日 18:22