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ゆかは大学がない土曜日はいつもフルタイムでバイトのシフトに入ってる。
勤勉勤労。って言葉は今のゆかにぴったりだ。

でも土曜のシフトって嫌い。
だってこの時間帯は決まってこの子たちがやってくるんだもん。

いつも四人でくる高校生くらいの女の子たち。
みんな私服というかジャージ姿。っていっても、学校名が入ったジャージじゃないから部活の格好じゃないし。
ゆかから見ると謎の集団。何故に、四人ともジャージ?ヤンキーではなさそうだし・・・。

カウンターの前でキャッキャしながらメニューを見ている。
んもー、早く決めてよ。
ほらほら、後ろが混んできちゃってるから。

「Aクラスの先生チョー綺麗じゃね?」
「思った思った!!キレカワって感じだよね」
はいはい。わかったから。早く決めて〜。

「えっとー、どうする?いっぺんに頼む?」
「うーん。どうしよっか?」
「ヤベっ。あたし丁度ないや。自分で買うわw」
結局、四人組はあーだこーだ言いながら、みんな仲良くオレンジジュースをオーダーした。
オレンジジュースをチョイスする所が可愛いって思ったけど、次のお客さんにいい顔されなかったからすこしムカついた。

四人組はカウンターの横のテーブルに陣取った。
声がデカくて聞きたくなくても、会話が聞こえてしまう。

「東野の奴、絶対先生の事狙ってるよねw」
「それ思った。やたらと先生に質問してくるよね」
「でもさ〜。先生チョー素っ気無い態度なのがウケるよ」
「そうそう!!あたしも思わず『えっ?』って思っちゃったもんw」
「でもちょっと東野が先生狙うのわかる気がするかも・・・」
「えー!?ミヤッチ、そっち系?w」
「いやいや・・・。そうじゃないけど・・・先生って普段綺麗で無口だけどたまに見せるちょっと天然っぽい感じが、『そのギャップが良い!!』みたいな?」
「あー・・・それわかる。わかる〜」
「そう言えばさ、先生よくここの飲みもん持ってきてたよね」
「持ってた。持ってたw」
「毎日のように持ってきてたから、東野の奴ここに張り込んでたって知ってる?」
「えー、知んないー。てか、それスゴね?」
「もうマジじゃん。ストーカーじゃんww」
「でもさ、先生彼氏いるべ?」
「左手の薬指に指輪してるよね!!」
「マジで?うち気付かなかったよ?」
「どんな人だろね?先生の彼氏」
「もしかしたら、たまに先生に会いに来るワンピース着てる人かもよ?wあの人も可愛いくない?」
「えー、まさか!?でも、あの二人妙に仲いいもんね」
「それなら東野がんばったら先生と付き合えるんじゃね?」
「ぎゃはははははwww」




”先生”って学校の先生?
綺麗って言われてたから、女の人なのかな?
へー、ここの常連さんなのか〜。ゆかも見たことある人かな?

四人組の会話を聞いててもさっぱり意味がわからない。
ゆかは頭の中が?マークばっかりで、四人組の帰り姿を見届けた。
にしてもあの子たちよく喋るな・・・。

ふー、今日もバイト終了っと。
さっさと着替えて携帯チェック。メールが一件入ってた。
あ〜ちゃんだ!なんだろ?なんだろ?
ゆかはワクワクしながらメールを開ける。

『ゆかちゃーん。さびしんぼのあ〜ちゃんにかまってぇ。一緒にご飯食べない?またあのお店行こうよ』
わーい。また、あ〜ちゃんからのお誘いだ!
チョー、嬉しい。嬉しいけど・・・今財布が軽いんだよな。所持金1000円なり。仕送りは来週だし、バイト代は月末まで入らんし・・・。
ここは残念だけど、丁重にお断りのメールを打つしかない。

『すんごく行きたいんだけど、ゆか今金欠・・・。また誘ってちょ』
あ〜ちゃんからの返信は速攻で着た。
『そうなんだ〜。残念・・・。じゃあうち来る?あ〜ちゃんが何か作るけぇ』
マジで!?これめちゃくちゃ嬉しい。
今、あ〜ちゃんちに呼ばれたよ?しかもあ〜ちゃんの手料理付き!!こりゃ、行くっきゃないでしょ!!

『行く行く!!ちょー楽しみ。すぐ行くから!!待ってて』
『今作れるのカレーしかないけどいい?』
『カレーでも何でもいいよ〜。ゆか、なんかデザート買って行くね』
『わー、ありがと。あ〜ちゃん、フルーツがいいw』
『おーけーw任せて!!』
ゆかはウキウキしながら、近くのスーパーに寄って適当にあ〜ちゃんが好きそうな果物を買ってあ〜ちゃんちへ向かう。
結局財布の中身が330円になっても気にしなかった。

あ〜ちゃんちのマンションの前に着いた。
いやいや・・・これは、すごい。
ただの学生が住むにしちゃー、綺麗で豪華なマンションだこと。
あ〜ちゃんの親、金持ちすぎるじゃろ・・・。

えーと、たしか5階の503号室だよね・・・。
エレベーターで行こうっと。




エレベーター前には黒尽くめの女の人がそれを待っていた。
チンっと、エレベーターが到着した音が聞こえた。
ゆかも一緒に乗せてもらおうと、小走りでエレベーターに向かう。

「あのー、すいませーん。待ってくださ・・・・」
先にエレベーター内に乗った女の人は、ゆかが走っているのにもかかわらず扉を閉めてしまった。
目の前で閉まってった扉。
思わずゆかは「えーー!?」って叫んでしまった。

ひっどーい!!なに?今の?最っ低。
走って待ってって言ってるのに、無視して閉めるってどういうこと!?
冷たすぎるよ。しかもあの人、ゆかの顔見たよね?見てたよね?睨んだように見てたよね?
てか、あの人どっかで見たような気がする。
一瞬しか顔見てないから、どこで会ったか思い出せないから気のせいかもしれないけど。

ゆかは小さくため息をついて、隣のもう一つのエレベーターが着たからそれに乗って5階まで上がった。
503号室はエレベーターホールのすぐ近くだった。
表札にはなにも書いてないけど、ここでいいんだよね?

ゆかはインターホンを鳴らす。ちょっとドキドキ。おっ、カレーの匂いがする。美味しそう〜。

ガチャ。

扉は勢いよく開いた。
ゆかはびっくりした。
扉がいきなり開いたこともびっくりしたけど、一番びっくりしたのは、出てきたのがあ〜ちゃんじゃなかったから。

出てきたのは、女の人だった。
黒尽くめの女の人だった。

あっ。
この人、さっきのエレベーターの人だ。ってすぐわかった。

「鳩が豆鉄砲?」
ゆかがきょとんと立ち尽くしているのを小馬鹿にしたように、彼女はそう言った。

なに、こいつ。
ムカつく。

てか、あんた誰?






最終更新:2010年01月19日 18:33