今回は、有香の体に入ってしまうことも無く、ただすごく自然に落ちていくような感覚で、
大本さんの上に着地したw
「おべぁっ!!!!!!」
そう叫んで私の下敷きになった大本さん。
「あぁぁ、大丈夫ですか!?」
「大丈夫。大丈夫だよ。ってゆーかかしゆか?今どこから来ました?」
「上から。」
「ですよね。今度からは着地点もしっかり決めるんですよ。」
「はい。」
相変わらず真っ黒で動きやすそうな着物。物腰の柔らかい話し方。
「今日はどうしたんですか?」
「また西脇様からの依頼で祈祷を。」
「あぁ、それで。」
「えぇ、最近依頼される頻度が高くてですね。まぁ良い収入源・・・ 聞かなかったことに。」
「うん。そういえばさ、依頼主って綾香様なんだよね?」
「そうですよ? まあ未だに一度もお会いしてませんが。」
「ふーん。一回ぐらい会ってくれたらいいのにね。」
「ええ。今度でも樫野様にお願いしてみましょうかね。」
「いいんじゃないですか?依頼主の顔は知っといて損は無いでしょ。」
「そうですね。 あ、時間がないので失礼。また今度。」
「さよならー。」
綾香様ってそんなにガード固いんかね。
有香さん過保護気味?
気になることは見にいかにゃあ。
あ、でも大本さんはあたしのこと見えるんだよね?
どうしよ。こそこそすればいっか。
襖とは反対側の壁から有香さんの部屋に侵入して、死角に隠れる。
大本さんからは見えてないはず。後は盗み聞きするだけじゃね。
「いつもいつもすみません。」
「いえ、今回はどういたしました?」
「最近綾香様が不眠のようで・・・」
「それの原因が妖であるということでしょうか?」
「それもわかりません。 お医者様にも診せたのですが原因が分からず・・・」
「そういう場合は妖の仕業である場合もたしかに多いです。」
「それで綾香様が何度か祈祷をお願いしている次第です。」
「そうですか。一度きちんと症状を把握したいので綾香様にお会いしたいのですが。」
「本人の意向を聞いてみないと・・・ 少々お待ちください。」
席を立ち、出て行く有香さん。
残された大本さんは所在無さげに視線をうろうろさせている。ちょっと脅かしてやろうかな。
物陰に隠れるように遠回りして背後から忍び寄る・・・
「おーもとさんっ♪」
「わあっ!!!!!」
いぇい、ドッキリ成功。
「かしゆかでしたかぁ・・・ びっくりしたぁ。」
「んでどう?綾香様には会えそう?」
「微妙ですねぇ・・・ なんでしょう?避けられてるんですかね?」
「避けられるようなことしたの?」
「いえ、でも祈祷師って結構怖がられたりもするんですよ。」
「え?」
「あなたみたいな妖と会話してるのって傍から見たらおかしな光景ですから。」
「ああ・・・ でも綾香様ってそんな小さいこと気にしそうにないよね?」
「だから余計に気になるんですよね・・・」
軽い沈黙が場を包む。すると足音が聞こえて来た。
「ヤバっ!有香さん来ちゃう!」
「いや、樫野さんからはかしゆかは見えませんよ?」
「あそっか。じゃあ隣で話聞きますね。」
「どーぞ。」
襖を開けて有香さんが入って来た。
「綾香様の了承を頂きました。今から綾香様の居室にご案内致しますので、診察をよろしくお願いします。」
大本さんがこっちを向いて微笑んだ。つられてゆかも笑った。
さぁ、綾香様に会いにいこっか♪
綾香様の居室は結構広かった。
小さい机に一杯の白湯が置かれて、その机を挟むように大本さんと綾香様が座っている。
「初めまして、いつもお世話になっております。」
「こちらこそ。それで、症状の方は?」
「ええと・・・ 夜よく眠れなくて・・・」
「部屋の中に妙な空気が流れているなんて事はありませんか?」
「それはあまり・・・」
「前回祈祷した後改善したりは?」
「前回来てくださってから1週間くらいは良かったんですが、その後はあまり。」
「うーむ・・・ 原因がよくわからないですね・・・」
「ええ、私も困っております。」
「では、これからは毎週祈祷しに来ます。」
「えっ!? そんな・・
「あぁ! お代は結構ですんで!大丈夫です!」
そう言って満面の笑顔を浮かべる大本さん。
「あ、、 ありがとうございます・・・」
あ、綾香様顔真っ赤。ムリも無いか。大本さん笑ったら超綺麗だもんね。きゅんてするもん。
立ち上がった大本さんは、お札とか塩とかを取り出して、祈祷をした。
真剣そのものの表情でお経を唱え続ける大本さんはかっこ良かった。
「では、また来週来ますね。」
「ありがとうございます。」
分かりやすく真っ赤な顔したまんまの綾香様は大本さんを見送ると部屋に戻っていった。
「よかったじゃん。嫌われてないみたいで。」
「本当ですよ。でもやっぱり噂通りのお美しい方ですね。」
「ほんとにね。これから毎週会えるんだよ?よかったじゃん。」
「そうですね。でも本当何が原因なんでしょう・・・?」
真剣に考えてる大本さんはやっぱりどっかかっこいい。
好きになるとかは無いだろうけど、ちょっと憧れた。
つづく
最終更新:2010年01月19日 19:10