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side-K

相変わらず大本さんは週イチの祈祷を書かさなかった。
暇な私は毎回のように着いてくけど、綾香様の症状はなかなか改善しない。

そんなある日、大本さんは新しい療法を提案した。

「今日はですねー屋外に綾香様を連れ出しまして、一度屋敷の外の空気に触れて頂こうかと。」

それを聞いて有香さんはすぐに了解してくださって、綾香様は大本さんと一緒に庭園を散歩をすることになった。

「かしゆかも来ませんか?」
大本さんは思った以上にテンパってる。まぁあんな綺麗な人と散歩なんてキンチョーだよね。
もちろんそのくらい分かっているけど。その上で私はこう言う。


「ん?私はいいかな。遠くから見守ります。」


「そうですか。では後で。」
若干八の字になってる眉毛は、私の知ってる彼女によく似ていて、なんだか優しい気持ちになった。


しばらくすると、鮮やかな色合いの十二単を着た綾香様がやって来た。
いつも思ってたけど、あ〜ちゃんもストレート以外と似合いそうだなぁ。


「では、行きましょうか。」

明らかに緊張の色が見て取れるガチガチの大本さんが手を引くような形で二人は歩き出した。

「やはり外の空気は違いますか?」
「そうですね。普段あまり外には出ませんし、出るときは牛車ですから。たまに歩くのもいいですね。」
「体を疲れさせてしまうことで、綾香様の体の方に入ってしまった妖をとりあえず出せないかと思いまして。」
「はぁ、いつもありがとうございます。」

なんだか会話の長続きしないぎこちない二人。
こんなひどくはないけど、どこかあ〜ちゃんとのっちの空気感に似ていた。

しっかし平安時代の屋敷といい庭園といいでっかいわー!!
外周が散歩道になってて、その真ん中のスペースで貴族の皆さんが教科書で見たような蹴鞠とやらをしている。

晴れ渡った空に高々と蹴り上げられた鞠の白は、青に溶けるように良く映えた。
カメラが有ったら撮りたかったなーなんて。

そんなことを思っていたそのときだった。

1人の小太りな貴族が蹴った鞠が突拍子も無い方向へ飛んだ。

鞠は二人の方へ真っ直ぐ向かっていく。

てヤバい!!!

「おーもとさん!!上!」

上を見上げた大本さん。鞠は綾香様の頭上に落ちて来る。

そこからは一瞬だった。大本さんは綾香様を慌てて抱きとめ、半ば押し倒すような形で倒れ込んだ。落ちて来た鞠は大本さんの頭にクリーンヒット。

綾香様に多いかぶさるような体勢で大本さんは気絶した。




綾香様はなんとか大本さんをどかそうとするものの、十二単なんて格好じゃ動きにくくってムリだ。綾香様は苦しそうにジタバタもがいてる。これヤバいんじゃない?

なぜかそう思った瞬間私の体は勝手に動いていた。

かつていろんな人に大きいと言われた私の手は、大本さんがくれたあのブレスレットへと勝手に行き、一つ目の水晶玉を繋いでいる麻ひもをちぎり取った。

一瞬ひどい偏頭痛と立ちくらみが起こったような感覚の後に、私は自分が体を取り戻したことをやっと理解した。

自分が有香さんにそっくりなこと、洋服を着てること、それがこの時代ではどんなに異端なことかもすっかり忘れて綾香様に走りよる。

とりあえず大本さんの腕を掴んで綾香様からひっぱがして、日陰に寝かせた。

「大丈夫ですか?けがは無い?」

私が声をかけると、綾香様は何とも言えない狐につままれたような顔になった。

「・・・ 有香ちゃん?」

あ・・・  ヤバいかも。



つづく





最終更新:2010年01月19日 19:16