「とりあえず元に戻す方法を考えんと!」
あ〜ちゃんが発言する。
「そうね。いつまでもこんなカラダでいるわけにいかないしね…。ゆかにもどらなきゃ」
「そうそう…ってこんなカラダってなんじゃい!?」
「ごめんなしゃい…。言葉を間違えました…」
この小悪魔は毒舌もすごい。そのうち大悪魔になるのではなかろうか?
というかこの女は“こんなカラダ”で遊んでいたではないか。
「ねぇ?病院にいって手術してもらうのはどう?全身整形してゆかちゃんのカラダにするの!」
のっちは自信満々に目を輝かせて意見を主張するが、2人のあ〜ちゃんの蔑んだ目を見て眉が八の字型なった。
むちゃくちゃにもほどがあることをのっちも悟ったであろう。
「どうやって元に戻るかなんてわからないよ…」
かしゆかがため息を漏らしながら言った。
無理もない。突然カラダが変わっていたのだ。復元方法なんぞ思い浮かぶわけがない。
「あ、とりこんだ洗濯物を畳まなきゃ!」
のっちは思い出したように洗濯物を畳みだす。
しかし、あまりにも畳み方が雑なので、あ〜ちゃんとかしゆかも放っておけず手伝うことにした。
「この星がプリントされているパンツカワイイ!」
あ〜ちゃんがはしゃぐ。かしゆかもそれを見つめる。
「その辺のスーパーで300円くらいで買ったやつなんだけどね」
のっちが返す。
「そういえば星で思い出したけど、昨日の流れ星見た?あ〜ちゃんは最寄り駅のホームで見たんよ」
あ〜ちゃんはのっちの星プリントパンツを、右手人差し指に引っ掛けて振り回したまま、2人に話しかけた。
「ワタシも見たよ〜。大きくて綺麗だったよね〜。家の近くでたまたま見たよ」
星のように目を輝かせながらのっちは答える。
「え?ゆか知らないよ。何時くらい?」
「3人で別れてからだいぶ経った後だったかな?12時ちょい過ぎくらい」
「じゃあゆかは家の近くの路上を歩いているときかな?」
「ゆかちゃんが路上で『あ〜ちゃんのカラダになりたーい!』って吠えたときじゃないの?」
「そうかもね」
ここで3人が同時に固まった。
3人は全てがわかったようだ。
「流れ星って消える前にお願い事をすると叶うんだよね?」
あ〜ちゃんが口を開く。
「その時間ちょうどにゆかちゃんが吠えてるんだろうし…。そうだよ!原因はこの流れ星だよ!」
のっちもあ〜ちゃんに同意する。
「それ以外に思い当たることがないもんね…」
かしゆかも賛同している。
非現実的な話であるが、それ以上のことが浮かばないのが事実。
原因をこの流れ星のせいにして話を進めるしかないだろうと3人は思ったはずだ。
そうなると今度は元に戻る方法を考える必要がある。
ここでのっちが口を開いた。
「流れ星に願ってあ〜ちゃんのカラダになったんなら、今度も元に戻すように流れ星に願えばいいんじゃない!?」
「本当に流れ星のせいでなったかはわからないけど、何もやらないわけにはいかない。もうこれをやるっきゃないよ!」
あ〜ちゃんものっちに反論しない。かしゆかも笑顔で首を縦に振る。
「でも流れ星ってそう簡単に目撃できるかな〜?かなり珍しいでしょ?」
かしゆかが顔を曇らせて言う。のっちも眉を八の字型にさせる。
確かに目撃は難しい。それにこんな汚い都会の空ではさらに難易度は増すだろう。
しかし、あ〜ちゃんはドヤ顔で言葉を発した。
「それがね、来週は流星群が目撃できるんよ!ポリリズム流星群っていうのが来るんよ!」
かしゆかのっち両名の表情が一気に明るくなった。
「マジで!?そんなのがあるん?」
「最近結構ニュースでやっとるよ。ネットで調べてみようか?のっちパソコン立ち上げて」
のっちはノートPCを開き電源を入れる。
“ポリリズム流星群”と検索すると、多数のニュース記事が引っかかった。
「都内でも肉眼で観測可能だって!」
「しかも1分間に30個くらい出現!」
「これならいろんなお願い事が叶いそうじゃん!」
この東京でも目撃できる流星群があることがわかった。
3人はきゃっきゃと笑い、はしゃぎだした。
テンションがかなり高まったようで、その場で飛び上がっている。
「ゆかちゃんよかったじゃん!自分のカラダが帰ってくるよ!」
「うん!胸が小さくなるのはちょっと切ないけどね」
「あ〜ちゃんは早くゆかちゃんの綺麗なロングヘアーが見たいけぇ!」
のっちはPCの電源を落とそうとブラウザを閉じた。
「そういえばさぁ、のっちぃ?このデスクトップにある“女子高生”って名前のフォルダが気になるんだけど?」
「だめ!それは開いちゃだめ!」
かしゆかは抵抗するのっちをチョップで払いのけ、ダブルクリックでフォルダを開く。
その瞬間、片方のあ〜ちゃんは顔を赤らめ驚き、もう片方のあ〜ちゃんはニヤニヤと画面とのっちを交互に眺めていた。
つづく。
最終更新:2010年01月19日 19:25