そんなのって、ずるい。
「愛とか恋とか、正直もうどーでもいんだよねー」
「・・・なんで?」
「大恋愛も大失恋もしたことあるから」
[015:love the past,love the rain]
久しぶりにあ〜ちゃんとランチ。サウンドにくると、どーしてもハンバーグプレートが食べたくなる。
てか最近気持ちがパンパンで、ゆっくりカフェでランチもできなかった。
こうやってあ〜ちゃんと二人、ゆっくり話すのも本当久しぶり。
「で、どうよ?最近」
「は?」
もー。あ〜ちゃんはいつも突然。
そういえば最初に話した時も超びっくりしたっけ。
「は?じゃないよー」
「なんよ?」
「のっちー」
へ?ちょ、ちょ、あ〜ちゃん?そこ聞いちゃう?そこゆかに聞いちゃうわけ?すっごいタイムリーなんですけど。
てかちょっと考えたくなかったな。こんな時くらい、思い出したくなかった。
だってなんか、始まってもいないのに、すでに絶望の淵に立ってるみたいだよ。
心臓が嬉しくなったと思ったのもつかの間、すぐに苦しくなったよ。
「…なに?別に、ふつー、だよ、、。会ってないの?」
「んー会ってるけどー」
「…なんよ?」
「シなくなったー」
「ぶっっ!!」
吹くわっ!!
あ〜ちゃん!コーヒー吹いたよゆか!!
そんなこと、サラッと言っちゃうけどさー、もー。
「大丈夫?」
「いや、うん、大丈夫大丈夫!」
「なんか聞いたー?」
「あー…うん。もうフラフラしない、みたいなこと言ってたかな」
「あー更生宣言ねw」
「そうそうw」
「うまくいくといーけどーw」
「……ねぇ?」
「うん?」
急に沸き上がった思考に言葉がつまった。
考えれば、急、ではない。ずっと思ってたけど、聞けなかっただけだ。
けど…聞きたい。今、聞きたい。
とゆうか、やっと聞くタイミングがきたんだ。
「なんで…そう、なったの?」
ゆかは不思議でしょうがないよ。
恋人でもない、むしろ二人の間に恋愛感情はないくせに、なんで、そう、なるのかが。
だって親友なら余計におかしいじゃん。普通そんな発想すらしないよ。おかしいよ。
ゆか、全然わかんない。
「あれ?言わなかったっけ?」
「え?」
「人助け、だよ」
「は?」
そういえば言ってたかも。“誰かがのっちに捨てられて傷つかないようにー”って。
「でも、ちょっと違うけど」
「なに!?」
「“誰か”を助けたかったわけじゃないよ」
「え?」
「のっちを助けたかった」
あ〜ちゃんの目が真剣だから、ゆかは視線が外せなかった。
あ〜ちゃんの声がまっすぐだから、ゆかは呼吸が苦しくなった。
「ずるいでしょ?」
「いや…すごい、と思う」
「・・・あまい、よ、」
「…」
「あたしさー、本当ずるいんだよ。親が金持ちだったり、クラブ行ったり読モやったりして。
全部全部利用して、何でも人より目立ってないと嫌だった」
「でもね、、」
「のっちだけは違う。
のっちのこと、利用しようなんて思えなかった」
「あんなにまっすぐな人、他にいない」
唾をゴクリと飲み込んだ。
途端に喉がカラカラに渇いてるのに気付いた。
ゆかはただ、黙って話を聞くことしかできなかった。
「のっちのこと、人助けとか言っといて最初は違った。のっちの一番近い存在でいたかった。
でもね、ある時気付いたのはこの気持ちは恋愛感情じゃない、って。
なんてゆーのかな……光?みたいな。のっちはね。ただそばにいたかったんだよね。
それからは本当に助けたい!って思ってたよ?だけどあ〜ちゃんじゃ限界あるなー、って思い始めてたところ。」
最後には笑顔を見せてくれた。
あ〜ちゃんののっちに対しての感情は最初は“恋”だったのかな。
でもそれは“愛”だって気付いて、“愛情”だって気付いて。
それでもどうにかしてあげたい、って、、。
ゆかは泣きそうになった。
「ゆか、あ〜ちゃんの愛情深いところ、大好き」
小さな声を絞りだして伝えたら、あ〜ちゃんは笑った。
ありがと、って笑ってくれた。
「ゆかは、」
「うん?」
「ゆかには、できんもん」
「え?」
あ〜ちゃん、ゆかね?そんな感情じゃできんのよ。
助ける、とかじゃないんよ。ゆかは、そうじゃないんよ。
「ゆか、人助けなんかじゃえっちできん」
「そりゃそうだw普通よ、それ」
「ゆかは、、」
「ん?」
「好きになってほしい」
この感情は、すぐに苦しくなったけど、なくなりはしなかった。
時間をかけて、じっくり好きになったんだ。そう簡単に消えないよ。
「ゆか、のっちが好きだ」
ねぇ、あ〜ちゃん?
これ間違いじゃないよね?
悪いことでもないよね?
ゆか、おかしいこと言ってる?
あ〜ちゃんは小さく笑った。
優しい目で、ゆかを見て笑った。
「ありがとう」
なんでだろ。
感謝されることなんて、ひとつもしてないのに、胸がグッてなって、瞼の裏がジワーってなるよ。
あ〜ちゃんの“ありがとう”って、すごい威力なんだ。
のっちのこと、ずっと支えてきたあ〜ちゃんからの“ありがとう”ゆかには大きすぎるけど、大切に受けとめるよ。
「あの人を…越えてね、ゆかちゃん」
ねぇ、のっち?
ゆか、全部受けとめる準備できた。
だから“どーでもいい”なんて、早く撤回してよ。
“あの人”なんて、ただの過去じゃん。消してよ。早く消して。
ねぇお願い、どうせ降るなら雨が流して消してよ、ねぇ。
最終更新:2010年01月19日 19:27