うわああん。わん。あああ。
「かっしー、起きて」
「・・・」
「どした、怖い夢でもみたん?」
目が覚めると、のっちがこちらを見ていた。私はすぐにその手首を掴んで、ひきよせる。
「怖かったー・・・」
「どんな夢?」
のっちは引き寄られた方の手で、私の頬を撫でる。
「怖いやつ。・・・なんかさ、追っかけられて、違う。追いかけてて・・・あー、忘れた」
「あはは。よくある」
「のっちは、どんな夢見てたん?涙のあとついとる」
のっちは苦笑い。
「のっちもあんまよく覚えてないんだけど。失恋?知らん女の子同士ね。
あれ、ぜーったい相手もあの子のこと好きなはずなのに、なんで駄目だったんだろ。めっちゃ悲しかった」
「よくある。夢特有の、理不尽さじゃね」
「今日一日、そのこと考えてそうだよ。ああ、夢の続きが見たい。二人のことくっつけたい、もう一押しなはずなんだ」
私は少し落ち込んでる様子の背中を抱きしめた。のっちの温もりが伝わってくる。
のっちは振り返り、笑いながらなにか言おうと口を開く。
「ゆかちゃん、あい し
「・・・」
カーテンの隙間に目をやると、まだ少し暗い。あと1時間ほどで朝がやってくるのだろうか。
いやだなあ。情けないにもほどがある。こんなときに限って、夢の内容を鮮明に覚えてるなんて。涙もまだ温かいなんて。
夢の中の自分の台詞が突き刺さる。
夢特有の、理不尽さじゃね。
ああ、ねえ、のっち。
夢だとわかっていたら、覚めなかったのに。
end
最終更新:2010年01月19日 19:42