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これは天使の顔をした悪魔のような女の子に恋をした女の子の最高で最低な390日間のお話。

▼372日目
「もー、なんだんだよ!!あの女!!わっけわかんねー。もう憎たらしい」
「・・・」

「あんだけデートして、キスして、めっちゃエロいエッチしたのに、『わたしたち友達でしょ?』って言うんだよ!?うちらの関係って友達なのかよ!!違うでしょ!?」
「・・・」

「もう意味わかんなくない?教室覗いてもいつもいないし、ケータイ繋がらないし。すげー、ムカつく!!」
「・・・」

「ねぇ!!聞いてる!?」
「・・・聞いてるよ。てか、人んち来てキーキー喚くなよ・・・。ウルサイ」

「中田くん、冷たい。だからいつまでたっても童貞なんだよ・・・」
「うっせー。お前はヤリすぎなんだよ。それにオレはそういうコトにキョーミがないだけなんだよ。ったく、お前見ててつくづくキョーミがなくてよかったって思ったよ」

「ふんだ。そんな事言ってると一生童貞だぞ?」
「うっせー。それ以上言うと友達やめるぞ?」

「あー、それだけはやめてー。あたし、中田くんしか友達いないんだから〜」
「大本ってさー、喋ると本当に残念だよな・・・」

「えっ?なんか言った?」
「いいや、なにも言ってない・・・」


▲1日目
「うぉぉぉ・・・一番だ」
思わずそう呟いたのはクラス割の表を見たから。

わたくし、大本彩乃。
本日から高校二年生になりました。
そして生まれて初めて出席番号が一番でございます。

そんなことはどうでもよくて、新しいクラスの名前をみたらほとんど知らない人ばっかり。
知ってるのは、一年の時も一緒のクラスだった中田くんくらい。

ちょー、心細い。
基本、人見知りだから友達作りってすんごい苦手なんだよね・・・。

「中田くん!!」
あたしは教室に入ると速攻中田くんに声を掛けた。
「おぉ・・・大本じゃん」
中田くんは相変わらずモゴモゴしゃべる。

先生が登場して、みんな席に着く。
中田くんの後ろの席は欠席だった。

始業式から欠席ってなかなかいないもんな。
どんな子なんだろ?



▲7日目
あたしは音楽が好き。
好きだからいっつもヘッドホンを聴いて出歩いてる。

通学中ももちろん聴いてる。
好きな音楽をつれてるとめんどくさい通学も多少は楽しくなる。

今日もヘッドホンを爆音にしながらバスに乗る。
ほんとは座りたかったけど、満席だから仕方なくつり革につかまる。

「〜でしょ?」
「♪〜」
「〜セルでしょ?」
「えっ?」
「capsuleでしょ?それ」

となりの子に話しかけられた。あっ、可愛い。
見たことないけど同じ制服着てる。
あたしはその子の声を聞くためにヘッドホンを外した。

「聴いてるのcapsuleでしょ?」
「は、い」
「あたしもそのグループ好き」
「えっ・・・」
「甘い愛には罠があるのよ〜♪」
その子は今あたしが聴いてた曲を口ずさんだ。

バスが停留所に止まった。

「あっ、着いた。じゃあね〜」
その子はあたしに向かってくしゃって微笑んで軽やかにバスから降りた。

あたしは身体が硬直して降りれなかった。

この瞬間、あたしは恋に落ちた。

大本彩乃、齢16にして運命の人とめぐり合った。と、思ってた。


▼310日目
「ねぇ、あ〜ちゃん。誕生日何欲しい?」
「えー、家?」

「そんなもん、買えるか!w」
「別になんもいらんよ〜」

「えー、そんなこと言わないでよ」
「じゃあ、指輪」

「指輪?」
「うん。薬指空いてるから」

「マジで!?」
「うっそぴょーんw」

「えー!?嘘なの?」
「ふふふ。のっち、おもしろーいw」

「もー、真面目に答えてよ〜」
「あははwwだから別になんもいらんって・・・。いらない」



▲8日目
「中田くーーーん!!!」
あたしは昨日の歴史的な出来事を早く唯一の友に伝えたくて、ダッシュで教室に入る。

「うっせーな。恥ずかしいから、人の名前大声で呼ぶな」
相変わらず中田くんの態度は素っ気無い。
「聞いてよ!!聞いてよ!!」
「聞くから、落ち着けよ。てか、お前昨日サボっただろ?先生には風邪って言っといたけど」
「そんな事どうでもいいよ!!」

「あっ、capsuleファンの人じゃ!!」
中田くんの後ろから聞こえてきた声は、まさに昨日出逢った運命の人だった。
ずっと欠席してた子だったんだ。

「同じクラスじゃったんじゃね」
またくしゃって笑うから、あたしはまた身体が硬直した。

「えっ、お前・・・”あ〜ちゃん”知らねーの?」
「・・・うん」
「有名じゃん。オレでも知ってたのに、なんでお前知らないんだよ・・・」
あたしの運命の人、もとい”あ〜ちゃん”はこの学校の有名人らしい。

学校設立以来の好成績での入試合格。頭めっちゃいいんだって。
中学時代は陸上部で名を馳せたらしい。足速いんだって。
そしてなにより可愛い。まるで天使みたい。

あ〜ちゃんが街を歩くと70%の男の人が振り向くらしい。
この間まであ〜ちゃんがバイトしてた和菓子屋さんは前年度の売上130%だったらしい。
告られた回数は50回以上。同じ相手に10回告られた記録も残してるらしい。誰が調べたんだ!?

とにかく、あ〜ちゃんはパーフェクトな女の子ってことだ。

しかし、ちょっと厄介な点もあるみたい。

恋愛に関してはかなり自由人らしい。
特定の恋人を作らないって事でまた別の意味であ〜ちゃんは有名人のようだ。

だから、今も一応恋人はいないみたいだけど・・・。

「ねぇ、あたしあ〜ちゃんと付き合えるかな?」
「さー、無理じゃね?」
「えー、そんなにサラっと言わないでよ」
「だって、向こうはストレートだろ?お前、レズじゃん。無理じゃん」
「レズって言うな。ホモのくせにw」
「だーから、オレはホモじゃないの!!女にキョーミがないだけなの!」
「じゃあ、一生童貞?」
「童貞言うな!お前も処女だろうが」
「あたしはあえて処女なの。運命の人に捧げるためにとっといてるの」
「その相手が”あ〜ちゃん”?」
「そう!」
「じゃあ、お前も一生処女だw」
「中田くんって、たまに本気でムカつくよね・・・」

ふたりでカツどん食べながら昼休みになんて事を話しているんだろw
でもこんな話出来るのは中田くんだからだ。
彼はあたしが女の子が好きって知ってるのに、普通に接してくれる。
普通ならみんな「きもちわるーい」って言うに決まってるのに。いや、中田くんも普通じゃないのか?w

そんな彼だからこうやってあ〜ちゃんの事も包み隠さず話せるんだ。



▲20日目
体育の時間に先生が二人組みになって準備体操しなさいって言った。
体育は男子と女子に別れてやるから、中田くんいないし。
女の子の友達がいないあたしはひとりでぽつんと立ってる。

「おーもとさーん。ひとり?」
「・・・うん」
「あたしもひとりだから一緒にやらん?」
「・・・いいの?」
「うん」
ひとりで寂しく立っていたあたしに、あ〜ちゃんから話しかけてくれた。
まさにその姿は天使そのもの。

実はあ〜ちゃんとまともにしゃべったのはこの時が初めて。
内心ドッキドキで一緒に準備体操。

「おーもとさんって中田くんと付き合ってるん?」
「付き合ってないよ。友達だよ」
「そーなん?だって、いっつも一緒におるじゃろ?」
「あー、それは・・・中田くんしか友達いないからだよ」
「えー、そうなん?おーもとさん、ひとりが好きな人?」
「うーん・・・てゆーか、単に人付き合いが下手なんだよね」
「じゃあ、あたしと友達になろうよ!」
「えっ!!いいの!!」
あたしは嬉しさのあまり背中に乗せてたあ〜ちゃんを振り落としてしまった。

「いったーい。ひどいよ、おーもとさんw」
「えへへ。ごめんね、西脇さん」
「あ〜ちゃんでええよ」
「あ〜ちゃん!!」
「おーもとさん、下の名前なんていうん?」
「彩乃」
「ほぇ〜、あたしと似てんねw」
「そうだねw」
「じゃあ、おーもとさんは今日からのっちね!」
「へ?の、のっち・・・ですか?」
「うん。決まり!あんたはのっち!!」
ビシって指さされて言われちゃー、反論できないよね。
なんで彩乃からのっちなのかは謎だけど、あ〜ちゃんが付けてくれたから良しとしよう!!


▼382日目
「あたし、間違えてた」
「・・・なにが?」

「のっち前に言ってたじゃろ?運命の恋はあるって」
「・・・うん」

「あたしそんなん信じてなかったんじゃけど・・・」
「・・・うん」

「やっぱり、あるんじゃね。運命ってw」
「えっ」

「あたし・・・やっぱりこれって運命だと思うんよ」






最終更新:2010年02月06日 19:41