side-K
ヤバい!!綾香様が私見たら有香さんだって思うに決まってるじゃん!
そんなことにも気付かないなんて・・・
なんて1人であたふたしてたらさっきの貴族がやって来た。
その人は転がっていた鞠を拾い上げ、綾香様に声をかけた。
「すいません!大丈夫でしたか?」
「えっ、あぁ、私は平気です。でもこの人が・・・ あら?」
綾香様が貴族に気を取られてるスキに、私は大本さんを木陰に引きずり込んで、綾香様から身を隠した。
綾香様は急に大本さんが消えたことに動揺している。
「ちょっと、大本さん!!大丈夫!?」
「ん・・・ ぅあ 大丈夫で・・・ てあれ、かしゆか?」
「起きた! 大丈夫!? 記憶ちゃんと有る!?」
「あれ・・・ 綾香様は?てゆーかかしゆかに触られてる?」
「大本さんの腕輪使った。綾香様は大丈夫!今そこにいるから。速く行ってあげて!」
「あぁ、はい!じゃあまた後で。綾香様をお屋敷に連れて行きますので。」
「うん。後でね。」
大本さんは小走りで綾香様に駆け寄っていく。
その後ろ姿を見送っていると、私は急な目眩に襲われた。
近くの木の枝にしがみつこうとするけれど、手が透け始めていて木を通り抜けてしまった。
耳鳴りがする。頭痛がする。
「うぅっ・・・ あぁあ!!!」
ひときわ大きい痛みの波が来た瞬間、私の意識は飛んだ。
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「なんで来たの?」
広い庭園の大きな松の木の上に座った女性が言った。
逆光で顔はよく見えない。朗らかで明るい声をしているけれど、そのシルエットには一抹の寂しさみたいな物を感じた。
「もう一度話したかった。」
もう1人の女性はその木の下に腰掛けている。
顔は分からないけど、その声からはよく慣れ親しんだ感じを受けた。
彼女の声は優しかった。二人の間に流れている空気は一見穏やかな物なのに、なんだか切ない。
「そっか。」
二人はそれ以上何も言わなかった。
ただ、お互いの顔も見えない位置で、互いの存在を感じあってるだけのように見えた。
「・・・意外と切ないね。」
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次に私が意識を取り戻した時、私は学校の自分のロッカーの前に立っていた。
「ゆかちゃん?速く行こ?」
そこにいたのは、大本さんではなく、のっち。
あ、帰って来たんだ。てかさっきの夢はなに?
大本さん置いて来ちゃった。大丈夫かな?
なんとなく腕に目をやると、やっぱりきちんとブレスレットの水晶は1つ減っていた。
あの世界に私が飛ぶのはなぜ?
気になることは尽きない。
つづく
最終更新:2010年02月06日 19:44