達した絶頂の世界は真っ白。何も見えない。何も聞こえない。
誰もいない世界に独りぼっちになったような頼りない感覚。
「…はぁっはぁっ…」
リアルなのは触れ合う肌の暖かさだけ。
ゆかちゃんの暖かさだけがのっちの意識を繋ぎ止めていた。



肩を上下させるゆかちゃんの耳や首筋に触れるだけのキスを落としていく。
「…ん…っ」
触れたい、とか、もうそんなんじゃなくてきっと…無意識。
のっちの中に溢れる何かが勝手にのっちを動かしている。
そんな気がしていた。





しばらくそんな風に波が引いていくのを待って、ゆかちゃんの隣に身体を横たえる。
目に写ったのはゆかちゃんの背中………無数の痕。…やっちゃったなぁ。

無意識だろうとなんだろうと、普段なら一番気を使っていること。
私たちの身体は「商品」なんだから。人見に晒せないようなことはしない。
約束したわけでもないけれど、それはお互い暗黙の了解で…。
『なのに…どうしたのっち。ゆかちゃん困っちゃうじゃろ』
思いながら一つ二つなぞる。そんなことしたって消えてはくれない想いの、証。

ゆかちゃんを困らせるのに…それがまた嬉しくて仕方がないから始末が悪い。
…また手を、伸ばしてしまいそうになる。ギュッと目を閉じて、息を吐いた。
目の毒を覆うようにシーツを引っ張り上げて、包み込んだ。

それにつられたように胸に寄り添った彼女の細い腕が首に巻き付き、ぐぐっと引き寄せられた。
括れた部分に腕を回して指を組ませる、と、
……ちゅ…っ…………
「…っ?!」
突然、首筋に唇の感触がした。







最終更新:2010年02月06日 20:10