アットウィキロゴ
つらいことがあった
悲しくて泣いた
ひたすら泣いてた

どれぐらい泣いただろうか

涙で濡れた部屋に
ノックの音が転がってきた

こんなときに一体誰よ?

誰にもみせられないようなひどい顔だから、
居留守使っちゃおうかと思ったけど…

覗き穴を覗いてみる
見知らぬ女性が立っていた
「どちらさまですか…?」

「あ!あの!その…名乗るほどのものではないんですが…えと…」
妙にあたふたしてる
しかも噛み噛み
一体何者?

「私…ラフメイカーと申します。あなたを笑わせにきました!!」

「は?」
ラフメイカー?
意味分からん何なんよ

「あの…上着忘れちゃって…寒いから入れてもらえませんか?」
「?!」
確かに、こんなに寒い日にストールはしとるけど
なぜか半袖Tシャツにジャージ…
ヤバい不審者じゃ!!

「間に合ってます!」
「え!?ちょっちょっと」

無視無視
早くどっかいってよ
そこにいられたら落ち着いて泣けんじゃろ




程なくしてまたノックの音。
まだいたの? 一体何なの?
「こーゆーの迷惑です!もう帰って!!」

急に静かになった
「…ぐす」
え?泣いてる?
「うぅ…そんなこと言われたのは生まれて初めてれす…ぐす」

冗談じゃない
あんたが泣いてどーするんよ
泣きたいのはあたしのほうなのに

もう…なんなんよ…ぐす

—玄関先に二人分の鳴き声が響いた—

*********
すっかり泣き疲れた
喉が痛い
だけど、少し気持ちが落ち着いた気がする

抱えてた膝を抱えなおして、 ドアを挟んで背中合わせの彼女に
「ごめんね」
「ぅ大丈夫れす……ぐす」
まだ泣いとるじゃんw

ちょっとだけだけど気持ちに余裕が出てきたあたしは、聞きたかったことを全てぶつけた
「あんた誰なん?」
「ラフメイカーれす」
「何しにきたん?」
「あなたに笑顔を持ってきました」
「ねぇ…」
「はい」
「…本当に、笑わせてくれるの?」
「笑わせないと帰れん。それだけが生きがいなんよ。」
鼻をすすりながらも彼女は真剣な声で言った

「てか寒くない?w」
「へ?…あ…さ、寒いれす」
「分かった。部屋に入れてあげる」
「本当?」
「変なことせんでよ?」
「も、もちろんです!!」

鍵を開けてドアを引く
「…あれ?」
ドアが開かない
溜まった涙の水圧のせいじゃ
「開かないけぇ、そっちから押してくれん?」
「…」
「ねぇ」
「…」
「ちょっと…聞いとん?」
「…」

…うそでしょ
ラフメイカー
信じた瞬間裏切った
そもそもあんなもの信じた私がバカだったんよ


パリーン!!!
「!?」
窓ガラスの割れる音

入ってきたのは、鉄パイプ持った泣き顔の彼女だった
「あなたに笑顔を持ってきました」
ちょっと照れながら、八重歯を見せて笑った

見てみてって、
なぜか手鏡を差し出されたけど、
「見たくない!」
「へ!?」
泣き顔を見られたくなかったっていうか、
恥ずかしいっていうか…
ごまかすためにとにかく抱きついた
「!」
「ありがと…」
「……はい///」

寒い中私のために来てくれた
ラフメイカー

「靴脱いでよ」
「あ、すんません」
「窓、弁償してね?」
「…はい、ごめんなさい」

「ずっとそばにいてね」
「…え゛!?」

私だけのラフメイカー


fin.





最終更新:2010年02月06日 20:24