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 (side.A)

 「決まりだね…。罰ゲームは…ゆかちゃん、だよ」
のっちが楽しそうに、ゆかちゃんに告げる。
私はどうにか、罰ゲームを逃れたらしい。
でも、もしゆかちゃんが乙女モードじゃなかったら…弱点に気づけなかったら…罰ゲームは私に降りかかっていたのかも知れない。
…罰ゲーム…何なんだろ…?
 「ゆかちゃん…罰ゲームの内容は、ね…」
達した気だるさと、妖艶な色気を合わせたような顔で天井を見つめていたゆかちゃんの視線が、のっちへと向けられる。

 「罰ゲームは…<大人しくしていること>だよ」

え…?
大人しく…って…それ、だけ?
同じ事を思ったのか、ゆかちゃんの顔に疑問が見える。
 「大人しく、って…それだけで、いいの…?」
 「うん。<大人しく>。ただそれだけ、だよ?」
それを聞いて明らかに安堵の表情を浮かべるゆかちゃん。
罰ゲームって言うから…もっと酷いことかと思った…。

 「…ふふっ…」
…のっち…?
 「そう…<大人しく>。…例え、ゆかちゃんの目の前で、どんな事が繰り広げられても…ね」
そう呟くのっちの口元には…黒い笑みが見えて…。
のっちが何を考えてるのか…私には、わからない…。
 「そんな心配そうな顔、しないでよ」
微笑みながら気遣うように言うのっち。
 「そうそう、あ〜ちゃんにも手伝って貰わないといけないんだ…」
私の後ろに回ったかと思うと…

 「…罰ゲーム…スタート、だよ…」

 「ぁっ…ん…!」
いきなりのっちに抱きしめられ、耳たぶを甘噛みされる。
 「ゃあ…のっちっ…」
 「あ〜ちゃん…」
熱い吐息の絡まった声で名前を呼ばれる。
何っ…!?何で私のっちに襲われてるの…!?
 「っぁ、んんっ…」
首筋に顔を埋められ私の体がピクンと反応してしまう。
 「の、のっち…?」
私たちを見ながら、わけがわからない…と言う顔をしているゆかちゃん。
私もさっぱりわからない。
 「ん…ゆかちゃん、大人しくしてるんだよ?」
首筋に顔を埋めたまま、視線だけゆかちゃんに向けて諭すように言うのっち。

 「のっちっ…なん、で…っ」
 「あ〜ちゃんは何も考えないで…のっちの事だけ感じてくれればいいんだよ…」
 「っはぁ、う…」
私を抱きしめていた手がワンピース越しに胸に触れてきた。
ついさっきまでゆかちゃんに触れられていたから、私の体にはすぐに熱がこもって。
ハァ…と熱い吐息を吐いてしまう。
 「あ〜ちゃん、イってないでしょ?さっき」
のっちの手が服の中に入り込んでくる。
 「ゆかちゃんが先にイっちゃったもんね」
ブラを外して直に触れてくるのっちの温かい手。
 「だから、勝負に勝ったあ〜ちゃんには」
私が感じるように優しく、柔らかく動かされる。
 「ご褒美、として…」
すごく、心が…体が、切ない…。
 「のっちが、イかせてあげる」


 「ぁぁんっ、はぁ…んんっ」
告げると同時に下りてきた片手が、私の大事なところに触れる。
すぐにショーツの中に入り込んで来た手は…。
 「ゃっ、あっぁっ」
躊躇なく私の中へと指を進めてくる。

快楽を中断された私の体は、すぐにのっちの指の動きを快感として受け止めて。
とても甘くて激しい刺激を私にもたらしてくれる。
 「あっ、はぁ…ん、ぁぁん…」
指が動くたびに聞こえるやらしい蜜の音が、耳から私を犯してくる。
 (…きもち、いい、よぅ…)
私の頭は快楽に侵されて、何も考えることが出来なくなっていた。
 「あ〜ちゃん…そんなに、気持ちいい?」
耳元でのっちに尋ねられて、素直に頷いてしまう。
 「すごく、気持ちよさそうな…エッチな顔してるよ」
そう言われて…すごく恥ずかしいけど…。
でも、のっちの与えてくれる刺激は本当にすごく気持ちがよくて…。
もっともっとして欲しい…そう思って。

 「はぁんっ…あっ…っ…のっちぃ…」
 「ぅん…?なぁに、あ〜ちゃん?」
甘ったるいほどの笑顔を私に向けてくれるのっち。
 「…もっと、して…ぇ…」
自分でも驚くような甘ったるい声で、おねだりしてしまう。
 「…っ…」
のっちの顔が、一瞬固まったかと思うとギュッと強く抱きしめられる。
聞こえないくらいの声で、ブツブツと何かを呟いている。
 「…のっち…?」
 「え…?あ、あぁ…」
のっちの顔…すごく赤い、よ…?
でもすぐにさっきみたいに怒ったような、黒い笑顔になって…。
 「もう…仕方ないなぁ…あ〜ちゃんは」
少し溜息交じりにそう呟いて…
 「もっと、して欲しいの?」
意地悪そうな声と笑顔で。
 「して欲しいんだったら…あ〜ちゃんが<自分で>動いてよ」
 「…っ…!」
ニヤニヤしながらそう言い放つのっち。
すごい、意地悪だ…。
…でも、私の体はもっと刺激を求めてて…切ないくらいに体が熱くて…。

 (…っ)
体勢を少し変えて、のっちと向かい合うようにする。
 「ぇ…?」
驚いたような顔をしているのっちに軽くキスをして。
 「…んんっ、はぁ…」
のっちの肩に手をかけて、少しずつ…腰を動かす。
 「あっんっ、はぁ…のっち…ぃ…」
頭の中が…背筋が、痺れる…。
 「…っ」
何かを堪えるような、熱のこもった瞳で私を見つめるのっち。
その瞳が、顔が、すごく愛しくて。
のっちをもっと感じたくて、体の動くまま唇を重ねる。
緩く閉じられたのっちの唇を舌で割って、中にあるのっちの舌と絡める。
 「ん、ふ…」
小さく聞こえたのっちの声に、気持ちが抑えられなくなって。
 「っ、わ…っ」
体重をかけるようにしてのっちを押し倒す。
一瞬離れてしまった唇をまた重ねて。
舌を絡めて、唾液を交換して…とても深くてエッチなキスをする。
コクン、と私の唾液を嚥下する音が聞こえて…。

…のっちが…すごく、愛しい。
 「のっち…ぃ…好き…」
止めていた腰をまた少しずつ動かして。
 「は、ぁ…んっ、あぁっ…」
のっちがして欲しい事なら何でもするから…。
だから…もっと、もっと、私を愛してほしい…。
のっちの瞳で、声で、指で、体温で…私を、満たして…っ…。

………


 (side.K)

 「罰ゲームは…<大人しくしていること>だよ」

そう言われて。
…もっと酷い罰ゲームを想像していた。
例えば、縛られたりとか、外で…とか…。
変態のっちだったら、それぐらい言ってくるかと思ったのに。
なのに…<大人しくしてる>、それだけなんて。
なんだか拍子抜けだ。

でも…
 「そう…<大人しく>。…例え、ゆかちゃんの目の前で、どんな事が繰り広げられても…ね」
のっちがこんな事を言うものだから、少し心配になってきて。
 「そんな心配そうな顔、しないでよ」
顔に出てしまっていたらしい。
 「そうそう、あ〜ちゃんにも手伝って貰わないといけないんだ…」
そう言ってのっちがあ〜ちゃんの後ろに回ったかと思うと…。

 「…罰ゲーム…スタート、だよ…」

そう告げて…いきなりあ〜ちゃんを襲い始めた。

 「ぁっ…ん…!」

 「ゃあ…のっちっ…」
 「あ〜ちゃん…」
……
 「っぁ、んんっ…」
………はっ!

あたし今軽く意識飛んでたよ…。
何?何なの?何が起きて…。
 「の、のっち…?」
さっぱりわけがわからなくて、とりあえず呼びかけてみる。
 「ん…ゆかちゃん、大人しくしてるんだよ?」
そう言われて。
あたしはのっちの<罰ゲーム>が理解できないまま、大人しくしてることになった…。

 「のっちっ…なん、で…っ」
 「あ〜ちゃんは何も考えないで…のっちの事だけ感じてくれればいいんだよ…」
 「っはぁ、う…」

 「あ〜ちゃん、イってないでしょ?さっき」
 「ゆかちゃんが先にイっちゃったもんね」
っ!…あれは不可抗力だったの…っ!
 「だから、勝負に勝ったあ〜ちゃんには」
 「ご褒美、として…」
 「のっちが、イかせてあげる」
…いいな…あ〜ちゃん…。


 「ぁぁんっ、はぁ…んんっ」
 「ゃっ、あっぁっ」
 「あっ、はぁ…ん、ぁぁん…」
…のっちに抱かれるあ〜ちゃんは、すごく気持ちよさそうで。
誰が見てもわかるくらい、『気持ちよくてたまらないです』って顔をしてる。

…何か…あたしも体が熱くなってきた、かも…。


 「あ〜ちゃん…そんなに、気持ちいい?」
 「すごく、気持ちよさそうな…エッチな顔してるよ」
そう言うのっちの顔はすごく満足そうな顔で。
素直にあ〜ちゃんが羨ましいと思ってしまった。
 「はぁんっ…あっ…っ…のっちぃ…」
 「ぅん…?なぁに、あ〜ちゃん?」
甘ったるいほどの笑顔。
さっきの黒いのっちが嘘みたい。
 「…もっと、して…ぇ…」
とろとろに溶けたチョコレイトみたいな甘い声でおねだりするあ〜ちゃん。
そんなに…気持ちいいんだ…。
 「…っ…」
あ〜ちゃんのおねだりを聞いたのっちの顔は真っ赤で。
あ〜ちゃんを抱きしめたまま、何かをボソボソ呟いている。
 「…のっち…?」
 「え…?あ、あぁ…」
あ…黒いのっちに戻った…。
 「もう…仕方ないなぁ…あ〜ちゃんは」
 「もっと、して欲しいの?」
 「して欲しいんだったら…あ〜ちゃんが<自分で>動いてよ」
 「…っ…!」
すごく意地悪なのっちの顔と声。

あたしだったら何の迷いもなく動いちゃうけど、あ〜ちゃんは…恥ずかしがりだし…。
難しいだろうな…、そう思ったら。
あ〜ちゃんがのっちと向き合うように体勢を変えて。
 「ぇ…?」
 (え…まさか…)
驚いてるのっちにキスをして…
 「…んんっ、はぁ…」
<自分で>、腰を動かし始めた。

…すごく…驚いた。
まさかあ〜ちゃんが本当に<自分>で動くなんて思ってもなかったから。
のっちもすごく驚いてるんだろうな。
顔に出さないようにしてるみたいだけど。
 「あっんっ、はぁ…のっち…ぃ…」
 「…っ」
のっちは、多分堪えてる。
指を動かしたくなるのを。
あたしだって、あんなに甘い声で愛しそうに名前を呼ばれたら、もっと気持ち良くしてあげたくなってしまう。
でも、<自分で動いて>って言っちゃった手前、動かせないんだろうな、のっち。


 「ん、ふ…」
あ〜ちゃんにキスされて、のっちから声が漏れる。
小さく漏れ出たその声に、あたしの体が反応する。
 (あたしも…のっちとキス、したい…)
いつもだったら、すぐに近づいて唇を奪うのに。
のっちの、<大人しくしてるんだよ>、の言葉があたしを縛りつけて、動くことが出来ない。

 (…っ…)
もしかして…
 「っ、わ…っ」
これが…
 「のっち…ぃ…好き…」
のっちの言ってた…
 「は、ぁ…んっ、あぁっ…」
<罰ゲーム>なの…?

あたしものっちとキスしたい。
その唇で、手で、指で、体温で…あたしに触れて欲しい。
のっちの唇に、頬に、髪に、首筋に…体に、触れたい…。
でも、今のあたしは<大人しく>してるしかなくて。
あ〜ちゃんがのっちに抱かれるのを、のっちがあ〜ちゃんを抱くのを見てるしかない。

 (体が…熱い…)
切ないくらいに体が疼いている。
 「あぁっ、ん…あっ、はぁ…っ」
すごく気持ちよさそうなあ〜ちゃんの顔と声が。
 「っ…はぁ…」
熱の籠もった瞳であ〜ちゃんを見つめるのっちが。
あたしの切なさを加速させる。
知らず知らずのうちに、あたしの吐く息が荒くなっていて…。
堪らなくなって、膝を擦り合わせてしまう。

最悪な、<罰ゲーム>、だ…。
いつも簡単に触れられるものに、触れることが出来ない。
欲しいものが、いつまでたっても与えられない。
求めても…応えてくれない…。

 (っ…)
のっちと、目が、合う。
動いているあ〜ちゃんをそのままに、あたしに話しかけてきた。
 「わかった…?ゆかちゃん…<罰ゲーム>、が何なのか」
…っ
 「のっちに触ってほしいでしょ…いろんな所」
やっぱりこれが…
 「でも触ってあげない…。<罰ゲーム>だからね」
のっちが思ってた<罰ゲーム>なんだ…。
 「そうだな…。…触ってあげないけど、<自分で>するなら…いいよ…?」
っ…最悪に意地悪だ…。

…のっちの事を最低だと思うのに…なのにあたしの体は…。
のっちに言われるまま、<自分>でしようとしている。
人のこと、言ってられないな…。
これじゃあ、あたしだって<変態>じゃない…。
二人のエッチを見て興奮して…一人エッチしようとしてるなんて…。
 「ゆかちゃん…?」
色々思う事はあるけど…いいの…。
今は何よりもこの切なさを、疼きを止めたいの…。

 「ん…」
自分の指を、ショーツの中へと滑らせて。
クチュ…とやらしい蜜の音がして、自分が二人を見てどれだけ興奮していたのか思い知る。
 「あっんっ…っ」
十分に潤ったソコに指を這わせて。
 「っ、はぁ、ぅ…」
潤った中へと、指を進める。
 「…っ…」
のっちの熱い視線が気になるけど…今はそれさえもあたしを気持ち良くしてくれる一つの刺激。
 「あっ、はぁ…んんっ…」
甘く紡がれるあ〜ちゃんの吐息も、あたしを昂らせる。
 「っんっ…ぁあっ…」
自分の中で激しく動く指が、どんどんあたしを追い詰める。
のっちの指で与えられる刺激と比べると、少し弱くて物足りないけど…。
でも、今日二回もイってしまっているあたしには十分だ。
 「は、ぁ…っ、のっちぃ…っ」
あたしを見つめるのっちの熱い視線が、あたしをどんどん高みへと登らせて。
 「っ…も、う…あ、たし…っ」
背筋がビリビリきて、頭の中にもやがかかって…。
 「ゃぁ…っ…あっ、ぁんんっ…、のっち…ぃ……っ…!」
愛しいのっちの名前を呼びながら、あたしは今日三度目の絶頂を迎えた…。

 「ぁぁ…っん、はぁぅ…」
ホワイトアウトしたあたしの頭に、あ〜ちゃんの甘い声が響く。
 「んっあっ…ゃ、っ…わたし、も…っ、もう…っ」
 「いいよ、イって…?あ〜ちゃん…」
のっちの声は優しい。
すごく…寂しく感じてしまう。
 「あっあっ…ゃ、ぁあ、っ…のっ、ち…っ…、ぁぁあぁっっ…!!」
どこまでも甘い声を部屋に響かせながら、あ〜ちゃんは今日初めて、絶頂へと達した…。

………


あたしの視線の先にはのっちがいる。
力の抜けたあ〜ちゃんの体を優しく横たえて。
立ち上がったかと思うと、あたしへと近づいてくる。
あたしの前に腰を下ろして。
 「ゆかちゃん…」
優しくあたしの頭を撫でながら、甘く響く声であたしの名前を呼んでくれる。
 「ごめん、ね…?」
今ののっちに黒い雰囲気は微塵もなくて。
…いつもの、<のっち>、だ…。

 「ぅ…、…ふ…っ」
涙が、溢れる。
 「っ…のっち、ぃ…っ」
ギュッとのっちに抱きついて。
 「っ、ば、か…ぁ…」
すごく申し訳なさそうに眉をハの字にしてるのっちに言い放つ。
…涙が、止まらないよぉ…っ。
 「ごめん…ごめんね…」
零れる涙を、優しく指で拭ってくれる。
それでもまだ零れ落ちる涙は、舌でペロッと舐め取られて。
優しく、強く…あたしを抱きしめてくれる。
のっちがあたしに触れてくれたことが、あたしがのっちに触れられることが、何よりもすごく嬉しくて。
もう離さない…とばかりに抱きついて、ギュッと服を握りしめる。
 「…っうっ…、ぐすっ…」
のっちの温かな手で優しく、背中をぽん、ぽん…とたたかれる。
 「ヒドイこと、させたりして…本当にごめんね…?」
本当だよ…っ、ばかぁ…。
 「ごめん…」

そんなに何回も謝らないでよ…。
自分でヒドイことさせた癖に、泣きそうになりながら必死に謝るのっちがすごく可愛くて愛しい。
 「のっちの、ばか…」
そう告げて、何かを堪えるように固く噛み締められたのっちの唇に、優しく唇を重ねて。
少し血の滲んだ唇を癒すように、傷口に優しく舌を這わせる。
 「噛んじゃ、だめ…でしょ…?」
 「…っ」
のっちの顔が一気に赤くなって。
痛いほどに強く抱きしめられる。
 「ゆか、ちゃん」
 「なぁに…のっち…?」
 「本当に、ごめんね…」
 「…うん…」
可愛いなぁ…のっち…。
 「…あの、さ…」
 「ん…?」
 「虫が良すぎるとは思うんだけどさ…」
 「…?」
 「…ゆかちゃんに、もっと…触れても、いい…?」
…ダメなわけないじゃない…。

弱気なのっちの首に優しく両腕を回して。
 「…うん…ゆかに、触れて…?…のっちに、触れて欲しいの…」
 「っ…ゆか、ちゃん…っ」
のっちの唇が、あたしの唇に重ねられる。
少し血の味がするキスは、不思議とすごく甘くて…。
 (のっちの血…甘くて…チョコレイト、みたい…)
そんなことを思いながら、あたしはのっちとのキスに没頭していった…







最終更新:2008年10月12日 18:50