「はじめまして」
ふわっと、やさしく微笑んだ
あの時の表情は、今でも覚えてるよ。

「は、はじめまして」

「仕事?」
ちょんと、首をかしげきいてくる。

仕事?
「まさかぁ。黒は、こんなとこで仕事なんかないよw」
まぁ、なくはないけど、、この季節じゃね。

「じゃ、サボってんだ?w」
「うん、そういうこと。キミは?仕事?」
「そ、お仕事。もうすぐ、春、だから」


あぁ、そうか。
この時期、公園での仕事なんて限られてる。
なるほど、彼女は“かなり純度の高い白”らしい。


「じゃ、あたしはこれで」
「えっ?」
「ん?いや、そういう仕事って見ちゃいけないっていうか
 見られたくないだろ、なって」
「・・・」
「…黒は、そうだって聞いたことある、から。
 あ、ごめん。黒なんかと一緒にして」
「うぅん!そうじゃなくて・・・すごい、なって」
「へっ?」
「んーん、ありがと」
笑顔は儚くて、最高にキレイだった。


命を生み出すって、どんな感じなのかな?
そんなことを思いながら、その場を去った。


この世界は、白と黒とで創られている。

と言っても、創るのは、白の仕事。
黒の仕事は、壊すこと。
黒が壊して、白が創る。
そうやって、人の世界は廻ってゆく。

その仕事も、個人によってできることってのが決まっていて
純度が高いほど、“生命”に関わる仕事をする。
白なら“生”に、黒なら“死”に。

きっと彼女は、公園の木々たちに生命を吹き込んで
春になったら生い茂るように、準備をしにきたのだろう。

想像つかないよね。黒の、のっちにはさ。


そんなことより
名前聞くの忘れたや。
また、会えるかな?


また、逢いたいな。


めずらしく、そんなふうに思ったんだ。







最終更新:2010年02月06日 21:00