ゆかちゃんが作ってくれるお弁当には
いつも、手紙も添えられている。今日は
『いつも、お疲れ様。今日は遠いんだから
ムリしないで、電車で帰ってくるんだよ!』
「なぁに、にやにやしてるん。気持ち悪い〜」
あ、この声は、、、
「あ、あ〜ちゃん」
「今日も、“愛妻弁当”ですか?」
「そうですよぉ、って、気持ち悪いってひどくない?」
「だって、ほんとのことだもん」
まぁ、たぶん、にやけていただろうけどさ…
「なんか、いいことあった?」
「いや、手紙。かわいいなぁって思ってさ」
「手紙?」
「うん。危ないから、飛んで帰ってこないでって」
「危ない?」
「のっち、この前、くたくたで、
ふらふらして飛んでたら、危うく事故りそうになって」
「危なっ!一歩間違ったら、大怪我じゃすまないじゃん!」
「そう。それで、遠くへ行ったときは、電車でって約束したわけ」
空を飛ぶってのは、お手軽で、ラッシュに巻き込まれたりしないから楽なんだけど
いかんせん、羽を使うのは、すごく体力がいる。
それに、ちょっとしたアクシデントでさえ、下手したら、地上へ落っこちちゃうから、危険。
「相変わらず、仲がよろしいようで」
「ほんとだよねぇ〜」
「うわぁ、否定しないよ、この人!
あ、それより、ゆかちゃんの調子はどうなの?」
「あぁ、、うん、まぁまぁ、かな。
明日も一緒に出かけようって行ってるし、、、悪くはない、と思う」
「・・・・けど、良くも、ない?」
「んー・・・」
「なにか気になることでもあるん?」
「いやぁ、この前、あやちゃんが来たときにねぇ…」
「あぁ、“白いあ〜ちゃん”?」
「うん、、、ちょっと、ねぇ・・」
「どうしたん?」
「いや、、、ま、のっちは、あやちゃんに嫌われてるからさ」
「なんなんそれ」
「・・・ねぇ、あ〜ちゃん?」
「ん?」
「やっぱ、“黒”は“白”を、汚しちゃうのかな?」
「・・え?」
帰りの電車。
まどろみながら、想ったのは、彼女のこと。
ゆかちゃん?
ほんとに、のっちでよかったの?
白い羽を失ってまで、一緒にいるだけの
価値があったのかなぁ・・・
愛しさは、日を追うごとに増してゆくのに
口付けを交わすたび
キミにこの想いが侵食していってるような気がして・・・
ねぇ、神様?
あなたが、ほんとに
そこにいるのなら
罰を与えるべきは
ゆかちゃんじゃなくて、
のっちだったはずでしょ?
でも、やっぱ
どうあがいても
離れることなんて、できなかったのだけれども。
最終更新:2010年02月19日 20:32