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 (side.N)

あたしは、何を考えていたんだろうか。
『あたしの言う事を何でも聞く』事を条件に、二人を許す…なんて。
…黒い感情に任せるまま、二人に酷い事をさせてしまった。
…でも、あたしの言う事…『命令』だとしても、二人は素直に聞いてくれて…。
いつの間にか、黒い感情が消え失せて…二人を愛しく思う気持ちがあたしの心を埋め尽くしていた。

…ゆかちゃんには、<罰ゲーム>だなんて言って一人エッチまでさせちゃって…。
ごめんね、ゆかちゃん…。
謝っても謝ってもまだ謝り足りないけど…今は、あたしに出来ることをゆかちゃんにしてあげたいよ…。
それに、あたしも…今は、ゆかちゃんに触れていたい、から…。

………

 「ヒドイこと、させたりして…本当にごめんね…?」
あたしにギュッと抱き着きながらポロポロと涙を零すゆかちゃん。
回した手で、背中を優しくぽん、ぽん…とたたいてあげる。
小さくしゃくりあげながら泣くゆかちゃんに罪悪感が込み上げてきて…。
 「ごめん…」
本当に、ごめん…。

 (…や、ば…あたしも泣きそ…う)
泣いてしまわないよう、唇を噛みしめて我慢する。
 「のっちの、ばか…」
そう呟くと、ゆかちゃんの顔がスッと近づいてきて。
優しく唇を重ねられる。
 (いっ…つ…っ)
ゆかちゃんの舌がある場所に触れた時、軽い痛みが走る。
…相当強く噛みしめていたらしい…唇を切ってしまったみたいだ。

傷口に、ゆかちゃんの舌が優しく触れていく…。
最初は痛かったけど…感覚が麻痺してきたのか、少し気持ち良くなってきた…。
唇が離れて…
 「噛んじゃ、だめ…でしょ…?」
 「…っ」
上目遣いで、窘めるように言われた…。
 (かわい、すぎる…っ)
上目遣いでそんな、少し年上のお姉さんチックに言われたら…っ。
我慢できなくて、ギュッ、と強く抱きしめてしまった。


いろいろしたいけど…まずはやっぱり、謝らなきゃ。
 「ゆか、ちゃん」
 「なぁに…のっち…?」
 「本当に、ごめんね…」
 「…うん…」
…許してもらえてるのかなぁ…?
 「…あの、さ…」
 「ん…?」
 「虫が良すぎるとは思うんだけどさ…」
 「…?」
…少し、言いにくいけど…
 「…ゆかちゃんに、もっと…触れても、いい…?」
素直に、そう伝えてみた。

 (ダメ、かな…?)
すぐに答えがもらえなくて、少し弱気になってしまう…。でも。
…ゆかちゃんが少し微笑んだかと思うと…首に優しく両腕を回される。
 「…うん…ゆかに、触れて…?…のっちに、触れて欲しいの…」
 「っ…ゆか、ちゃん…っ」
一気に理性を溶かしてしまうような甘い声でそう言われて。
 (だめだ、もう我慢できん…っ)

ゆかちゃんの唇に、あたしの唇を重ねる。
舌をそっと差し入れて、ゆかちゃんと絡める。
 (…血の、味がする…)
傷口からまた血が滲んでいたらしい。
 (でも…)
不思議と嫌な感じはなかった。
いつもは苦い血の味も、今日はなぜか甘く感じる…。
 (ゆかちゃんと…キスしてるから、かな…)
そんな事を思いながら、ゆかちゃんとのキスにのめり込んでいった…。

………


 「んぅ…はぁ…」
ゆかちゃんの甘い吐息が。
 「…ぁ…んん…」
唇の柔らかさ、香り、体温が。
 「…ふぁ…、のっち…ぃ」
あたしの名前を呼ぶその声が。
あたしをどんどん昂らせる。
 「はぁ…ゆか、ちゃん…っ」
もっとゆかちゃんに触れたくて、いろんな所に手を這わせる。
胸に、脇腹に、お臍に…。
 「あぁ、んっ…っ」
あたしの愛しいゆかちゃん…愛しすぎて、壊してしまいそう…。

激しい気持ちを抑えることができなくて、すぐに手をショーツの中に滑り込ませる。
蜜で濡れそぼったソコに指を這わせて…我慢できなくて少し乱暴に、ゆかちゃんの中に入り込む。
 「ぁあっ、あっ…のっ、ち…っ!」
 「ゆ、か…ぁ…っ」
初めて、<名前だけ>で呼んでしまった。
頭が熱すぎて、気持ちが抑えられなくて…<ちゃん>を付けることを忘れてしまった。

 「っ…あや、の…っはぁ…あっ…」
 (…!)
初めて、<名前>を呼ばれた…。
<のっち>じゃなく、<あやの>と。
 (や、ばい…っ)
ただ名前を呼ばれた…それだけなのに。
あたしの心臓は痛いくらいに高鳴って、鼓動のあまりの速さに止まってしまうんじゃないか、と心配にすらなる。
…でもいっそ、このまま止まってもいいかも知れない…。
ゆかちゃんの甘い声で名前を呼んでもらえるなら…止まってもいい…。

 「…もっと…」
 「っは…っ…な、に…?」
 「もっと、呼んで…。あたしの、名前…」
細い指であたしの頬を撫でながら、優しく微笑んでくれる。
 「彩乃…好きよ…」
女神様のような優しい微笑みで、チョコレイトみたいに甘い声で呼ばれて。
 「っ…!!」

…湧き上がる激しい衝動に突き動かされるまま、あたしの愛撫は激しさを増す…。
 「あっ、ゃっ…あぁっ、はっ、んぅ…っ」
心と体が求めるまま、強引に唇を奪って。

壊してしまいたい。
あたししか見えないように、感じられないように。
あたしの…あたしだけのものにしたい…っ
 「んぁぁっ、あっ…あや、の…っ」
 「はぁ、はぁっ…」
その声も、瞳も、顔も、髪も、腕も…
 「まっ、て…っ、あっ、はぁ…、あ、たし…っ」
しがみつくようにあたしの服を掴むその指も…
 「こ、われ…ちゃ、う…っ、んは、ぁ…あっ、やぁ…っ」
胸も、お腹も、背中も、足も、お尻も…
 「あ、やのぉ…っ」
全部、全部…あたしのものに…っ!
 「あっ…、っ…ああぁぁ…っっ!!っ……」

力を失って後ろに倒れそうになる体を抱き寄せて。
あたしから離れてしまわないよう、強く抱きしめる。
 「っはぁ…はぁ…」
荒い呼吸のまま…。
 「…愛してる…有香…」
…そう、愛しい恋人に告げた…。

………

 「のっち…?」
名前を呼ばれて振り向く。
もう一人の、愛しい恋人…。
潤んだ瞳で、あたしを見つめている。
…この子も、あたしの…あたしだけのもの…。


 「…おいで…?」
…あたししか見えないように、感じられないように…
 「…綾香…」
……壊して、あげる……。






最終更新:2008年10月12日 19:05