Side N
撮影も無事に終わって、日本へ帰ってきた
三人して、『やっぱ日本が一番落ち着くわw』ってワイワイ
そして、あとは武道館に向けてまっしぐら
そんな忙しい合間をぬって、あ〜ちゃんは来てくれる
そしてあたしは、あることを、決心していた…
「今まで、ありがと」
「どうしたん?急にぃ」
「あたし、大丈夫、、なったからさ…」
キスをした後、話を切り出していく
ずっと胸がズキズキしてる
ここでふと、ゆかちゃんから別れを切り出された時の事を、思い出した
好きな人に告げられる別れ
あんなに辛かったのに…あたしは同じコトをしようとしている
本当に、、ごめん
「もう、止めよ…」
でも、時間が必要なんだ
「ぅん…分かった…」
こんな時にも、すべてを受け入れてくれるあ〜ちゃん
ゆかちゃんに駄々を捏ねたあたしとは大違いだw
でもさすがに、その瞳には涙が浮かんでいる
「我儘ばっかで、ごめんね?」
「我儘なんて、思ったことないけぇ…」
辛い、よね?だからせめて、今日だけは…
「かわりに、今日はあ〜ちゃんの我儘、なんでもきくけぇ…」
「なん、でも?」
「そう、なんでも」
何でもいいんだよ
あ〜ちゃんが望むことなら、何だって叶えてあげる
「じゃあ、ここから帰るまで…」
「うん…」
あ〜ちゃんの声が震える
「のっちと、恋人に、、なりたい…っ」
「うん、分かった…」
まだあたしには選べなかった、その関係
でも、キミが望んでくれるなら、今だけは…っ
あ〜ちゃんの頬を濡らす涙を舐めとって、徐々に目元へと辿りついて
閉じられた瞼に口付ける
「ん、のっち…」
「あ〜ちゃん…」
「なんで?」
「ぅん?」
「優しくするの?」
それは、さ…
「…あ〜ちゃん好きだからw」
本気だけど、本気に出来ない言葉
だからその言葉は、今のあ〜ちゃんにとっては残酷なんだよね
「だったら…優しくなんて、しないでよ…」
痛い…
ズキズキ、、する
「壊れるくらい…愛して…」
あたしには、無理だよ
壊せ、、ないよ
だって、好きなんだもん
「あ〜ちゃんっ」
壊したく、ないよ…っ
「お願い、壊して…」
…でも、あ〜ちゃんが望むなら
「あ〜ちゃん、ごめん…愛してる…」
そう呟いて、深い口付けであ〜ちゃんの呼吸を奪っていく
何度も何度も『愛してる』と囁きながら
これまでにない激しさで、自分の気持ちをあ〜ちゃんにぶつける
だけど、あ〜ちゃんの意識が飛ぶたびに苦しくて、心の中で『ごめん』と呟いて優しいキスを落す
…
何度目か意識が飛んだ後、そのまま眠ってしまったあ〜ちゃん
そのあ〜ちゃんの胸の真ん中辺り
心臓の真上
いつかその心に
届けられるように
あたしの気持ちが変わらずにいたら
その時
もう一度キミに…
あたしが勝手にした
あ〜ちゃんとの約束のしるし
赤い色は消えてしまうけど
心臓に刻み付けるくらいの
熱い口付けを…
「大好きだよ」
て、呟きながら…
—つづく—
最終更新:2010年04月05日 21:09