アットウィキロゴ
待ち人は来ないまま、雨が連れてきたのは別の人。
「…好きな人、できた?」
「ん?んー…わかんないw」
「…そっか、、」


[019:take an others into rain]


ねぇのっち?ゆかならさ、いつだってそばにいるのに。
ねぇのっち?ゆかならさ、のっちのこと絶対おいていかないのに。
ねぇのっち?ゆかならさ、ずっと好きでいてあげるのに。




目が覚めるとまだ外は暗かった。
……夢、か。…ばかみたい。
夢の中ですら、ゆかはのっちにすがってる。


結局あの日は一緒にご飯を食べなかった。
鳴りやまない携帯電話に痺れを切らしてのっちが腕をほどいた瞬間、ゆかは部屋を飛び出した。
あれからのっちには会ってない。
正確に言うと避けてるし、避けられてる。そんな気がする。
ゆかたちはいったいなんだったんだろ。
この数ヶ月はなんだったんだろ。
恋人でもない、しかも同性の人に、ゆかはなんでこんなに振り回されてるんだろう。
別に好きだとか、愛してるなんて口にしてないし、もちろんのっちがそんなことを言ってくれたわけじゃない。
デートだってキスだって、エッチだって、何もしてない。
でもじゃあなんで?
なんであんなに優しい温度で抱き締めるんだろう。
なんでゆかのこと引き止めるんだろう。
なんでゆかに優しくするんだろう。
勘違い、させないでほしいよ。女の子はさ、やっぱり期待しちゃうんだ。
いつかのっちが言ってた。
「思わせぶりとかできない」
「…うそだ」
「ほんとだよ。本気になるからフリになんない」


じゃあ、今までのそれは、なんだったの?
思わせぶり。それでしかないじゃない。




あー。もうやだな。
明日も仕事。早く寝なきゃ。
あーあ。あーあ。あーあ。あいたいなー。
ねぇのっち?ゆかは会いたいんだけど、のっちはどうかな?





————————————


「…また、会える?」
「…」
「マロニも、会いたがってるし…」
「……ふwそんなの、わかんないじゃんw」
「だってぇw」
「てか、まだ生きてんだ?」
「ちょっとwそれ失礼!」
「ふっwごめんw」
「ねぇ、」
「ん?」
「…また、会える?」
「………会える、よ、、」


————————————






————————————


「それでー?」
「いや、うん、、」
「もう会ったん?」
「いや、ま、あー…、、うん」
「さいっ、、まーいいけど。あんた何したいん?」
「…」
「はぁ…。ゆかちゃんは?なんだって?」
「……言ってない」
「はぁ?それ最悪じゃん!」
「だって!…別に、、なんでもない、じゃん…」
「あんたね、それどんだけ卑怯なん?」
「…っつ、、」
「…まだ、好きなの?」
「いや、、、うん。わからん」
「未練がある?」
「そうゆーわけじゃ、、」
「やり直したいの?」
「…かなぁ…?」
「知らんよ馬鹿!」
「だって、、」
「なんなんよあんた!過去じゃん!執着すんな!うざい!」
「っつ、だって!好きだったんだからしょーがないだろ!!めちゃめちゃ好きだったのに急にいなくなったんだよ!熱の冷まし方わかんねーだろ!」
「うるさい!馬鹿!」
「おまえがうるさい!」




「…ねぇ、」
「なんだよ、」
「いつまでそうしてるつもり?」
「・・・死ぬ、まで・・?」
「…ねぇ、それが幸せって言える?」




————————————






のっちと会えない日々は続いた。その間のっちが何をしてるかは知らなかった。
だけど、、どうせ会ってんじゃない?なに?元サヤってやつ?綺麗なねーちゃんに取られたって言ってなかったっけ?
てか今更あらわれて、あの人何考えてんだっつの。




「ゆかちゃーん」


待ち合わせに少し遅れてあ〜ちゃんがやってきた。
あ〜ちゃんに会うのも久しぶりだ。あ〜ちゃんはのっちに会ってるのかな?


「ねぇ、あ〜ちゃんはのっちに会ってるの?」
「え?あー…うん。この前。ゆかちゃんは?」
「…会ってないよ」


そっか。と言ってあ〜ちゃんはゆかの頭をポンポンってしてくれた。
のっちがよくしてくれるそれを、初めてあ〜ちゃんにされた。すごく優しい気持ちになれた。


「もうのっちはだめだよ」
「な、んで!?」


急な言葉に驚きが隠せなかった。
「臆病だから」
それだけ言ってあ〜ちゃんは淋しいみたいな困ったみたいな顔をした。


ゆかは知ってる。
口ではそうゆうけど、きっとあ〜ちゃんはのっちが大事で心配して、それでもどうにかしたくて悩んでんだ。
あんなボロボロ泣いてさ、本当に優しいんだあ〜ちゃんて。ゆかなんて冷めきってたってゆーのに、、、。


ねぇ?あ〜ちゃんでものっちを救えなかったのに、ゆかが救えると思うの?
あ〜ちゃんの気持ちに勝てるほど、ゆかはのっちのことちゃんと想ってるのかな?
てかやっぱりさ、あ〜ちゃん、、


「本当は好きなんでしょ・・・?」


だって、その想いってもう愛じゃん?越えてるよ、色々。
親切ですね、じゃ収まらなくない?
あ〜ちゃんはのっちみたいに眉を垂らした。


「…本当に、鈍感だね」
「え、?」




気付いた時には腕の中だった。
あ〜ちゃんの優しくてあったかい腕の中だった。
のっちのちょっとゴツゴツしてる腕と違って、柔らかくてマシュマロみたいな、あ〜ちゃんの腕の中だった。


「傷つくなら、だめだよ」
「え、?」
「泣くなら、やめたらいい」
「あ、あ〜ちゃ…?」




空が曇って、今にも雨が降りだしそうだ。
こんな都会の街の中で、女がふたり抱き合って。
でも、あ〜ちゃんとゆかなら仲良しがじゃれ合ってるとでも思うだろうな。
だけど、、、


「あたしにしたらいい」


聞こえてきたのは“じゃれ合い”じゃなく、“愛”だった。
今にも雨が降りだしそうだよ。
ねぇのっち?ゆかならさ、こんな時でも思い出すのはのっちなのにな。






最終更新:2010年04月05日 21:13