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「たらいまぁ」
「おかえりなさい」
いつものように出迎えてくれる
かわいらしい声と、パタパタと駆け寄ってくる足音。
「おつかれさま」
「ありがとう」
そう言って、ぎゅっとしようと思ったら
「のっち、あやちゃん来てる」
あやちゃん?
あぶねぇ、、、また怒られちゃうとこだったよ。

リビングに行って、挨拶をする。
「あやちゃん、久しぶり」
「…久しぶり」
相変わらず、つれないなぁ。
てかやっぱ、あ〜ちゃんそっくりだ。
ほんと、“白いあ〜ちゃん”

白いのっちも、どっかにいるのかな?
あやちゃんに会うと、いつもそう思う。
前に、ゆかちゃんが言っていた。
白と黒は、もとは一緒だったんけど
なにかの拍子で、二つに分かれちゃったらしい。
だから、白には黒の、黒には白の、“分身”、
つまり、そっくりさんがいるって。
当人同士が、出会うことは、決してないのだけれど…


「ご飯用意するね」
ゆかちゃんが、キッチンに向かう。
「あ、ゆかちゃん。やっぱ、あたし帰る」
「え、なんで?あやちゃんのぶんも作ったんだよ」
「うん、ごめん、、やっぱ、やめとく」
もしかして、、、もしかしなくても、のっちのせい、、か?
「あやちゃん、遠慮なんかしないでよ」
「…そんなのじゃないよ・・」
「ほんとに?」
「うん、、」
「じゃ、のっち、あやちゃんを、途中まで送ってあげて」
「「えっ?」」
「だって、“そういうんじゃない”んでしょ?」
「ん、、うん」
「のっち、疲れてるとこゴメンね」
「んーん、大丈夫だよ」
のっちは別にいいんだけど、、、さ?


半ば強引に、ゆかちゃんに見送られた二人。

…んー、、、

「…飛んで帰る?」
「…うん、電車じゃ時間がかかりすぎるから」
「…そうだよね。じゃぁ、境界の手前まで送ってくね」
「…うん」

吹き抜ける風が心地よい。
けど、こんな季節はあっという間に過ぎてゆく。
もうすぐ、寒くなってくるだろな・・・ゆっくりと
ゆかちゃんの生まれた季節がやってくる。


あやちゃんは、なにも話さない。
夜の空間だけが、進んでゆく。


とても、静かな夜なのに、、、
いや、とても、静かな夜だから、か?
ずっと、もやもやしてたことを、あやちゃんにぶつけた。

「あのさぁ、、、、」
「ん?」
「やっぱ、、、白って、黒と一緒にいると、、、ツライ、の?」
「・・・」
「あ、いや、、なんか、このま、、
「ごめんっ!」
「んっ!?」
「この前、言ったことは忘れて!あれは、、、あたしの八つ当たりだから…」
「…八つ当たり?」
「うん、、、そう。別に、大丈夫、だよ?
 だって、白と黒が友達づきあいしたり、付き合ったり、、、
 別にそれほど、めずらしいことじゃないでしょ?」
「…うん」
「あたしだって、黒の友達いっぱいいるし」
のっちだって、、、まぁ、白と少なからず交流あるけど、ね。
「この前のは、、、、ほんと、ただの八つ当たり、だよ?」
      • ほんと、、、に?


見上げたお月様は、満月間近で、、、すっげーキレイで。。。
帰ったら、ゆかちゃんと、月見だな、、なんて、ふと思った。





「…でも、、さ?」
「うん」
「もし、、。もし、、、だよ?
 黒が、白によくない影響を与えるとしたら、、、、」
したら、、?
「あんたは、ゆかちゃんから、、、離れるの?」


ゆかちゃんから、、、離れる?






「・・・ごめん」


「うん・・・」


あの日、やっとで呟いた“ごめん”は
どういう、意味をもっていたのだろう?

そして、、、あやちゃんは、、、どんな気持ちで“うん”と呟いた?



未だに、のっちはさ
自分の、“分身”が、どこかにいるなんてことは
正直、ピンとこないんだ。

けど、、、ね?

『白と黒は、もとは一緒だったんだよ?』

キミの、あの日の言葉は、わかる気がするよ。



白とかさ、黒とか、、、、、そんなこと、考えるのは、ほんとナンセンスなんだけど


いつまで経っても、キミへの愛しさが消えないのは



結局のところ



そういうことなんだと思うんだ。






最終更新:2010年04月05日 21:23