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「ゆかちゃん、っ」
「なんよ?」


冬なのに。身体は先ほどから熱を帯びるばかりだった。互いに生まれたままの姿で、のっちはかしゆかに見下ろされている。のっちがゆかの瞳を見つめると、ゆかは普段見せるような、無邪気でもなく、意地悪そうでもない、のっちが今まで見たことのない瞳をしていた。のっちは、ゆかのその瞳に、思わずごくりと唾液を飲み込む。そして、疑問に思っていたことを尋ねる。


「……なんで、のっちと、するん…?」


のっちが、疑問を投げかけると、内股を擦り続けていたゆかの掌の動きがぴたりと止まる。そして、瞳の奥が揺れた。のっちは、ゆかの動揺を見逃せなかった。


「……イヤなん?」
「そういうわけじゃないけど…。」
「だったらいいじゃん、」
「違うんよ、ゆかちゃん!」


交わっていた視線は、ゆかが逸らした。ゆかがのっちの首筋に顔を埋めようとすると、のっちの言葉がそれを制す。また、ゆかの動きはぴたりと止まった。


「…ゆかちゃん、好きなひとおるっていよったじゃん。のっちは、それが気がかりやっただけ。ゆかちゃんがいいなら…いいんよ。」


ゆかは何も言わなかった。ぴたりと静止したまま、何も動き出そうとしないゆかを前に、のっちは何か拙いことを言ったのではないかと、不安になった。


「……ゆかは、好きなひととは、絶対結ばれんもん。」
「なんで? わからんじゃろ?」
「そのひと、他に好きなひとがおるけえ…。」


のっちは黙りこんでしまった。ゆかとのっちの置かれている状況が、リンクした。そして、のっちはのっち以上にゆかが孤独であることを感じた。


「のっち。」
「ん?」
「続けるけえ、」
「…わかった。」


再び、ゆかの細長い指先がのっちの内股を撫でる。くすぐったくてもどかしい、じんじんと痛みにも似たそれに耐えようと、のっちは無駄にシーツの上で撫でられていない方の脚を擦りつけた。そんなことをお構いなしに、ゆかの指先はどんどん脚の付け根へと上がっていく。
ひんやりとした指先が、撫でるようにそっと秘部に触れた。と、同時にのっちの身体は、びくんと大きく震えた。目は大きく見開いて、視線をきょろきょろさせ、その姿を見たゆかは、くすっと笑った。


「のっち、可愛い。」






ゆかの高い声は、ゆっくりとのっちの鼓膜を刺激する。そして指先はゆるゆると秘部を撫でた。撫でる度に、ぬめりを伴った液体が溢れて、ゆかの指先に纏わりついた。自身の指先がみるみるうちに湿っていくのと、目の前に広がるのっちの情けない表情に満足したゆかは、何の許可もなく、人差し指をそっと中へと入れた。


「ひッ…!」


これから何が起こるのか、理解はしていたものの、いきなりの出来事でのっちの思考はついていけそうにない。シーツをきつく握り締めて、ゆかの指の動きに耐えようとする。それを見たゆかが、そっと反対の指でシーツを握り締めたのっちの指をゆっくりと解いていく。そして、ふたりの指が絡まる。


「…気持ちよくするけえ、待って。」
「はっ、むっ…! ゆかちゃあ…ん…っ」
「可愛いよ、のっち。もっと声聞きたい。」


ゆかの指がゆっくりと動き出した。のっちは、自分の中で何が起こっているのかわからなくて、大きく左右に首を振った。


「ちょっと、のっち、ゆかの顔見てよ。」
「み、れんっ、」
「見ないと、もっとヒドくするけえ、いいけど。」


ゆっくりと動いていたゆかの指が、急に抜き出たかと思えば、すぐにまた本数を増やして中に入る。のっちには、未知の世界だ。人と人の欲望、ゆかの剥き出しになった性欲を戸惑いながらも受け入れる。
増やされた指は、のっちの中で思い思いに動いた。その動きは、早まったり、緩まったりと自由にのっちの中をかき混ぜる。その度に発される卑猥な水音が、聴覚までも刺激する。


「ひゃっ、あ、あ、」
「じゃけえ、言うたじゃろ?」


のっちの意識は少しずつ、遠のいていく。もはや、ゆかの言葉はのっちには遠い存在のようにも思えていた。


「ゆ、か…ちゃ、」
「のっち。」
「んっ、あっ、あ…!」
「……ゆかのこと、好きになったら?」



冷えていた指先は、もうとうに同じ温度になっていた。







最終更新:2010年04月05日 21:25