それでも、やっぱり、、、。
「ゆかは、、」
「ん?」
「好きになってほしい」
[020:still rain]
降りだした雨に、ただ何も抵抗することもなく、二人仲良く濡れた。
「…困らせたいわけじゃ、ないんよ」
そっと頬に触れる柔らかい指と、声。
あ〜ちゃんの指が何度もゆかの頬を撫でる。
気付くんだ、あ〜ちゃんは、雨の中でも、、。
「…かえろっか、」
そう呟いたあ〜ちゃんの声はどこか物悲しそうで、ゆかは何も言えないまま黙って頷いた。
流れた涙はそのまま拭わなかった。だって、雨が降ってるから。
待ち合わせして、雨に降られて、そのまま帰る。
そんな馬鹿みたいな短時間の間に、ゆかを揺さ振る強い衝撃。
ねぇ、あ〜ちゃん?それ、本気?
ゆか、わかんないよ。もう、どうしていいかわかんないくらい、、、ゆかは、のっちが好きなんだ。
だってほら、こんな時でも思い出すのはのっちのことばっかりで。
こんな雨が降っていても、のっちは傘持ってるかな?とか、また濡れて風邪ひいたら嫌だな、とか。
でも、ゆか以外の他の誰かに、ゆかにしたみたいに上着を貸すのはもっと嫌だな、とか。
そんなことばっかり考えてるんだ。
————————————
「それが幸せなら、もう何も言わんよ」
「…」
「でもそうじゃないなら…。ね、のっち?」
「…ん?」
「一度だめになったものって、もう一度始まったところでだめになる気、せん?」
「…う、ん」
「だったら!」
「ごめん!あやか、ちょっと…時間、ほしい」
「…」
「あ、やか?」
「…あんた、、あんたそんなならもう本気でゆかちゃんもらうよ!?」
「はっ!?へっ?いや、意味わかんない、、」
「いや、わかるじゃろ!」
「いやっ、、」
「どうなん?いいん!?」
「え、あ、、いや、、、」
「…」
「いや、あ、、。うん。いや、だけど…いやだけど……いい、よ、、」
「……ばっかじゃないの!!」
————————————
二日前に会った時、あ〜ちゃんから言われた言葉が頭から離れない。
だけど、離れないけど、すがる気持ちはなかった。
多分、あ〜ちゃんは“そうゆうつもり”じゃない。
多分、あ〜ちゃんの本当の意味は、、。
こんな大都会で埋もれてるゆかに、光を与えてくれたのも、水を与えてくれたのも、間違いなくあ〜ちゃん。
“…困らせたいわけじゃ、ないんよ”
ごめん、あ〜ちゃん。ゆかも。
ゆかもあ〜ちゃんを困らせたいわけじゃ、ないんだよ。
携帯のボタンを押す指は震えていた。
いつもは素早く打てるメールが、なかなか言うことを聞かない。
ねぇ、のっち、
『会いたいよ』
こんなふうにメールすることなかったから、きっと驚くだろうな。
だって、ゆかだって驚いてるんだ。
深夜二時をまわった頃、突然降ってきた雨の音で目が覚めると、それを待っていたかのように携帯が鳴った。
『のっちも。』
ゆかは慌てて電話をかける。
ゆかはやっぱり、のっちが好きだよ。
最終更新:2010年04月05日 21:35