なんでなんだろう?
わかんないんだけど、あやちゃんが来る時は
なんとなく、わかる。
前もって連絡なんかなくたって、感じるんだ。
「いらっしゃい」
「おじゃまします」
それに、あやちゃんが来る日は、なんとなく調子がいい気がする。
「はい、クスリ」
「ありがとぉ、、」
「ね、調子はどうなの?」
「うん、まぁまぁだよ?」
「そっか…」
「・・・もう、“戻ってこい”って言わないんだね?」
「あ、、あぁ、、うん。だって、、、
「だって?」
「ゆかちゃんに、その気、ないのわかってるし」
「うん」
「ゆかちゃんにとって、それは、
幸せなんかじゃないことも、、、わかってるから…」
…あやちゃん、、、
「ありがとう・・」
「ねぇ?」
「なに?」
「あいつは?仕事?」
やっぱ、、あいつ、なんだよね…いんだけど、さ。
「うん。今日は、久しぶりに、ね」
「久しぶり?・・・また、あんまり働いてない、とか?」
怪訝そうな表情をみせる、あやちゃん。
昔は、あんまり仕事が好きじゃなかったって話したことあったからだろな。
「んーんwそんなのじゃなくって」
「なくって?」
「…んー、、、ちゃんと仕事はしてるんだけど、さ、
最近は、うちにいることも増えたから」
「・・・?」
どういうこと?
そう顔にかいてる、あやちゃんは、かわいい。
「ふふっwたぶんなんだけど、ね」
「うん」
「ゆかと、少しでも一緒にいられるように、考えてくれてるんだと思うの」
「・・・そっか、、、なんか・・・
「なんか?」
「あいつ、らしいね」て。
「あいつ」って呼び方は、同じなんだけど
やっぱ、のっちのこと、わかってくれてるんだ、、、て、嬉しく思った。
「うん、、、ゆかも、そう思う」
あやちゃんを見送ると、入れ違いにあ〜ちゃんがやってきた。
「…」
「どうしたん?そんなびっくりした顔して」
「あ、いや、、さっきまで、あやちゃんが来てたから、すごいタイミングだなって」
「あぁ、そうなんだ」
「やっぱ、そんなに似てる?」
リビングのソファに腰をかける。
その姿も、あやちゃんとかぶって、、、、なんか、変な感じ。
「うん、そっくりだよぉ。あ、写真見る?」
「あぁ、、いいや」
「そう?」
「うん。ゆかちゃん、前に言ってたじゃん?
白と黒。そっくりさんは、絶対に出会えないんだって」
「うん」
「だから、見ない。そういうことだと思うから」
どや顔で言うけど、それって、理由になってるようで、なってない気がするよw
「のっち、今日はお仕事行ってるよ」
「うん、知ってる。今日は、ゆかちゃんに会いにきたの」
「ゆかに?」
「そう、、調子どうなのかな、、、て」
「あぁ、うん。大丈夫だよ」
「のっちがさ、会うたびに、心配してるから、さ…」
「…そっか・・」
心配かけて申し訳ないなって思う反面、、嬉しいと思ってしまうなんて、、
どうかしてるよね?うん、どうかしてるほど、ゆかはのっちが愛しくて仕方ない。
「ねぇ、あ〜ちゃん?」
「なに?」
「のっちって、今、、どんな仕事してるの?」
えっ、、と、一瞬、あ〜ちゃんが止まる。
ずっと気になってたこと、、、なんとなく、気付いてる、こと。
「・・のっちが、あんまり、“やりたくない”って思ってる、お仕事?」
あぁ、、うー、、、あ〜ちゃんは、なんとも言えない表情をしたけど、、、
「んー、、まぁ、、、そんな感じ?…かな。
あ、でも、のっちはもともと、黒の仕事あんまり好きじゃないから」
「うん、それは知ってる・・・てか、“ゆかみたいな”仕事、なんだ?」
白と黒とじゃ、内容は違ってくるけれど。
「あ、、うん、そう」
「そっか」
やっぱ、そうなんだ。てか、、、
「のっちって、“そう”だったんだ?」
「そうっていうか、、ま、半分?」
「半分?」
すると、あ〜ちゃんは
「あたしから話すのもどうかなとは思うんだけど」
そう言って、のっちの『秘密』を教えてくれた。
「えっと、“純”の人って、血の関係もあって“純”同士で結婚するでしょ?
て、黒はそうなんだけど、白も、、たぶん、そだよね?」
「うん、そだよ」
「のっちは、、、その、いわゆる妾の子というか、、、、
お父さんは“純”なんだけど、お母さんは違うんだって」
「純じゃ、ない、、、黒?」
「かもしれないし、、、もしかして、白だったのかも〜って
本人が昔、冗談めかして言ってたことがある」
「かも?」
「お母さんね、のっち生んですぐに亡くなってるんだって」
「・・・そ、なんだ…。あ、じゃぁ、誰に育ててもらったの?」
「それがさぁ、お父さんに引き取られて、実子と一緒に」
「え、、ほんとに?」
「そう。なんかね、のっちのお父さんとこって、純の中でも
稀な血筋らしくってね。半分といえども、その血を引いた子は貴重だからって」
「・・・へぇ」
「でも、のっちってさ。やればできるのに、基本、やんない子だからw
ま、親に反発してたのものあるんだろうけど、全然、チカラも伸びなくてね。
んで、なんとか一人でも生活できる年になったら、あっさりと家をでてきたらしい」
ま、昔、ぽそっと本人がこぼしたことだから、どこまでがほんとかわかんないけどねぇ。
そう、あ〜ちゃんは締めくくった。
そっか、そういうことか。
「・・・びっくり、した?」
「ん?んー・・それはない、かな」
「そっか」
うん、むしろ、
あ、そっかって、、、すっと、自分の中で落ち着いちゃった。
「ねぇ、ゆかちゃん?」
「なに?」
「一緒にいることが、ゆかちゃんにとっても幸せなんだよね?」
あ〜ちゃん・・・
「もちろんだよ」
「そっか、、そだよね。ごめん、変なこと聞いちゃって」
「んーん」
平気だよ?
だから、、、そんな、泣きそうな顔しないでよ。
幸せだよ?
それに、やっぱ、のっちじゃなきゃダメだったんだよ。
恋に落ちる運命だったんだ。
でしょ?
それにね、のっち?
白いゆかと、黒いのっち。
だからこそ、こんなに惹かれあって
泣いちゃいそうなくらい幸せなんだよ?
だからね、嘆かなくたっていんだよ。
だってさ、いつだって泣きそうになっちゃうのだって
悲しいからなんかじゃなく
ましてや、寂しいからでもないんだから。
ただただ、幸せだっただけ。
ね?
だから、嘆かないで。。。
最終更新:2010年04月05日 22:08