アットウィキロゴ
季節は紅葉まっさかり。
ほんとは、遠出する予定だったけど、断念。
ゆかちゃんは、「大丈夫」って言ってくたけど、、、さ。

今年は、一緒に暮らし始めて、5度目の冬。
ゆかちゃんが、生まれた季節。


さてさて、今年は、どんなお祝いをしよっか?
ある意味記念だし?ちょっと、凝ったことしたいよね、、なんて。


一仕事終えて、家路を急ぐ。
ゆかちゃん、大丈夫かなぁ・・
今朝は、けっこう調子良さそうだったけど。
久しぶりにお弁当も作ってくれたし。
あぁ、だめだ、顔がにやける。

ムリしてまで、作って欲しいだなんて、もちろん思わないけど、さ。
うん、やっぱ、素直に嬉しいよね。単純だな、あたし。


うちに帰ると、カレーを作って待っていてくれて、さらに嬉しくなった。
ほんと、単純だな、あたし。


「いただきます!」
「いただきますw」
「んー・・うましっ!」
「ごめんね、簡単なものしか作れなくって」
「んーん!全然いいよ!てか、のっちカレー大好きだし」
「ははっ、うん。ほんと嬉しそうw」
「うん、嬉しいし、美味しいし、最高!」
「大袈裟だってっw」

大袈裟かな?
あぁ、、うん、
大袈裟なくらい、幸せ、だ。


「っ!のっち、どうしたの!?」
「え?」
ゆかちゃんの、驚いた声で、はっとした。

のっち、泣いてんじゃん。

ははっ、、と、泣き笑い。

「ね!のっち?」
なんなんだろう、これ?
「ん?なんか、すっげー幸せだなって」
「…幸せ?」
「うん、泣けるほど、幸せなのかも、、、おかしいね?」
「・・んーん」
「?」
「わかるよ?ゆかも、おんなじだから、、、」


おなじように、幸せだと言ったくせに
そっと、そのキレイな瞳を伏せた。


「…どうしたの?」
「・・・」
唇が、軽く、空をきった。
「ん?」
「…のっち?あのさぁ、、、
「うん」
「お願いが、、あるんだ」
「なに?」
「ゆかの今年の誕生日、ちょっぴり早くお祝いしてほしい」

え?・・・・どういうこと?

「ちょっぴりって?」
「んー、、、来月に入って、すぐ、、とか?」
「いいけど、、、どうして?」
「ん?イブはイブで、楽しみたいから」

そう言って、ふわり笑った。





今までだって、誕生日とイブを一緒にしたことなんてないよ?


      • ねぇ、、、、そういうこと?


涙も思考も、せき止められた。


「わかった。じゃ、急いで準備しなきゃねw」


だから、そう答えた。


ご飯の後片付けは、のっちが強引にやった。

一通り片付けて、リビングに戻るとゆかちゃんの姿がなくて・・

すっと、吹き抜けた風。

揺れるカーテンの向こうを覗くと
小さな庭に置いたベンチに腰をかけて、夜空を見上げていた。


「・・・カラダ冷えると、風邪引いちゃうよ?」
「うん・・・でも、大丈夫」
「そ?」
「うん、ありがと」
「んーん」

そっと、隣に腰掛けると
ちょこんと、のっちの左肩にちっさな頭をのっけてくる。

二人を、霞む月の明かりが包み込む。

ふわっと、羽を広げて、二人だけの空間を、区切る。
「ありがと」消え入りそうな声で、キミは呟いた。
あたたかくて、少しだけ、、、、泣きそうになった。


「ねぇ、、、誕生日、どっか行きたいとこある?」
「行きたいとこ?」
「うん。なんかね、今年は、どこかに出かけたいなって思ってて」
「そっか、、、

ふと、左肩が軽くなったと思ったら
のっちの羽よりも、深くキレイな黒した瞳で覗き込んで

「あの、公園でのんびりしたい」・・・て。


「あの公園?」
「うん、ダメ?」
「ダメじゃないけど、、、そんなのでいいの?」

すると、のっちの大好きな、やわらかな笑顔で

「うん、それがいいの。あそこで、のっちとのんびりと過ごしたい」

「わかった、そうしよっか」


なんて、、、ほんとは、わかってなかったんだよね?



んーん


やっぱりのっちは
わかんないフリしたかっただけなんだ。




その夜

ゆかちゃんが、寝静まったのを見計らって、ベッドを抜け出した。



どこまでも続く、暗闇の空を
ぼんやりと光る月目指して、限界まで羽ばたいた。

余計なことは、なにも考えたくなかった。


けど、どんなに飛んでも飛んでも

掴めそうな気がしても、全然
そこには、手が届きそうにもなくて


ああぁぁぁーーーー!!!

あああぁぁっぁぁぁぁーーーー!!!!




声にならない、声で叫んだ。


想いは、暗闇に消えていったのかな?
ココロん中に、閉じ込めたのかな?


ああぁぁぁぁっぁ・・・・・・


声には出せなかったよ。


こんな姿、声

キミの耳には、届いて欲しくなかったから。






最終更新:2010年04月05日 22:09