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先週の木曜日あ〜ちゃんから電話が掛かってきた。
正直、突然すぎて困った。困ったけど、なんだか断れなかった。
そう思うとやっぱりゆかも、あ〜ちゃんに甘いんだと思う。
でもよりによってなんで来週の土日を選んだんだろう?
だって、次の日って・・・。

『来週の土日ひま?』
『来週?バイト入れようと思ってたけど、今ならまだ平気だよ?』

『じゃあ空けといてくれる?』
『うん。いいけど?』

『みんなでいちご狩りツアーしよう』
『えっ!?いちご狩り?ツアーなの?てか、みんなって誰?』

『あ〜ちゃんとー、ゆかちゃんとー、運転手にのっちで三人じゃけぇ』
『あっ、あぁ。いちごってこの時期あるの?』

『それがあるんよ!ネットで調べてもう予約しといたからw』
『え!?早っ』

『いちご狩りした後は温泉入って旅館に一泊するんよ』
『それって、ゆかも泊まるってこと?』

『・・・ダメ?』
『だ、だめじゃないけど・・・もっと前もって言ってほしかったなーなんてw』

『ごめんね、ゆかちゃん。あ〜ちゃんも急に思い立ったけぇ』
『ゆかが行くこと、のっちは知っとるん?』

『・・・うん。大丈夫』
『そっか。わかった。来週の土日ね』

『うん!!・・・よかった』
『ん?なにが?』

『ううん。なんでもないけぇwじゃあ来週ね。バイバーイ』
『・・・うん。じゃあバイバイ』



そして約束の日になった。

三人で小旅行するのは初めてでちょっと緊張。
ふたりの仲がギスギスしてないか心配。
それに巻き込まれないか不安。
三人でいちご狩り楽しみ。

今、ゆかの中の感情はこんな感じでカオス状態。

はなしてこの土日無事に乗り越えられるのかな・・・。

エンジン音が聞こえた。
のっちの車だ。

「ゆかちゃーん。おはよーww」
助手席の窓を開けて笑顔のあ〜ちゃんがお出迎え。
今日はちゃんと指定席に座ってるんだ。

「おはよーw」
ゆかは後ろのドアを開けて、後部座席に座る。
「おはよ」
のっちはバックミラー越しでゆかに挨拶。
「おはよ・・・」って、ゆかが返したら、優しい目をして応えてくれた。

なんだそれ。
反則だよ。

「今日行くいちご狩りはここなんよ〜w美味しいって評判なんだって」
あ〜ちゃんからそこの農園のパンフみたいなやつを渡された。
たしかに美味しそうな大きくて赤い苺が写ってる。

「持ち帰りも出来んの?」
「出来るよ〜」
「じゃあ、家で食べる用に買っとく?」
「いいの!!でも高いよ?」
「いいよ。そんくらい買えるっつーのw」
「マジ!!ちょー嬉しい。のっち、ありがとね。ゆかちゃんもいる?」
「え?」
「あー、ゆかちゃんの分も買ってあげるよ?」
「えぇ・・・いいよ。悪いよ」
「なーに今更気ぃ使ってるんよwのっちになんて遠慮しなくていいんよw」



あら。どうやらふたりのギクシャクが収まったみたい。
よかったよかった。うんうん。やっぱりこのふたりはこうじゃなきゃ。
どうせ、のっちへの想いは叶わないんだから、ふたりが上手くいってた方がいい。

ふたりの辛い顔は見たくないもん。
辛いのはゆかだけでいいよ。

「あ!そうだ。ふたりに渡すものがあるんだ〜」
ゆかは鞄から手作りのマドレーヌをふたりに渡した。

「えーー!かわいい!!これ、ゆかちゃんの手作り?」
あ〜ちゃんはとっても喜んでくれた。

「うん。ほら、日曜日バレンタインデーでしょ?」
「だったら普通チョコ作るんじゃない?」
のっちに突っ込まれた。変な感じ。

「あー、そう思ったんだけど、なんとなくマドレーヌ作ってみたかったんだよねw」
「でもこっちの方がよかったけぇ。のっちマドレーヌ好きだもんね〜」
「えっ?そうなの?」

「うん。大好き」
またミラー越しでゆかを見るのっち。
大好きって言ったのはマドレーヌの事なのに、一瞬ゆかに言ったんじゃないかってバカな錯覚おこした。

「食べていい?」
「どうぞどうぞ。ふたりの口に合うかどうかわからんけどw」

あ〜ちゃんは袋を開けてパクッと口の中にマドレーヌを入れた。
「ん〜〜!!おいひーー!!」
「えーー!?あ〜ちゃんだけずりー。あたしにもちょうだいよー」
「はいはい」
運転中ののっちは手が放せないから、あ〜ちゃんがゆかの作ったマドレーヌを口の中に入れてあげた。

その行為はごく当たり前の様に自然だった。
以前はふたりがイチャイチャしてるのを見るのが嫌だったけど、そう思わなくなってる。
イチャイチャよりもギスギスを見ちゃったからかも。
ふたりのギスギスは一緒にいて嫌だったし全然楽しくなかったもん。

今のふたりを見てると不思議と落ち着く。
前まではふたりに対して変な嫉妬感バリバリだったのに。

きっとそれは店長に会ったからかな。
店長の最後の一言で、ちょっと変わった。
うん。好きな人に会えるだけでも十分幸せなんだって。
そう思ったら、ゆかの中の色んな感情が穏やかになってきたのかな。

正直のっちの事はまだ好き。それは認める。
けどだからって、のっちに何かして欲しいとか思わない。見返りなんていらないし、そんなの考えてもいない。

それにこの前のっちがうちに来て、あ〜ちゃんへの絶対的な想いを知ったからかな。
あ〜ちゃんもちょっと心配したけど普通みたいだし。

あれでちょっと落ち着いた気がする。
ゆかは今とっても楽しい。そう心から思える。

でもなんで今日あ〜ちゃんはこの小旅行にゆかを誘ってくれたんだろ?
それがちょっと気になる。

だって、次の日はあ〜ちゃんの誕生日じゃん。
だったら普通その前の土日ならのっちとふたりっきりでいたいと思わなかったのかな?

いやいや・・・マイナスに考えちゃダメ。これ、ゆかの悪い癖。
あ〜ちゃんの特別な日にわざわざ呼んでくれるゆかは特別なんだって思わなきゃ。
あ〜ちゃんはゆかの事も特別に想ってくれてるって思わなきゃ。

ほら、大丈夫。
今のふたりを見たら心配することなんてなにもないでしょ。







最終更新:2010年04月05日 22:18