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「わぁ、これ、あそこのアイスだっ!」
「うん、せっかくだから、買ってきた」
「遠いのに、、ありがとぉ」
「いえいえ、どういたしまして」

ほんと、美味しそうに、、嬉しそうに、、、食べていたよね。


そして、その直後に



倒れたんだ。


「ちょっ!ゆかちゃん!?」
「・・・」
触れた体は、さっきまでとは比にならないほど、熱かった。
まじでっ!?
あたしは、軽くパニック状態に。
「ね、あやちゃん呼ぼうっか!?てか、呼ぼう!」
そう言って、離れようとしたのっちの腕をぐっと握って
「・・んーん、、呼ばなくって、、いぃ」
焦点のあってない瞳で、のっちを見つめた。
「でも、、、、」
わかんないよ、なにが、一番、『最善』なの、か・・・

「のっち?」
「ん?」
「ゆか、、ね、、、月が、見たい」
「えっ」
「近くで、あの、キレイな月が見たい」


あぁ、もう!
最善なんて、なんだっていい。

キミが望むなら。。。


羽を精一杯、羽ばたかせた。
キミを抱えて、どこまでも。
いけるところまで、飛んでゆこうと。

くそぅ、、なんなんだよ…
ゆかちゃん、こんなに細かったっけ?
こんなにも、軽かったっけ?


限界まで飛んでゆこう。
目指すは、あの
異常なくらいキレイに光っている、お月様。


はぁ、はぁ、、っ、、、はぁ、、はぁ、、、
ちくしょう、あっちぃなぁ、、、


—っち!


…はぁ、、、はぁ、、、、っ、ぁ。。。


「のっち!」

キミの声で我に返った。


「もう、ここでいいから」

そう言って、キミはやさしい手つきで、のっちの羽を撫でた。


周りは、雲ひとつない夜空で
目の前は、でっかく輝く満月で
遠くの方で、星がちかちかしてるような気もしたけど


世界にたったふたりぼっちのような。。。





「キレーだね・・」
「…うん」

「ねぇ、のっち?」
「ん?」
「この前の話覚えてる?神様を信じるかどうかって、やつ」
「あぁ、うん。覚えてるよ」

「ゆかね、、、この前も言ったけど、神様ってのは信じてないんだけど、、、
「うん、、、?」
「パパが昔、教えてくれた“宝物”の話は信じてるんだよね」
「タカラモノ?」
「うん」
「ねぇ、それって、どういうこと?」

「ふふっ、秘密だよ」
そう言って、ふわりと笑った。

どういうことなの?
そう顔に表れていたのだろう、、、


ぎゅっと
その、細くて長くて、白くて熱い腕で抱きしめられた。


「のっち、、、愛してるよ」
「…のっちも、、、愛してるよ」

そっとカラダが離されて、さらさらと
髪を、頬を、撫でてくれる。

漆黒の瞳は、どこまでもやさしくて
たまらなく、愛しい。


「ゆかね、ずっと幸せだったよ」
「え、、、」
「のっちと出会ってから、ずっとずっと、幸せだった」
「…」
「後悔なんて、これっぽちもない」

ゆか、ちゃん、、、、

「ねぇ、のっちは?」

のっちは、、、、、のっちだって

「幸せだったよ。ゆかちゃんと出会わなきゃ、
 幸せの意味なんてわかんなかった」
「ゆかも、だよ」
「ずっと、幸せだったよ」

その想いに、微塵の偽りもない。


「うん、だから、きっと・・・

きっと?
そう訊ねたかったけど、唇はふさがれて。


「ありがとぉ。。ほんと、大好きだっ・・」


—またね…

えっ?



その瞬間、強烈な光に包まれて
目の前が真っ白になった。


そして、両腕は、夜の闇の中で、空を切り

焼けるように熱いキミの体温を、逃がしていった。



なにがなんだか、わけがわからなくって


気づいた時には、視界いっぱいに舞い散る


白い白い、羽。



月の光が反射して

目に沁みるくらい、きらきらと輝いていた。


あぁ・・・

よかった、、、、キミはずっと


白いまんまだったんだ。


なぜだか、ひどく安心した。


超きれぇ、、、


キミが消えてしまったなんて実感は全然なくって。

舞い散る白い羽にただただ見惚れてた。



キミのほんとの誕生日の


3日前の、こと

だったね。






最終更新:2010年04月05日 22:19