Side K
…
「とまぁ、酔っ払った勢いで告白して、記憶が曖昧っていう、なんとも情けない話なわけですよw」
「えー、でもあ〜ちゃんオッケーしてくれたんでしょ?凄いじゃん!」
のっちが話してくれた、二人にとってとても大切な日
のっちの特別が、本当の特別になった日
「ぃやーwけど、あ〜ちゃんに理由聞いても、『分かんなーい』って言われてw」
大ちゃん超良い人なのに…それでもあ〜ちゃんがのっちを選んだのは
「あ〜ちゃん前に言ってたよ?『人を好きになるのに理由なんていらないよ?』って」
私が、なんでのっちを好きになっちゃったんだろう?って思った時、あ〜ちゃんがそう言ってくれた
きっと、あ〜ちゃんがそうだったんだね?
「へぇ〜、そうなんだー」
「じゃあ、のっちはあ〜ちゃんのことなんで好きなの?」
「え?あーそれはね?ゆかちゃん」
「はい?」
「大学入って初めての授業で、あ〜ちゃんが声掛けてくれたんだよ」
「声掛けてくれる人なら、他にもいたでしょ?」
「うん、結構いた」
「じゃぁ、あ〜ちゃんじゃなくても良くない?」
「それが、違うんですよあ〜ちゃんはぁ」
「なにが?」
「なんていうの?輝き?それが他の子達と違ってたんだよぅw」
のっちの顔が緩々になってる…
「あー、そぅ、、それって、要するに一目惚れっていうんじゃないの?」
「ん?そうとも言うw」
「もう…」
なんて呆れてたら
「へへwでも、それだけじゃないんだ。あたし基本的にこういう風に話が続くようになるまで、結構時間掛かるほうでw会話が続かないと皆諦めちゃうんだよね?でも…あ〜ちゃんだけは、諦めないで話し掛けてくれたの。それが一番嬉しかったわけですw」
「へぇー、のっちってちゃんと憶えてるんだね?」
「え、ゆかちゃんは?」
「私もあ〜ちゃんと同じw」
改めて考えると、すぐに出てこないよね
「ええー、そんなのズルイよぉ」
「そぅ言われてもぉ、、あ!」
「ん?何々?なんか思いついた?」
目をキラキラさせて聞いてくるのっち
「あ〜ちゃん」
「え?なんであ〜ちゃん?」
「あ〜ちゃんの話する時ののっち、好き」
ふっと思いついたこと
「ぅえ?」
「だって、すごく好きだったんだなぁって、伝わってくるから」
「そ、そうかな?」
「うんwだから、私のことも大切にしてくれるって、そう思えるの」
隣にいるのっちの肩に、そっと頭を預ける
そうすれば、自然とのっちの手は私の頭を撫でてくれて
「もちろん、大切だよ」
前髪にそっとキスしてくれる
うん、思ったとおり
「ありがとw」
目が合って二人で照れ笑いしてたら「あ」って何か思い出したのっち
「そうそうw忘れてたw」
そう言って、いそいそと台所に何かを取りに行った
戻ってきたのっちの手にはケーキの箱
「あ、もしかして、あ〜ちゃんの?」
「そうなので〜すwしかもぉ?ジャジャーンw」
効果音付きで開けられた箱の中には
「ミルクレープでーすぅw」
のっちの掛け声と共に
ドクン、てあ〜ちゃんが反応した
わwなんか、すっごい嬉しいんだけどw何コレ?
「あ〜ちゃん、ミルクレープ好きなの?」
「ん?いや?好きじゃないよ?」
「ちょwじゃ、なんで?」
「これをね?一枚ずつ剥がして食べるってのが、あ〜ちゃんのちっちゃい夢なのw」
『ちっちゃい言うな!』
あ〜ちゃんの言葉に、二人して吹いてしまったw
でも、このままじゃあ〜ちゃん食べれないよ?
せっかくのっちが用意してくれたのに…
ねぇ、あ〜ちゃん。どうやったら入れ替われる?
そう思って目を閉じた瞬間、意識がふぅって吸い込まれるような感覚
あ…入れ替わった
Side N
ゆかちゃんが目を開けると、くしゃってするあの笑顔
『憶えててくれたんだ?』
「そりゃ、ちっちゃくたって、あ〜ちゃんの大事な夢だもんw」
『ありがとっw』
あれ、そういえば…
「ゆかちゃんが起きてる時に出てくるなんて、珍しいね?」
『あ、そうだ、、早く食べて戻らなきゃ』
「え?な、なんで?」
『あのね?』
どうやらゆかちゃんに意識がある時に出てくると、ゆかちゃんに負担が掛かるらしい
テレビとかの電源点けっぱなしで、コンセント抜いちゃう感じ、、らしい
たしかに、あんまり良くなさそう
『とまぁ、そういう訳だから、さっそく頂きまーす♪』
「あー、はい、どうぞw」
ウキウキしながら、一番上のクレープをぺラッと捲って
『わーwのっち見て見て?』
両手の親指と人差し指で摘みながら、顔の近くで揺らしてる
その幸せそうな顔は、相変わらず眩しくて、目を細めた
そして、あ〜ちゃんがパクッと一口
『んwクレープだぁ』
「そりゃそーだw」
『ふふw』
言ってしまえば当たり前なことを、再確認してあ〜ちゃんはパクパクもぐもぐ…
もぐもぐする姿が小動物みたいで可愛いw
姿がゆかちゃんだから、なおさらそう見える
一枚食べ終わると、二枚目を剥がして
『はいはぃ、コレ大本さんの分ね?』
しっかりあたしにも分けてくれる
「あざーすw」
あ〜ちゃんから受け取って、あたしもパクリ
「ん〜、、」
やっぱり
「クレープだw」
『でしょ?』
「うんw」
なんて言いながら、あ〜ちゃんはもう一枚
その一枚を食べ終わるころ
『ねぇねぇ、のっちぃ』
「なに?」
『コレさー、、』
「ん?」
『普通に食べた方が美味しくない?』
「www」
あたしも思ってたけど、あえて言わなかったのにw
『ぃやー、薄々♪気づいてはいたけど♪』
「だねw」
『それじゃあ、残りはゆかちゃんと二人で食べてね』
「うん。普通に食べるわw」
『それが良いよw』
最後にそれじゃって目を閉じたあ〜ちゃんが「あっ」て思い出したみたいにまた目を開けて、あたしの方へ近づいてきた
「どうしたの?何か言い忘れ?」
『うん、大事なこと忘れてた』
そう言いながら、横からスッて腕が伸びて首に回されて、なんだ?と思ったらほっぺに柔らかいものが当たって、離れていった
「ちょっとあ〜ちゃん。ゆかちゃんの姿で何しちゃってるのさ?」
ドキドキしちゃうでしょ?
『ふふwわざとに決まってるじゃん?せっかくゆかちゃん来てくれたんだからぁwそれじゃー、あとはごゆっくり?』
「腕くらい解いてってよw」
『ダーメ!』
「ちょっとぉw」
離れるどころか、さらにグイッと近づいてきた
『のっち?』
「なんっ!」
『ありがと』
「…」
…もう、相変わらずズルイよ
触れる感触も、聞こえる声もゆかちゃんなのに
最後のソレはやっぱりあ〜ちゃんなんだよね
「どういたしましてw」
『じゃねw』
て、次の瞬間には「にゃ!」ってゆかちゃんの悲鳴と一緒に、パッと離れていく体
そりゃ、いきなりこの体勢じゃねぇ?ビックリもするわ
「な、なんで私、てかあ〜ちゃん抱きついてたの?」
恥しそうに聞いてくるのが、なんとも可愛い
「ん?ミルクレープのお礼、、」
「あwそっかお礼かぁ。良かったw」
あれ?ゆかちゃんちょっとヤキモチ?wこれまた可愛い!
「、、とぉー」
「と、とぉ?」
「ゆかちゃんとイチャイチャできるようにってw」
て言いながら、今度はあたしがゆかちゃんに抱きつくと
「ニャァ///」
キレイな髪の毛の間から覗く、ゆかちゃんの耳が赤くなって熱まで伝わってくる
それが可愛くて、そこに光るピアスを指でチョンチョンと突いて
「とりあえずぅ、イチャイチャ、しとく?」
耳元に口を寄せて聞いてみると、
「…みるくれーぷは?」
ぼそぼそっと聞いてくる
「ああw」
あ〜ちゃんにも二人で食べなって、言われてたっけ?
でも、あたしの中は今イチャイチャモードな訳で…
かといって、ゆかちゃん食べたいのに我慢させちゃ悪いし…
「んー、、食べたい?」
という訳で、ゆかちゃんに確認
そしたら、そっと肩に顔を乗せてきて
「んー……後にする」
て、少し掠れた、ゆかちゃん独特の声に、胸を高鳴らせて
「じゃあ、、そうしよ」
あ〜ぁ
なんだかんだで、あ〜ちゃんの思惑通りか…w
—つづく—
最終更新:2010年05月17日 20:38