少し肌寒い夜は
素肌に触れるシーツのあたたかさが
とても心地いいと思うんだよね。
「もうちょっと、でっかいベッド買う?」
「いいよ別に。無駄な買い物になっても困るし」
試すように意地悪く笑う。
本心はつかめない。
別に、そのうち離れるつもりで一緒にいるわけではないけれど。
それは、お互い。
だから、同じように余裕ある表情で返したかったけど
どうやら意識とは別に、勝手に垂れるらしい。
「また、ハになっとるよ」
そういって、眉間を軽く小突かれた。
うぅ、、、なんて言いながら布団の上に突っ伏す。
洗い立てのシーツの香りが、心地よい。
「すねとる、すねとるぅ」
嬉しそうに笑う、独特の甘さが脳に響く。
おっきな手が、髪をさらさらと梳く。
「てかさぁ、、、
「ん?」
視線だけあげると
「ゆかは、これくらいでちょうどいいと思うよ?」
わぁ、すっげー優しい瞳。
「…そう?」
「うん」
「そっか」
そだよぉ、なんて言って
ごろんと隣に寝ころんでくるから
そっと後ろから抱きしめた。
「…のっち?」
「んー?」
「痩せた、ね」
「そう?まぁ、ちょっと、ね」
肩のとこに、ぐりぐりと額をこすりつける。
「…ちょっとじゃないじゃろ」
「んー」
「ちゃんと食べとる?」
「んー」
「ほんまに?」
「んー」
髪、いい匂いするなぁ、、、て
のっちも一緒のシャンプーだけど。
でも、なんか違う気がする。
「もう、ちゃんと聞いとるん!」
ぐいっと、肩で額を押し戻されて
くるっと、腕の中で器用に向き直り
それはもう、完璧なぷく顔で、怒られる。
「聞いとるよぉ」
でも、その顔、ただかわいいだけ。
「ゆかは、ほんとに心配しとるんじゃよ!」
ちゃんと、わかっとるよ。
「ゆかちゃんも、ほっそいねぇ」
そう言って、今度は胸元に額を押しつけた。
「もう、全然聞いてないじゃん」
とんと、背中を叩かれる。
ははっ、
ますます不機嫌になるのわかっててやってんだから
のっちも、たいがい意地悪なのかもしれない。
でもさ、、、でもさぁ、、、
「・・・」
再び、おっきな手が髪をさらさらと梳いてくれる。
「…のっち?」
「んー?」
やさしくて、やさしくて、きもちぃ。
「…なんか、あったん?」
なにか?、、か。
別にそういうんじゃないんだけど…
「いやぁ、、、」
「そう?」
うん、でも、ただ
「ごめん、甘えさせて?」
ふふっ。
微かだけど、たしかに
やさしさがいっぱいつまった笑みが零れたのを感じた。
「いいよ」
そう言って、長く細い腕で包んでくれた。
「…ぁったかぃ・・・」
「ん?なに?」
「ん?ゆかちゃん、あったかいなぁって」
「そう?」
「うん」
いいなぁ、ぬくもりって。
「代謝がいいから、かな」
「かもねぇ」
「食べたら、すぐにエネルギーw」
なるほど。じゃぁ、
「のっちのエネルギー源は、ゆかちゃんだね」
「のっちの、えっちぃw」
「えぇ、ゆかちゃんこそ、どんな想像してんのぉ?」
「っ!う、うるしゃいっ!!」
愛に包まれた腕ん中で、くしゃくしゃにされる。
あぁ、、たしかに、、、
「ちょうどいい、ね?」
「え?」
「ベッド」
「ん?」
「これくらいが、ちょうどいいと思う」
互いの体温を、余すことなく感じられるのだから。
「ばぁかっ」
今さら、なに言ってんの?
そんなふうに笑う彼女は、とても愛しい。
そんで、今ののっちにとって
この、ぬくもりだけが、リアル。
人の体温て、なんて心地いんだろう。。
うん、だから、さ?
少し肌寒い夜は
素肌に触れるあなたの体温が
とても心地いいと思うんだよね。
最終更新:2010年05月17日 20:46