まただ。
どうしてよ。
その痕、まだ新しいよね。
彼女と一緒にベッドに入るといつも思うこと。
あたしはいつもその痕に凄まじい嫉妬を感じる。
彼女に嫉妬させたい。
そう思った。
だから彼に痕を付けるようお願いした。
彼はすごく嬉しそうに付けてくれた。
何も知らない彼に若干の罪悪感を感じたけど、あたしの中では彼よりも彼女の方が重要なの。
彼女はあたしに残した痕がなくなる頃、部屋に遊びにくる。
彼女は自分が付けた以外の痕に気づくかな?
気づいたら嫉妬してくれるかな?
彼が付けた部分は左耳の後ろの下の方。
あたしがそこにしてってお願いした。
それはいつも彼女が最初にキスしてくれる場所だから。
「おじゃましまーす」
彼女はいつも礼儀正しく挨拶をして部屋に上がる。
でも礼儀正しいのは玄関まで。
パンプスを脱ぐと、いつも先に歩くあたしを後ろから抱きしめてくれる。
フワっと彼女のいつもの香水と柔らかい白い腕に包まれる瞬間は、このまま死んでもいいと思うくらい幸せ。
「ゆかちゃん・・・」
耳元であたしの名前を囁いてくれる。
そうしていつも左耳の後ろにキスをする。
「あれ?」
気づいてくた!?
彼女はあたしの顔をのぞき込みながら笑った。
「・・・なんで笑うん、よ」
「ふふ、可愛いなって思ったからじゃけぇ」
そう言いながら彼女は、あたしのシャツを上手に脱がす。
えっ、それだけ?
それだけなの?
本当に彼女はくやしいくらいまったく嫉妬しない。
そんなのわかってる。
彼女はあたしのことを愛してないから。
だからあたしが彼女以外につけた痕を残してても、彼女は少しも傷つかない。
傷つくのは逆にあたしの方だ。
こんな彼女を愛してしまった自分が悔しい。
でも彼女のぬくもりを知ってしまったから、この関係を止めらない。
「ゆかちゃん?」
気づいたら、彼女に全部脱がされてベッドに押し倒されてた。
「な、に?」
「なんで泣いとるん?」
気づいたら涙を流していた。
「あや、ちゃんの・・・せいだよ」
今のあたしの精一杯の抵抗の言葉。
「あたしのせい?」
「そ、だよ、、、」
「じゃ・・・やめる?」
なにを”やめる”の?
今からやるその行為のこと?
それともあたしたちのこの関係のこと?
どっちもやめたくない。
彼女はわかってる。
あたしがやめてほしくないことを。
だからすごい余裕の顔でそう訊いてくるんだ。
「やめ、、、ない・・・」
「ふふ、ゆかちゃん大好きw」
彼女の言う”好き”はあたしの”好き”とは違う。
わかっていても、そう言われるとあたしは簡単に勘違いしてしまう。
今夜も勘違いして彼女に溺れる。
溺れて後悔する。
その繰り返し。
— Fin —
最終更新:2010年11月06日 01:03