sideY




6年くらい前。


あ〜ちゃんがゆかに優しくするのも、
のっちがゆかに冷たくするのも、
世の中すべてのことに意味があるように、ちゃんと意味があった。


パパは、本当のパパ、じゃ、ない…?


あ〜ちゃんとのっちは、本当のお姉ちゃん、じゃ、ない…?


あー。体がだるい。熱っぽい。
あ、熱あるんだった。
もー、いいや。なんか、わかんない。
頭痛い。考えるのやめよ。
ゆか、何もわかんない。



ベッドに潜り込んで目を瞑っても、さっき見た薄っぺらい紙が脳裏に焼き付いて離れないでいる。
それを無理に消そうと左右に頭を振ったら、押し出されるようにして涙がこぼれた。
わかんない。もうぐちゃぐちゃだ。


ゆかが、お姉ちゃんと思ってた二人は、お姉ちゃん、じゃ、なかった…?
二人は、それを知ってた…?
わかんない。わかんないよ。



涙を拭っても、目をこすっても、その光景が消えてくれない。
部屋を真っ暗にしても、布団を頭まで被っても、眠れないし具合はどんどん悪くなる。
ゆかにはもう、ここからはい上がる力がないのかな。
ゆか、なんか悪いこと、したのかな…?
お姉ちゃん、聞いたら教えてくれるのかな…?
あ、“お姉ちゃん”じゃ、ないんだった。
じゃぁ、誰にも言えないじゃん。
ねぇ、じゃぁさ。
この胸に、ここ何日かで生まれて、消そうとしてるこのモヤモヤした気持ち悪さも、認めていいってことなの?
“お姉ちゃん”じゃ、ないなら、少しは楽になるの?


だめだ。
誰にも聞けないじゃん。





最終更新:2010年11月06日 01:13