『大雨に注意して下さい』
チカチカ眩しすぎるくらいのテレビから、アナウンサーの無機質な声が聞こえる。
今夜も東京の夜は暗い。
『雷雨、落雷に注意して下さい』
数分後、アナウンサーは言い直した。
その次の瞬間、窓から見える空が一瞬光って、一瞬で消えた。
「のっち!のっち!見た?今、光ったよ!」
「…ん?」
のっちの肩を叩いても、反応は何とも言えないほどに薄い。
「ちょっと、のっち!見た?今かみなり光ったのー」
「…見るわけないじゃん、」
まぁ、窓を背にしてるのっちが見てるわけない、か。
そもそも今、そんな状況じゃ、、
「ゆかちん見てるんだから」
ないんだよね。
ゆかの上にまたがったのっちは、ゆるく笑いながら着ていたTシャツを脱いだ。
タンクトップからすらりと伸びた長い腕が、ゆらゆら動いてゆかのシャツを脱がす。
「だいたいね、今からエッチしますよーってゆーのに、世間話やめてもらえますー?」
ふざけたように笑って、のっちは手の動きを早めた。
だって。
だってゆかは、もうどうしようもないくらい恥ずかしくて。緊張してるんよ、ばかのっち。
「……だって、、わかんないんだもん…」
ゆかは、さ。どうすればいい、とか。何すればいい、とか。
そりゃぁ、、
「のっちはさ、、」
その、まぁ、なんとゆうか、、
「…慣れてる、かも、しれないけど、さぁ…」
比べる対象があって、良し悪しがある。って、、
なんか、、
「……悔しいって、ゆうか、、」
なんか、だって、ほら。
しょうがないんだけど、わかってたけど、
のっちはモテるし、そりゃぁ、その分経験だってあるわけだし、、、
「ゆかちん、だまって?」
ハッとして顔をあげると、目の前ののっちは少しだけ眉を下げて、優しい顔で笑ってた。
「ゆかちんと、初めてのエッチするんだから、のっちだってドキドキしてんだよ?」
ほら。なんて言って、ゆかの手をとる。
置いた手の平に、のっちの早い鼓動が伝わった。
「ね?一緒なんだから、」
そう言ってのっちはゆかの胸に顔をすり寄せた。
指先はもぞもぞと動いて、シャツのボタンがすべて外れたのがわかった。
「だから、」
体を起こしたのっちは、ゆかのシャツを開く。
露になった姿に目を細めてのっちが笑った。
「のっちのことだけ見ててよ」
「ちょ、のっ、ち、、だめ、、」
「ん」
「まっ、、、待って待って!」
「んー…待たん」
「ぃやっ!あっ、、ん、んー」
「…声」
「んあっ、はぁ、、…ん?」
「声。興奮する」
「んん、、ば、か、」
のっちの優しいんだか意地悪なんだか、よくわからない指が、ゆるゆると全身をなぞっては体がうずいて悲鳴をあげる。
そんなの、、めちゃめちゃ恥ずかしいのに。
「の、ち、のっち!ゆかぁ、、」
「ん?」
「ふぁ、、も、、だ、めかも、」
「…そんなにいい?」
「…っ、、」
のっちのおでこに汗で髪が張りついてる。
やらしい顔でゆかに聞くくせに、のっちだって必死じゃん。
「ねぇ?そんなにいい?のっちのエッチ」
汗で張りついた髪をといてあげると、のっちが一瞬ゆるんだのがわかった。
いやらしく、意地悪で聞いてるだけじゃないんだもんね。
のっちも不安なんだもんね。
大丈夫だよ。ゆかはどこにも行かないって言ったでしょ。
「…うん。いい。のっちがいい。」
首に腕を回すと、嬉しそうにのっちが降ってきた。
『東京近郊に大雨注意報』
無機質なアナウンサーの声。
一瞬光って、一瞬で消える光。
こんな狭い部屋の中で、
今夜も東京の雨は、ゆかに降る。
end
最終更新:2010年11月06日 01:24