「ただいまーーー!!!」
あ〜ちゃんが朝の5時なのにこんなにテンションが高いのは理由がある。
それは年末年始の仕事がようやく終わった開放感からくるもの。
それと夢だった紅白歌合戦に出演できたこと。
あとさっき神社で引いたおみくじが大吉が出たのも関係してるかも。
ちなみにあたしは末吉。これまたちゅーと半端であたしらしい。
今日の仕事であたしはタカコさんのアシスタントを外れる。
今年から若手女優さんを担当するように事務所の社長に指示された。
てことは、一応昇進ってことだけど、あ〜ちゃんのそばで働けなくなってしまった。
結局、あたしは一度もあ〜ちゃんをキレイにしてあげれなかったのだ。
この業界に飛び込んだのはすべてあ〜ちゃんのそばにいる為だったのに、意味がなくなってしまった。
「なに言いよるん!!」
そんなことをグチってたら、あ〜ちゃんに怒られた。
「だってぇぇ〜」
ぶぅっと口を尖られてあたしはソファーにドカっと座った。
「だってじゃないけぇ!もうそんな贅沢言っとるとそのうち罰が当たっても知らないから!!」
「うー、仕事場にあ〜ちゃんがいないとやる気が出ないー。仕事辞めようかな・・・」
「アホ!!」
ペンって頭を軽く叩かれた。
「そんなことくらいで辞めるってなんなん!紹介してくれた木村さんに悪いじゃろ!!」
そんなことって言うけど、あたしにとってはそれが一番大切なことなんだよ。
あ〜ちゃん、わかってないな。
あ〜ちゃんが思ってる以上に、あたしはあ〜ちゃんのこと大好きなんだから。
「あーのっち、主婦になるわ。あ〜ちゃんの帰りを待つ妻wそんであ〜ちゃんはバリバリ外で働く夫」
「なんであたしが夫なんよw」
「だって、あ〜ちゃんの方が稼ぎが多いでしょ?だから旦那様w」
「てか、のっち家事出来ないじゃろ?」
「し、失礼な!家事くらいチョイチョイって出来るよ!」
「ふーん。ほんとかねw」
あーあ、そんな疑り深く見ないでよ。
「ほんとだよ〜w膝枕もしてあげるよ!ほら、ダーリン♪」
ポンポンと自分の膝を叩いたら、あ〜ちゃんがゴロンと寝転がってきた。
うわっ!!半分冗談で言ったんだけど、実際にやられるとめっちゃドキドキする。
てか、なんで膝枕してるあたしの方がドキドキしてんだ?
あたしの膝の上で目をつむるあ〜ちゃん。
さすがの元気印のあ〜ちゃんもお疲れモード?
「眠い?」
「んー、ちょっと・・・」
「ベッドで寝る?」
「ううん・・・。もうちょっとこうしてたいけぇ、、、ダメ?」
ヤバイ。
そんなトロンとした顔で見上げないでよ。
新年早々キュンキュンでニヤニヤが止まらなくなっちゃうからさ。
「いいよw」
あたしはあ〜ちゃんの前髪をサラサラと触る。
時よりくすぐったーいって、反応してくれるあ〜ちゃんが可愛いこと可愛いこと。
「今週は休みなんだよね?」
「うん。もっさんが今月はレギュラーの仕事のみにしてくれたんよw」
「あたしヘアメイクやめて、マネージャーやろうかなw」
「あー、あんたじゃ無理無理w」
「えー!?どしてぇ?」
「だって免許持ってないじゃろ?しかも遅刻癖あるし。向いとらんってwてか、自分の管理も出来んのに、人の管理なんて到底無理じゃろ」
「ぶぅぅぅ・・・」
あたしはまた口を尖らす。
そこまでコテンパンに言わなくてもいいじゃないか。まー、ほとんど合ってるけど・・・。
「がんばりんさいや」
そうあ〜ちゃんに言われてプニってぽっぺを軽くつねられた。
「そんなにうちの担当になりたいなら、頑張って周りに認められればええじゃろ?」
うーん。ありがたき助言だけど、正直耳が痛い。
「それでもダメだったら、主婦でもなんでもしたらええよwのっちくらい養ってあげるけぇ」
あら、やだ。
あたしの膝の上でなんてこと言うのかしら。
それってさ、、、
「プロポーズ?w」
って、言ったら、あ〜ちゃんがガバっと勢いよく飛び起きてあやうく頭突きされるところだった。
「な、なに言っとるん!?」
あーあ、慌てまくってる。可愛いな。
はは。耳まで真っ赤だよ。
あたしはあ〜ちゃんの手を引っ張って自分に引き寄せキスした。
「のっち、頑張るよ」
「うん」
「新しい仕事頑張って頑張って、社長に認められて、あ〜ちゃんの担当にしてもらえるようにする!!」
「うん!・・・あっ、、、でも」
「えっ?なに?」
「そうすると、タカコさんに会えなくなっちゃうw」
「えぇぇ!?あたしよりタカコさんなの?」
「だって、タカコさん美人さんなんじゃもんwメイク上手いし」
「・・・のっちも結構美形だと思うけど」
「自分で美形とか言うなよw」
「あ〜ちゃんは可愛いよ。超可愛い」
「今度のっちが担当する女優さんも可愛い人よね。名前なんつったっけ?」
「あぁ・・・。ミキちゃんね」
「そうそう。ミキちゃん!アイスのCMめっちゃ可愛い!あたし好き。のっち、サイン貰ってきてよw」
たしかに可愛いけど、ちょっとキツいイメージだからちょっとビビってんだよね。
直接会ったことないし・・・。
なんであたしなんでしょう・・・。
「えぇ!?サイン?欲しいの?」
「うん。てか、友達になりたい!!」
「なりゃーいいじゃん。てか、キミたち同じ事務所でしょ。社内で会ったりしないの?」
「ないけぇ。てか、畑違いだからめったに女優さんとかに会わんもん。実物みてみたーいw」
「ふーん。そんなもんなんだ〜」
「そう言えばなんでのっちがミキちゃんの担当になったん?」
「それあたしも知りたい。先月いきなり社長に担当になれって言われただけなんだもん」
「そうなんじゃ〜」
「そうなんすよw」
ふーんっていいながら、あ〜ちゃんはまたあたしの膝に頭を乗せた。
「あんた、ちゃんとヘアメイク出来るん?」
「できるよ〜。それなりに勉強してるんだよ〜?」
「そっか。のっちはやれば出来る子だもんね」
「うん。実は出来る子なんですw」
「自分で言うなよw」
「でへへ」
「あっ!!」
あ〜ちゃんはまた勢いよく身体を起した。また頭突きされるかと思った。
「のっちのっち!!来て来て!」
嬉しそうにベランダに出るあ〜ちゃん。
「んあ?なに?」
「ほら!初日の出!!」
あ〜ちゃんが指差す先はキラキラ光ってて眩しい。
まるでうちらの未来を指してるみたい。なんつってw
「初日の出って何気に初めてみたかも〜」
あたしは寒くて暖まるために後ろからあ〜ちゃんを抱きしめた。
「じゃあ、これから毎年一緒に見ようねw」
まー、なんて可愛いこと言ってくれるじゃないか。
「うん。見よう」
「・・・ミキちゃんが可愛くても、浮気しちゃダメだよ?」
はいぃ!?
ウワキ?
なにそれ?おいしいの?
西脇さん、あたしの辞書にはそのような単語は載っていませんよ?
むむ。これってジェラシー?
木村さんといい、アルパカといい、ミキちゃんといい、あ〜ちゃんはどうでもいいのに嫉妬しちゃうのね。
「大丈夫だよ。するわけないじゃん。あ〜ちゃんしか見てないよ」
「約束だよ!浮気したら、養ってあげないからねw」
「わかった。だったらあ〜ちゃんも浮気しちゃダメだよ。したら慰謝料ふんだくるからw」
「えー、慰謝料取るん?」
「取るよ〜。がっぽり取ってやるwげへへ」
「別に浮気なんてせんから平気だもーん」
「おー!自信満々じゃーん。のっち愛されてる〜w」
「ウザっ・・・。でもタカコさんだったらええかも。美人さんだしw」
「えー!?だ、だめだよ!タカコさんだったら勝ち目ねーよ。てか、彼氏いるよ?」
「バーカ。冗談でしょw」
「ですよね〜w」
「ねぇ、あ〜ちゃん」
「ん」
「ベランダ寒いから、お部屋に戻ろう。てか、そろそろ眠たくなってきたw」
「そうじゃねw」
「寒いからくっついて寝ようね♪」
結局あたしたちの元旦は寝正月で終わってしまった。
ふたりでゴロゴロ。
これから、あ〜ちゃんは新曲のプロモーションだったり、ライブだったり忙しくなる。
あたしもミキちゃんがドラマに出るから三ヶ月は付きっ切りになる状態。
こういうふたりでいれる貴重な時間を十分に堪能して、会えない日々を満たしてく。
ふたりが一緒に休みになる日は今のところ、未定。
それでもひとつ屋根の下で住んでるから寂しくない。と思う。
頑張ろう。
あ〜ちゃんに約束したんだ。
一人前になって認めてもらうんだ。
同じ舞台に立てるように頑張るんだ。
あ〜ちゃん・・・結局、、、破っちゃった。ごめん。でもね、あたしも限界だったんだ。もうギリギリだったんだ。
最終更新:2010年11月06日 01:48