大本は自宅に到着し、ドアを開けて中に入る。
散らかった部屋に置いてあるテーブルに、帰りがけに買ってきたコンビニの弁当とカップラーメンを放り投げる。
この時期は暑いのですぐに服を脱いだ。
ジーンズを脱ぎ、Tシャツと下着だけの格好になる。
その格好でカップラーメンにお湯を注いだ。
豚カツ弁当と醤油ラーメンを平らげると、バッグから先ほどのクスリを取り出した。
「あの商人さんのお話だと、これを飲むと約1週間透明人間になれる…。ていうかこれで本当に透明人間になれるの?」
本来300万円するらしいが、300円のネックレスで交換できてしまった。
中身はただの清涼飲料水である可能性も否めない。
「確かに"透明人間のクスリ"って書かれたラベルが張ってある…。ここにも効果は約1週間って書いてある。まぁとりあえず飲んでみるか」
大本はビンの蓋を開けて一口飲んだ。
スポーツ飲料水のような味が口いっぱいに広がる。
「まずくはないな。ていうかポカリみたいな味じゃん」
大本はさらに飲んだ。そのまま飲み続けてビンは空になる。
そして部屋の中で叫んだ。
「あれ!?あたしの腕が見えない!ていうか体がない!」
大本は自分の体を眺めると、そこに存在するはずの腕も脚も、自分の体の何もかもが見えなかった。
手に持っている空になったクスリのビンが宙に浮いている。
身に着けているTシャツや下着のパンツは見えるのだが、そこから伸びる手足は見えない。
「うそ…本当に透明人間になっちゃった…」
立ち上がるとTシャツとパンツが宙に浮く。
体がなくなったわけではなく、目に見えなくなったのだ。
大本は全身が映る鏡の前に立ってみたが、そこ映るのはやはり
今身に着けている、紫色のTシャツと白いパンツだけだった。
大本の顔は当然映らない。
大本はTシャツと下着を脱ぎ全裸になった。
何も着ていないので不自然に宙に浮くものはない。
完全な透明人間となった。
「本当に透明人間になったんだ…!やったー!これで1週間好き勝手できるぞ!」
すでにこの女はすでに好き勝手しているような気がするが突っ込まないでおく。
「とりあえず外に出てみよう。周りの人から本当に見えないのか気になるし」
大本は全裸のまま家から飛び出した。
今はかなり暑い時期だ。
全裸で外を歩いても寒くない。まあ実際にやる人間なんてほとんどいないだろうが。
大本は胸と股間を手で覆いながら自宅のアパートを出た。
見えないとわかっていてもなかなか不安なものである。
路上に出ると前方から中年のサラリーマン風のスーツを着た男性がやってきた。
大本は本能的に咄嗟に近くの電柱に隠れた。
「そういえばあたしの姿は見えないんだよね。ちょっと試してみるか」
大本はそのサラリーマン風の男性の前に飛び出した。
しかし、男性は何も気づかずにそのまま歩き続けている。
ハタチの女が全裸で飛び出せば驚くなどの何かしらの反応を見せるのが通常であるが、何も反応がない。
本当に大本の姿が見えていない。
「これすごくない!あたしガチで透明人間だよ!」
大本は手で大事な部分を隠すこともなく堂々と歩き出した。
うれしさで半ば飛び跳ねてもいる。
今度は女子高生2人組がやってきた。
すると、大本はだらしなさそうに眉毛を八の字型にしてニヤけだした。
こういう時の大本は大抵は性的な妄想をしている。
「ちょっと失礼します」
大本は聞こえない程度の小さい声で呟くと地面に寝転がった。
そのそばを女子高生が通る。
大本の視界にはスカートの中の下着がしっかり焼き付けられていた。
「うおー!ピンクのかわいいパンツだ!もう一人は縞々のエロいパンツだよ!」
大本は興奮しており鼻息が荒くなっている。
これも透明人間の特権だ。どの人間でも本能を満たす行為をするのだろう。
「うひひ。こうなったら透明人間の間いろんなことするぞー!まずはあそこに行こう!」
大本はとある場所に向かいだした。
大本の変態計画が今始まった。
つづく。
最終更新:2010年11月06日 03:11