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そろそろもう限界。

なんでミキちゃんはこんなにもあたしを振り回すの?
基本M体質だから、忍耐強いと思ったけどこれ以上はついていけない。

そもそも好きでもない人に、意味もなく振り回されるのって、さすがのMなあたしでも辛いよ。
これがあ〜ちゃんだったらどこまでも振り回される覚悟が出来るんだけどな。

てか、ミキちゃんのわがままのせいで今あ〜ちゃんととってもヤバイ状態なんですけど。
あ〜ちゃんが転校しちゃった以来の危機感バリバリなんですけど。
これでもし別れちゃったりしちゃったら、どうしてくれんだよ。

ほら、今日も彼女はノリノリであたしを振り回す。
あたしはあんたの友達でもマネージャーでもペットでも下僕でもないんですけど。
社長には悪いけど、ミキちゃんのわがままにはもうついていけない。
本人に直接言ってやる。

「あの!」
「なによ?」
「もう止めて下さい!」
「は?」
「仕事以外に呼び出すの止めて下さい!」
「・・・」
あれ?いつも強気なミキちゃんが急にシュンとなった。
今まで何も抵抗しなかったから、ビックリしたのかな?

「好きなの、、、」
ミキちゃんの細い声は確かにそう言った。

「一目惚れなの、、、」
「はいぃ?」
おいおい、ミキちゃん何を言い出すの?

「前にテレビ局の廊下で会ったの覚えてる?」
「えっ?」
全然覚えてないよ。
てか、ミキちゃんほどの有名な人と会ったなら覚えてるはずなんだけどな・・・。

「覚えてないよね。あたし、帽子とサングラスしてたし」
そう言われても、まだピンときてない。

「のっち、、、その時あたしのことかばってくれたんだよ?」
そんなことしたっけかな?

「あたしって、スタッフ受け悪いからしょっちゅう悪口言われるんだよね」
確かに、ミキちゃんはかなりスタッフには冷たい。
まー・・・それは最近わかった事だけど、ミキちゃんは誰よりも高いプロ意識を持っているから。
生半可なスタッフさんがいると、ついついキレちゃんだよね。

「陰で言われるのは別にいいんだけど、直接耳に入るとあたしでもやっぱりへこむってゆーか、、、」
「はぁ、、、」
「そん時もスタッフが何人か集まってあたしの悪口言ってたのよ。しかも結構ボロクソ言っててねw」
「はぁ、、、」
「で、そこにのっちもいたの。思い出した?」
「あぁ、、、?はぁ」
思い出したような思い出せないような、正直まだピンときてない。

「でものっちはあたしの悪口は言ってなくて、そいつらに言ってくれたの」
えっ?あたし何言ったの?

「悪口言ってて楽しいですか?って」
うへぇ。あたしそんなこと言ったの?
なんかめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど。
てか、段々思い出したかも・・・。
たしか丁度グラビアアイドルのメイク担当してた時かな?

「あたし、こんな性格だから友達とか全然出来なくて、人にかばってもらったのが初めてだったから嬉しくて嬉しくて・・・」
あたしの目の前にいるミキちゃんはいつものミキちゃんじゃんじゃなくて、ただの女の子に見えた。




「もしかして、、、あたしと友達になりたかったんですか?」
こんな質問、自分でするのは自意識過剰っぽいけど。

でも目の前にいるミキちゃんは顔を真っ赤にして頷くんだもん。
こんなミキちゃんを見せられたら、さっきまでの怒りが収まっちゃうよ。

さっきまで好きじゃなかったのに、ちょっとだけ好きになった瞬間。

ミキちゃんは寂しかったんだね。
でも友達の作り方を知らなかったから、強引な行動しか取れなかったんだね。

あたしよりも三つ上なのに、なんか可愛い人。

「友達というより、、、恋人として付き合ってほしいんだけど」
「へ?」
「さっき一目惚れって言ったじゃん!」
「はい?えっ、、、えぇぇ!?」
「なによ!そんなに驚くとこ?」
「お、驚きますよ!だって、アイドルの○○とか、イケメン俳優の△△とか噂になってたじゃないですか!?」
「あぁ、あんなん全部向こうから勝手に寄ってきただけ」
すげー、スラリとモテ女の発言。さすが人気も実力もある人は違うわ。

「で、付き合ってくれるの?」
「つ・・・付き合うって、その、あの・・・あたしたち女同士ですけど・・・」
「なに!?女同士だったら付き合っちゃいけないってーの!あんた、若いくせに保守的すぎ!!」
「・・・すいません」
あれっ?なんかいつもの強気のミキちゃんに戻っちゃった気がするぞ?

「あっ、、、でも。あたし今付き合ってる人がいるんです」
「はぁ?マジで!?」
「はい」
「えっ、じゃあ、あたしの人生初の告白を断るってこと?」
「・・・すいません」
「信じらんない!!」
「ごめんなさい」
なんであたしこんなに謝ってんの?

「あたし諦めないから!!」
「へっ?」
「のっちが振り向くまで、待ってるから!」
まいったな。なんか顔がマジなんですけど。

「別れたらすぐあたしのところ着なさいよw」
でもすごく直球で来るから、見てて気持ちいいんだよな。
なんだかんだ言ってこの人は憎めないんだよね。

ていっても、あたしが付き合ってるのがあ〜ちゃんなんて口が裂けても言えないけど。
言ったらどんな行動に出るかわかったもんじゃないし。
内緒にしとこっと。
それでなくても、ミキちゃんは色々と勘が鋭いし。

ミキちゃんの告白から、あたしはあんまり振り回されることはなくなった。
ていっても、ミキちゃんの気分次第だけど。
それでも前よりもいい関係を築いてると思う。
あたしも心地よくなってきた。
そしてやっぱりあたしはMなんだなって確認した。

あ〜ちゃん・・・あたしは自分のことわかってなかった。耐久性なんてなかった。あったら、あなたにそんな顔させなかったから。





最終更新:2010年11月06日 03:24