Side A

「この二人が『リニア』じゃ」

周りで大人たちが動き回る中、本当は関係者以外立ち入り禁止なんだけど…
お父さんが今回だけって連れてきてくれた

目の前の大きな氷の塊
その中に向かい合わせで、まるで眠ってるようにそこにいる二人
片手が繋がれている

「なんか、生きとるみたい…」
あたしが呟くと
「あやちゃんよぅ分かったなぁ?この子ら実は生きとるんよ」
サラッとそう言ってきた

「ぇえ?」
「今は冬眠しとるみたいなもんじゃけぇ」
「じゃあ、氷溶かしたら、目ぇ覚ますん?」
「溶ければのー、、」
「ん?どうしたん?」
「この氷、この子らの周りだけ溶けんくてな。部屋中の氷は溶けてくれたんじゃけどの。手で触っても溶けんし…どうなっとるんかの…」

二人を見上げるお父さんと一緒に、あたしも二人を見上げると

“キタァ”

え?
今、女の子の声が聞こえたような…

“ホンマに来てくれたw”

今度は違う女の子
『来てくれた』?
まさか…

「ねぇ、今なんか聞こえんかった?」
「ん?なんも聞こえんぞ?」

んー、やっぱ気のせい?




「あー、そうじゃ、二人が握っとるのが昨日言っとった『証』じゃ」

二人の繋がれた手をよく見てみると、そこには花を模った一つの髪飾りが握られていた

「アレが『証』?」
「そう。治める者によって形を自ら変えるらしい」
「自ら?」
「そうじゃ。王様がアレ付けとったら可笑しいじゃろ?」
「そ、そりゃ、そうじゃけどw」
想像したら笑いがでた

「そういう不思議な力が、古代『エレクトロワールド』には存在しとったんじゃ」
ホント、不思議なことだらけ



それにしても…

この二人を見てると、なんか切なくなってくる
なんなんだろう?

ねぇ、もしあなた達が目覚めたら
女王様のことも聞けるのかな?

あたしと同じ名を持つ
女王様のコト…



“ようやく、逢えたな…”

誰?

懐かしい香りと共に
耳元で、男の人の声が聞こえた

でも、振り向いたそこには

誰もいなかった…


いったい、なんなの?


—つづく—





最終更新:2010年11月06日 04:05