“泣き出しそうな、空”だなんて
うまいこと言うもんだ、なんて。

もうすでに、涙を流し始めた空を見上げて

想う、キミのこと。


「雨の中、濡れて飛んでくるのは危ないから」と
あの日もキミは傘をもって、迎えにきてくれたね。

危ないから、て言ったくせに
自分は真っ白な羽を羽ばたかせて飛んでくるものだから

「そっちこそ、危ないでしょ?」て。


すると、キミは
「傘を持って、恋人を迎えにいくってこと、やってみたかったんだ」と
照れて、笑った。

その日は、ちっさな傘に2人寄り添って
手を繋いで帰ったんだよね。

もちろん、空が流した涙から、身を守れることなんかなくって

次の日、キミは見事に風邪をひいた。


後から、気付いたことなんだけど

キミの白い羽は、とても涙に弱かったんだ。


空が泣いた次の日には、
必ずと言っていいほど、体調を崩すもんだから
「あんまり、濡れるとよくないんじゃないの?」

するとキミは
「バレたか」って、ぺロっと舌を出して、肩をすくめた。


あまりにかわいいから、うっかり許してしまいそうになったけど
そういうわけにもいかないから「もう、お迎えは禁止!」て。。。
ま、結局、のっちがおれて、「濡れないように気をつける」ってなったんだけどさ。


ほんと、惚れたほうの負けってこういうことだね。




空が涙を流すたび、思い出す
キミのこと。

うぅん。

なんだってそう。

ふとした瞬間
ちょっとしたきっかけで

ひょこっとキミは顔をだす。


そのどれもが、とんでもなく幸せな記憶を連れてくるものだから

ほんの少し、胸がチクっと痛んで
ちょびっとだけ、、、、ほんのちょびっとなんだけど、寂しくなる…

ごめん、ちょっと強がってみた。

さみしいよ、やっぱり。


逢いたいなぁ。。。


なんて、ちょっと弱気になっちゃってるのは
きっと、このやさしい涙が
キミのナミダに似てるからだね、、


それにしても、ちょっと遅くないかな?
大丈夫かな。
そわそわしちゃうから、いいって言ったのに・・・
頑固なことろは、どっち似?、、なんて
決まってるよね?
間違いなく−


「のっちお待たせ!」
「大丈夫だよ」
「ほんと?」
「うん、ありがと、ゆか」


あの日と同じように、迎えにきてくれたのは

2人のタカラモノ、ゆか。





最終更新:2010年11月06日 04:09