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Side A
時計の針は、もうすぐ夜の12時を指そうとしている

ダウンを羽織ってこっそり部屋を出て、忍び足で家を抜け出す

え〜っと、、
遺跡があるのは向こうだね

あたしは遺跡に向かって歩き出した
少し時間は掛かるけど、家からそんなに遠くはない


街外れまで来ると、5、6メートルくらいの橋の向こうに高さ3メートル以上の扉が聳え立つ
ココはお城の入り口だった所らしい
壁とかは崩れちゃって、残っているのがこの扉
この場所にお城があったなんて想像できないくらい、ガレキと雪で覆われている

研究のために出入りするから、扉はずっと開けっ放しになっていて、ある程度まで一般の人も入れるようになっている
さすがにこの時間には誰も見当たらない
研究者の人たちもいないみたい

そのまま歩みを進めて、昼間お父さんに連れて来てもらったあの部屋へとたどり着いた
また、あの香り…

そして、二人の前にもう一度立って、氷に触れてみる
それはちゃんと冷たくて、でも、あたしの手の温度で溶けることはなかった



昼間、あたしに聞こえたのは、あなた達の声でしょ?

「どうすれば、この氷溶かせるん?」

“やはり来たな”

え?

後ろから、昼間にも聞こえた男の人の声に振り返って見ると
音も立てずに現れたその人は、向こう側が透けていた




「あなた、何者?」

『そうだな…。キミの先祖、、といったところだ』
小さく笑って、その人が答えた

あたしの先祖?

『もう死んでしまっているから、実体ではないが…』

死んでる?

『この部屋に残る彼女の力で、映像のように見えている。簡単に言えば、ホログラフィーのようなものだ』

彼女?
“たち”じゃないの?

『その力も、もうすぐ無くなってしまう。その前にキミが来てくれて嬉しいよ』
「どういうことですか?」
なんなの?さっきから

『キミに、この氷を溶かしてほしいんだよ…』
「あたしが?ですか?」
全然、意味分からないんですけど…

『そうだ』
「さっき触ったけど、、全然溶けませんでしたよ?」

『キミでなくてはいけないんだよ。あの子と同じ波動を持つ、キミでなくては、、』
「あの子?」

『知っているだろう?キミと同じ名を持つ、古代『エレクトロワールド』の女王のコトだ』
あぁ、、そういえば、お父さんが昨日言ってた
「アヤカ、さん?」

『そう。キミの中には、彼女の血が流れている』

え?なにそれ?そんな話聞いたことないよ?
お父さんだって何も言ってなかった

女王様が、あたしのご先祖様?

いったい、どうなってるの?


—つづく—





最終更新:2010年11月06日 04:25