西脇がリビングのドアを開けると、とんでもない光景が目に入ってきた。
「な、なんで…」
西脇は唖然としている。
そこにはパソコンの画面を見ながら、半裸になって自慰行為を行っているニセ脇がいた。
大本が以前勝手に忍び込んで使用した例の高価なバイブレータまで使用している。
「あっ…!おかえり」
ニセ脇は特に悪びれる様子も無く西脇に挨拶をした。
「ちょっと!あんたなにやっとるん!?」
「なにってみりゃあわかるだろ?オナニーだよ」
「そういう意味じゃない!」
「お前見た目に似合わず凄い動画持ってるんだな?」
「へ?」
「この外付けハードディスクを見せてもらったぜ」
「なんで…パスワードをかけておいたのに…」
「"password"って単語そのまんまパスワードにするとか、セキュリティが甘すぎるんだよ」
「うっ…」
「それにお前はかなり特殊な性癖があるのか?けっこうドギツイジャンルばっかじゃねーか。うひひ…」
「それ以上なんも言わんで!」
西脇の顔は真っ赤だ。
ちなみにこの外付けハードディスクは、以前大本が透明人間の時に覗こうとして、パスワードが解除できずに諦めたものである。
また動画の中身は特殊すぎるので、西脇の名誉のために敢えて言わないでおく。
「あんな動画やおもちゃを持ってることがゆかちゃんやのっちにバレたら人生おしまいじゃ…お嫁に行けんくなる」
西脇は肩を落とした。
ちなみに大本におもちゃの存在はバレている。
「大げさだな〜。あ、でもあんな動画とこんなおもちゃを持ってたら一般人はドン引きだな!あははは!」
ニセ脇は大笑いだ。
「もういい!あ〜ちゃんはお風呂に入ってくるけぇ!」
西脇は怒って風呂場へと入っていった。
数十分後、西脇は風呂から上がってきた。
「気持ちいいお湯だった。綾香も入れば?」
「やだ」
「は?一人Hしておいて入らないって汚すぎじゃろ!」
「あっしは水とかそういうのを体全体に浴びるのが苦手なの!」
「不潔じゃね」
「うるせー!」
ニセ脇は風呂に入ることを頑なに拒否した。
「そういえば、なんかいい匂いがする」
西脇が鼻を小刻みに動かした。
食欲をそそる匂いが台所からしていた。
「そろそろ出来上がったな」
ニセ脇が立ち上がり、電子レンジに向かった。
電子レンジの中から、器を取り出した。
匂いの元はこれのようだ。
「ほらよ。綾香特製の肉じゃが。晩飯はあっしが用意しておいたから。まあ食えよ。結構自信あっから」
ニセ脇はご飯や味噌汁も取り出し、西脇に勧めた。
西脇はニセ脇の手料理を口に運ぶ。
「お、おいしい!あ〜ちゃんが使っているのと同じ素材とは思えん…」
「米の研ぎ方とか下拵えとかいろあっから」
ニセ脇も西脇同様のドヤ顔で答える。
西脇は言うまでもなく完食した。
プロ級の料理だった。
「本当においしかった〜。いったい綾香は何者なん?」
「おめーの分身だよ」
「いや、そうじゃなくて…なんでこんなに料理うまいん?」
「たまたまだよ。たまたま料理の腕に長けた分身が生まれただけだ。分身が生まれるときはある一定のポイントがあって、
それがランダムにそれぞれの能力値に振り分けられる仕組みになってんだよ」
「なるほど…料理がうまい分、口が悪いんだね」
「うるせー!余計なお世話だ!」
ニセ脇が口を尖らせた。
「あ、そうそう。お前の部屋から面白いもん見つけたぞ」
ニセ脇は音楽アーティストのDVDのパッケージを取り出した。
これも以前大本が西脇の家に忍び込んだ時に見つけたものと同じものだ。
「これパッケージはaikoのライブだけど中身は別のAVのDVD-ROMが入ってたぜ…」
「イヤー!」
「こっちのPerfumeのパッケージの中身も…」
「ダメー!勝手に人の私物を荒らさないでよ!この変態!」
「こんなDVD持ってるヤツの方が変態だろ」
「だまりんさい!」
ボゴッ!
次の瞬間、ニセ脇の体が数メートル飛んだ。
西脇の鉄拳が炸裂していた。
つづく。
最終更新:2010年11月06日 04:28